ゆっくりと上昇する感情 コンパスが設立され、アークエンジェルにも、それぞれの部署に新たに人員が配属された。そんな新しいクルー達に、マリューは艦長として気を配る日々が続く。
そんな今日も、マードックに檄を飛ばされている新人技術士官達や整備兵達に声を掛けて、格納庫を後にしようとしていた。
その時、ふと見上げたキャットウォークで、オーブ軍からの出向でアークエンジェルに配属になった、三名の女性パイロット達にムウが取り囲まれている様子が目に入った。
いや。よく見れば、その女性達の外側には、同じく配属になったばかりの男性パイロット達もいる。配属されたパイロット達が、モビルスーツ隊の隊長でもあるムウに、色々と質問をしているのだろうという事は、マリュー自身、よく分かっていた。だが……何とも言えない気持ちが、心の奥底で渦巻いている事実に、マリューは小さくため息を吐きながらエレベーターのボタンを押した。
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