左手で「あ!いいこと思いついた!」
「あーっそ、一人でやってろ」
「右手貸してくれ!あ、利き手じゃ困るか?じゃあ左手貸してくれ!」
「お前はほんっとに派手バカ野郎だなぁ!?おれ様の話聞いてたか?耳に詰め物でもしてんのか?一人でやってろってんだよ!」
「おう。だから一人ですっから、左手貸してくれ」
「ハァ??」
当たり前のように勝手に船に乗り込んでいることは百歩譲って許そう。だが、この話の聞かなさはどうだ。
バギーはまだ換金できていない宝がしまってある鍵を隠すように懐へ忍ばせながら、不機嫌、不信感丸出しな表情で赤髪を揺らす男を睨みつけた。
赤髪─シャンクスは口の悪いピエロメイクに気を悪くするでもなく、悪気なく笑ったまま差し出したままの手を一向に引っ込めようとはしなかった。
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