Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    memo_hako_

    @memo_hako_

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    memo_hako_

    ☆quiet follow

    オメガバでおねショタなたいみつのすけべ短編を書きはじめたはずが、前段が長くなってしまった。早くすけべな感じにしたい…すけべ短編のはずだったのに…

    ##たいみつ

    きみはぼくの——世界に一人しかいない運命の番と出会える確率は夜空に輝く満点の星空からたった一つを見つけるに等しい。一種の「奇跡」なのです。

    『奇跡』

    大寿は保健体育の教科書に書かれたその言葉の響きに違和感があった。
    だって、大寿が三ツ谷と出会ったのは物心つく前でそれからずっと同じ家で暮らしているから「運命の番」はそばに居るのが当たり前になっている。毎朝一緒に食事をして、校門まで手を繋いで学校へ行き、眠る前にはおやすみの挨拶をする。三ツ谷はうんと甘い響きで「おやすみ」を返してくれて怖い夢を見ないお呪いだと言って額にキスを一つしてくれる。それでも眠れない駄々をこねれば、眠るまで手を握っていてくれる三ツ谷は大寿の安心毛布のようなものだ。
    三ツ谷がいない暮らしなど大寿には到底、想像もつかない。
    「運命の相手と出会える確率をあげるためには、まず国のデータバンクに登録をして……」
    齢10歳にして、もうすでに生涯の伴侶を得ている大寿には関係ない退屈な話が続く。
    大寿は頬杖をついて、窓から外を眺めた。眠気を誘われる陽光に照らされて、校庭を挟んだ隣にある高等部の校舎が見える。あの何処かの教室に三ツ谷もいるはずだ。
    ——三ツ谷はいまなにしている?おれのこと、頭の片隅ででも考えていてくれるだろうか……
    大寿はうっとりと愛おしい人のことを想った。
    名門柴家の長男で、αである大寿の運命の相手、三ツ谷隆は今年で17歳。大寿より7つ年上で、Ωの男性体だ。柴家の屋敷に住み込んで家事手伝いをしながら高校へ通っている。
    2人の出会いは大寿が5つの頃。
    大寿は断片的にしか思い出せないのだが、母が言うには近所の公園で兄妹3人を遊ばせていた時のことらしい。
    妹の柚葉が抱っこをせがみ、弟の八戒がぐずりだして2人に気を取られた母がうっかり離した大寿の手。
    「待ちなさい!大寿!」
    赤ん坊の頃から大人しくて、母の言いつけに背いたことのない子供だった大寿が珍しく静止を振り切って急に走り出した。何か熱に浮かされたように走っていく大寿は母の声など聞こえていないようだった。
    「っ、どうしたの、大寿!急に走っちゃ……ああ、なんてこと!」
    慌てた母が追いかけるとそこには地面にうずくまり、明らかにヒートの発作を起こしている小学生の三ツ谷とその側で立ち尽くす大寿がいた。
    「おかあさん……ごめんなさい」
    母を振り返った大寿は呆然としたままポロリと一筋、涙を溢した——。

    この事件の後、紆余曲折の末に三ツ谷は柴家に引き取られることになった。
    紆余曲折、の詳細を小学生の大寿はまだ全て知らされてはいない。ただ、柴家の財力とコネクションの全てを使って父が手配してくれたらしい。
    「今日からうちで暮らす、三ツ谷隆くんだ。お前の許嫁だぞ。さあ、挨拶しなさい」
    「許嫁?」
    「そうだ。ふふ、父さんは嬉しいぞ、大寿。自分の力で運命の相手を捕まえてくるなんて、力のあるαの証だ。お前は王になる素質がある」
    大寿には上機嫌な父の言葉はまるで聞こえなかった。
    ただ、父に連れられてきた三ツ谷が眩しいほどに輝いて見えて、自分の心臓の音がやけに大きく聞こえていた。
    ドクン、ドクン、ドクン……
    不思議な色の瞳が大寿をじっと見つめ、やがてニコッと微笑んだ。
    「こんにちは。ちゃんと会うのは、はじめましてだね?俺はみつやたかし、きみの——運命の番、なんだって。よろしくね」
    「……みつや、たかし」
    これが俺の番……!
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭👏💖💘🙏🙏🙏🙏🙏💖💖💖💖👏💘💖😭😻😭😭😭😭❤🍑💞😍👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works