きみはぼくの——世界に一人しかいない運命の番と出会える確率は夜空に輝く満点の星空からたった一つを見つけるに等しい。一種の「奇跡」なのです。
『奇跡』
大寿は保健体育の教科書に書かれたその言葉の響きに違和感があった。
だって、大寿が三ツ谷と出会ったのは物心つく前でそれからずっと同じ家で暮らしているから「運命の番」はそばに居るのが当たり前になっている。毎朝一緒に食事をして、校門まで手を繋いで学校へ行き、眠る前にはおやすみの挨拶をする。三ツ谷はうんと甘い響きで「おやすみ」を返してくれて怖い夢を見ないお呪いだと言って額にキスを一つしてくれる。それでも眠れない駄々をこねれば、眠るまで手を握っていてくれる三ツ谷は大寿の安心毛布のようなものだ。
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