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    tayu

    @tayu_70

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    【作業進捗】でアップしている作品は
    書き上げられるかわからない話なので
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    tayu

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    幼児化した恋人と再開する萩のお話

    進捗、約1/4
    今後書き換える可能性有り
    「けんじくん」呼びまで辿り着いてない…
    この後に陣平ちゃん、班長、高明を出したい(願望)

    ##萩景
    #萩景
    #幼児化
    infantilization

    【萩景】幼児化『君に伝えないといけないことがある』
    『ヒロが…潜入捜査中にノックとバレた』
    『信じてもらえないかもしれないが、自決を計ろうとして組織が開発していた薬を飲んで子どもになってしまった…』
    『体に急激な負荷がかかったせいで一時は生死を彷徨ったが、なんとか一命を取りとめた』
    『これは極秘案件だが…恋人である萩原に頼みたい』

    『暫くの間、ヒロを預かってくれないか』

     柔らかな朝陽が差し込むある日、何年も連絡が取れなかった友人から連絡を受け、警察庁の一室へ向かった。
     警視庁と隣接している建屋だが、同じ警察と言えど組織が違うため今まで訪れたことはなかった。また、警察庁内では国の機密情報も管理され、一介の警察官が理由もなく足を踏み入れることは許されない。
     そんな場所に呼び出された俺は、珍しく緊張していた。緊張するなんて、らしくないと思いながらも警察庁内の独特な緊張感に体が強張り、乾いた笑みが溢れる。
     ここ数日、胸騒ぎがしていた。言葉にし難い、ザワザワとした不快感。最初は小さなものだったが日を追うごとに大きくなるばかりで、いつの間にか胸の内全体を覆いつくしていた。
     友人からは、電話の内容は他言せず指定の場所へ向かうよう指示があっただけで、詳細の説明は無く一方的に電話を切られた。普段なら、そんなんじゃ女の子にモテないぞ、なんてぼやいているところだが、今の俺にはそんな余裕すらなく、胸の騒めきに先導されるかのよう足早に警察庁へ向かった。
     そこに行けばこの胸騒ぎの正体がわかるような気がした。確証はないが、俺の直感がそう訴えかける。
     指定されたのは警察庁内の小さな会議室。庁舎の奥にあるその部屋はあまり人が寄り付かないのか、廊下の隅に埃がたまっていた。廊下の窓の外には鬱蒼と木が生え、僅かな光しか入り込めず、雲一つない秋晴れだというのに会議室周辺はどこか陰鬱な空気が漂っていた。
     扉の前で足を止め、一呼吸おく。
     この中に探し求めていた答えがあるはずだと、目の前の扉をノックをしようとしたとき、自分の手が震えていることに気付いた。
     ほんと、俺らしくもない。らしくないついでに、公安部に移動願い出しちゃう?
     震えを誤魔化すかのように、そんなふざけたことを考えながらグッと手に力を込め会議室の扉をノックする。
     少し間が開いて、会議室の中から凛とした声が返ってきた。懐かしいその声に招かれるよう扉を開けると、そこには何年も連絡が取れなかった友人の一人が立っていた。
     全国の公安警察を束ねる、警察庁警備局警備企画課に所属する同期、降谷零。
     いつの間にかお偉いさんになっていた降谷ちゃんの昇進祝いに、久々に同期たちと集まってビール片手に話に花を咲かせた数日後、彼ともう一人の同期と連絡が取れなくなった。
     公にはできない大きなヤマを抱え、連絡が取れなくなったのではないかと班長は推測していたが、仕事でしょうがないとはいえ何も言わずに俺たちの前から姿を消した同期たちを少し寂しく思った。寂しく思った理由は、それだけではないが。
    「久しぶり、降谷ちゃん」
     何年も会っていなかったのに、まるで昨日まで会っていたかのような、そんな温かい感覚がじわりと全身に広がり自然と緊張がほぐれていった。
     こじんまりとした会議室のブラインドは閉められ、朝だと言うのに薄暗い。光りの届かない部屋の奥に立っていた降谷ちゃんの表情がぼんやりと見える程度で、こんな暗い部屋で灯りもつけずに何をしているのかと、近くにあった照明のスイッチを入れる。照らされた室内に立っていた同期の変わらない姿を見て頬が緩んだのも束の間、彼が抱きかかえている小さなカタマリを見て言葉が詰まった。
    「え…降谷ちゃん結婚してたの?」
    「違う」
     間髪をいれず返した降谷ちゃんの腕にしっかりと抱えられた、小さな子ども。背広をギュッと握り、胸に顔を埋めていた子どもが腕の中でもぞりと動き、好奇心に満ちた子猫のような瞳をこちらに向けた。
     子どもの顔を見て息を呑んだ。
     抱きかかえられていたのは、もう一人の同期によく似た子ども。俺の前から突然姿を消した恋人、諸伏景光にそっくりな子どもだった。
     言葉を失いその場に立ち尽くしていた俺に降谷ちゃんは「君に伝えないといけないことがある」と真剣な眼差しで足早に現状を説明した。
     組織に潜入してたって何? 薬で子どもになった? …え?
     確かに降谷ちゃんの腕の中にいる子どもは、警察学校時代に本人から見せてもらった小さい頃の写真に瓜二つだったが、そう簡単に信じられるわけがない。
     諸伏ちゃんの子どもじゃなくて、この子が諸伏ちゃん? 諸伏ちゃんって証拠は? まさかドッキリだったりする? 天下の公安様は暇なのか?
     そんな非現実なことがあってたまるか、と周りを見回してみるが俺と降谷ちゃんと子ども以外、この場には誰もいなかった。
     現実を受け止めきれず項垂れるように片手で頭を抱えると、凛と立ったままの降谷ちゃんは声を低くして言った。
    「萩原、頼まれてくれるか」
     拒否など認めないとでも言いたげな声色だった。
     理解が追い付かないままゆっくりと顔を上げ、諸伏景光だと言う子どもへ再び目をやると、腕の中で大人しくしていた子どもは降谷ちゃんの言葉に反応し「はぎらわ?」と首を傾け俺の名前を読んだ。そのままジッと俺の顔を見つめてくる子どもへ、ぎこちなく笑いかけるとパアッと花が咲いたように笑い「はぎらわ~!」と嬉しそうに両手を伸ばしてきた。
     上体を勢いよく前に出し、腕から落ちそうになった瞬間「おい、ヒロ! 危ないだろ!」と珍しく慌てた顔をして大事そうに子どもを抱え直した降谷ちゃんを見て、この子は本当に諸伏景光なんだと理解した。
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