甘やかされる 「ぼうっとしてどうしたんだ?仁菜」
天井越しに見える芹くんを見つめながらずっと心のうちにあったものを打ち明ける。
「芹くんって、優しくなった?」
「は?」
「い、いやだってその前まではえっと…」
「酷かった?」
頷くと芹くんは困ったように笑う。
「言っただろ?仁菜を不安にさせないように愛を伝えるつもりだって、言葉でも行動でも…だから俺なりにそれを伝えてるつもりだったんだけど?…それとも嫌だった?」
「い、嫌じゃない!嫌じゃなくて…嬉しくて、でも前と違うからその、不思議に思って…」
それが私のためだと思うと嬉しくて思わずにやけてしまう。
「それにさ、仁菜…優しくされるの好きだろ?甘やかされるのも」
「えっと、そ、それは…」
恥ずかしくて視線を逸らしていると甘いキスが落ちてくる。
「まあ、俺的には優しくする方が感度いい気がするし、たっぷり仁菜を甘やかせる方が俺は好きだったりするんだけど…お前は?」
「………す、好き、だけど……」
頷けば何故か芹くんは吹き出して笑う。
「な、なんで笑うの!?」
「あはは、ごめんごめん。そんな怒るなって」
「だ、だって!」
「いやいや、悪い、笑ったのは悪かったよ」
「むぅ」
「いやな?仁菜が可愛いな〜って思って思わず」
「可愛い?」
「いや、分からないならいいよ。てか一生分かんなくていいよ」
どういうこと、と問う前に唇を塞がれまた私は芹くんに組み敷かれる。
「ほら、集中集中」
そう言って笑う芹くんは何故だか機嫌が良さそうで私は首を傾げるがすぐさまその通り芹くんしか考えられなくなってしまい、芹くんの背に腕を回ししがみついたーー。
-Fin-