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    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
    pixiv⇨https://www.pixiv.net/users/68325823

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    銀鳩堂

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    ヤンクロ第2部第8話
    後のクロウリー学園長=カラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第8話です。
    王妃と再会したディアヴァルは、ずっと側にいて欲しいと言われて幸福に酔いしれるのだった。そこへ誰かがドアを開けて入ってきた…。(本文約1630文字/豆知識は今回はお休みです。支部移植字に話数が減る予定なので今回はそれを見込んでの調整です)

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #クロウリー学園長
    crowleyPrincipal.
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部八話「命名」 ディアヴァルが王妃グリムヒルデに背中を撫でられて恍惚こうこつとなっていたその時、部屋のドアがキィっと開く音がした。
     誰か来た?! まさか追い払われたりはしないだろうか。王妃に魔女の疑いがかかってしまったりしたらどうしよう……。
     そんな心配が頭の中を駆け巡る。
     だが、次の瞬間、部屋に飛び込んできたのはスノーホワイト姫だった。
    「おかあしゃま、あのね……」
     そう言いかけた姫の顔はたいそう寂しげで、ディアヴァルはこんな小さな女の子がこんなにも寂しげな顔をするなんて、と胸を痛めた。が、次の瞬間、姫の顔がぱっと輝いた。
    「あっ!! カラスしゃん!! カラスしゃんだ!!」
    「そうよ、カラスさんが遊びに来てくれたのよ」
     と、王妃が応える。姫は瞳をキラキラさせて駆け寄ると、王妃を見上げて「私もカラスしゃんを撫でてもいい?」とお願いした。もちろん王妃はそれを許し、ディアヴァルは姫にも撫でてもらったのだった。
     小さな手で撫でられながら、彼は内心、王妃の方が上手だな、でも姫の撫で方も気持ちいいな、と思っていた。
     ひとしきり彼を撫でて満足したのか、姫は今度は王妃に抱きついた。そして、王妃の服に顔を埋めたまま、小さな声で「カラスしゃん、またおいだされちゃうの?」とたずねた。王妃は「いいえ、これからはずっと一緒ですよ」と応えた。
     それを聞いた姫はパッと服から顔を離し、王妃を見上げた。その目には喜びの光が宿っていた。そして姫はディアヴァルに向き直ると元気よく「よかったね、カラスしゃん!」と言ったのだった。
     と、姫は何かを思いついた様子で王妃に言った。
    「おかあしゃま、カラスしゃんにはどうして名前がないの?」
    「あらあら。本当だわ。この子にも名前を考えなくては。これからはずっと一緒にいるのですからね」
    「カラスさん、どんな名前がいいですか?」
     と、姫が小首を傾げながらディアヴァルに聞いた。
     名前か……。名前はあるのだけど。でも人間の言葉はしゃべれないし、伝えることが出来ないな。そんなことを考えていると、王妃がこう言った。
    「そうね、カラスcrowにちなんでクロウリーはどうかしら」
     え、それは安直では……? と思ったディアヴァルだったが、王妃の次の言葉を聞いて考えを改めた。
    「クロウリーというのはね、昔々の偉大な魔法使いの名前なのよ。賢いこの子にはぴったりだわ」
     姫ははしゃいで手を叩くと挨拶した。
    「クロウリーしゃん! 素敵なお名前ね! よろしくね」
     笑顔で可愛らしいお辞儀をする姫に、ディアヴァルもカァと一声応えてお辞儀を返したのだった。
    「クロウリーしゃん、呼ばれたのがわかるのね」と姫が嬉しそうに言う。
     王妃も、二人の様子を見ながらニコニコしているのだった。

     そして、その夜のこと。
     ディアヴァルは王妃の手にした杖に載って廊下を移動していた。
     姫は早々と寝室で寝入っている。ディアヴァルと一緒に寝ると言って子守を困らせたが、王妃に「子どもはもう寝る時間よ。クロウリーはまだ御用がありますからね。あなたは乳母と寝てちょうだいね」とさとされておとなしくベッドに入ったのだった。
     そして今、王妃とディアヴァルは城の階段を延々と下っていた。
     下りに下った先にあったのは、奇妙な地下室だった。
     部屋の壁には一面に棚があり、得体のしれない粉や岩の欠片や奇妙にねじ曲がった根っこや…ありとあらゆるガラクタが入った小瓶が所狭しと並んでいる。
     なんだろう、この部屋は。
     ディアヴァルがそういぶかしんでいると、王妃がそれを見透かしたように「ここは錬金術の研究室よ」と言った。
    「さて、これから我が君の仇に飲ませる薬を調合しなければ。そのためにはお前の助けが必要なのよ」
     自分にどんな手助けができるのだろう……?
     ディアヴァルは訝しく思ったが、黙って王妃のすることを見守ることにしたのだった。
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