夢を現実に…「これは何だ?」
江晩吟は見慣れない置き物を棚の中からふと目にして取り出した。
「魏公子から借りた香炉です」
江晩吟が手に取った香炉は、閉じ蓋が閉じずに開け口がひび割れていて歪な形をしている。足元の支えには、四脚あるかと思われる支えが三脚しかなく、不安定さがある。
「この香炉、使い物になるのか?」
「なりますよ。この香炉を使って現実にはないことを想像するのが最近の楽しみなんです」
「…そうか…」
不安定さがあり、歪な形をした香炉を江晩吟はくるりと回しながら全体を香を入れる部分までのぞいている。
香炉には興味はないが、魏無羨はどこで購入したのか気になる。
「藍宗主は香炉を使ってどんな想像をするのか?」
「それは江宗主には秘密です」
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