十二歳下の男と付き合っている。
こう言葉にしてみるとやはり妙だ。現役教師の頃だったら罪悪感でどうにかなっていただろうし、それはこの男の想いを受け入れるときにもハードルとなった。だがしかし、相手は分別のつく立派なおとなだ。――立派なおとなと言うにはいろいろと気掛かりな点もあるが。
その彼がしっかりとした意思をもって自分と共にいたいと告げてきた。気の迷いだと一蹴することは簡単だったが、これまでの彼とのことを思い返せばとてもそんな冷淡な真似はできなかった。
――まあ、いつかこんなおじさんには飽きてくれるだろう。
彼の目が覚めるまで、彼の望む遊びに付き合うつもりで。
これがアレクセイ・コノエの人生最大の誤算だった。
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