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    now_or_lever

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    POIPOI 24

    now_or_lever

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    【こじポセ】 3回戦終了後 生存if等特殊設定有り

    #こじポセ

    嵐の夜に「神様、もう帰ろう、おいで」

     荒海の中で腰まで浸かった彼の肩に手を掛けた。振り返ってこちらの目を見たその表情は、暗くてよく見えないことを差し引いても、「心細い」と言う感情が薄らと滲み出たものだった。
     
     叩きつけるような風雨に包まれながら海に向かっていく彼を発見した時には、剣士として人生経験をそれなりに重ねた自負が砕けた思いがした。己は大抵のことでは動揺などせんという驕りを捨て、大慌てで駆け寄り、風邪を引いてしまう、使用人も心配するだろうと言い聞かせた。少し抵抗されたものの、半ば引き摺るようにして浜辺に上げた。さて、これからどうしたものか、自分の小屋に連れ帰るか、嫌がられはするだろうが屋敷に同行でもするか。いずれにせよ一旦風呂に放り込まねば…と後ろ手に彼を引っ張りながら思案する。

    「……こえん」

     風が吹き荒ぶ音に混じって、背後からか細い声がした。
    「余を呼ぶ声が聞こえなくなった。海鳥の声も、魚たちの声も。何もかも」
     あんなにそばまで寄ったのに。貴様のせいだ、邪魔をするな。余の深淵を侵して、全てを奪って、今更余にどこへ還れと言うのだ。

    だが、無遠慮に紡がれる言葉の荒々しさと、発する声の脆さの歪なバランスをもってしても、小屋へと急ぐ歩みを止めさせることは敵わない。

    「好きなだけ吾のところにいると良い。還るところが見つかるまでな」

     風の音は一層高く強くなり、言葉が彼に伝わったかどうか定かではない。ただ、海水に晒されてすっかり冷え切ってしまった作り物の手が、先導する端くれ立った手をぎこちなく握り返したのを知覚し、詰めていた息を漸く吐いた。
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    now_or_lever

    DONE駄菓子屋パロ時空のこじポセです。薄ら両片思い。オリジナル要素が強いので粗筋(https://poipiku.com/3772614/6683664.html)を先にお読みの上お楽しみください。
    それはテーブルの上の二つの麦茶がすっかりぬるくなってしまった頃。

    「坊ちゃんは紙風船で遊んだことはあるかい?」
    盆休みは流石に店を閉めているだろうな、そう思いつつもつい足を運んでしまったいつもの駄菓子屋で、彼にそう問われた。今は夏休みで帰省しているが、急ぎ実家で済ませたい用事が片付いたので散歩がてら立ち寄った。オーナーと将棋に興じつつ奥の座敷で店番をしていた彼と話して小一時間。口下手の自分が提供出来る話題に限界を感じ始め、名残惜しいがそろそろ腰を上げようとしていた矢先の質問だった。
    「存在は知っています…本で…」
    嘘ではない。子どもの頃確か図鑑か何かで見た筈だ。昔の玩具がフルカラーで掲載されたページに、平らに畳まれた状態と、空気で膨らませた姿とを両方目にした記憶がある。自分が実際触ったことのある玩具と言えば、外国のメーカーの、どちらかというと高価な部類に入る知育玩具だった。幼過ぎて脳に残っていないだけかも知れないが、思い返してみても確か弟のおもちゃ箱には紙製のボールは無かった。普通のゴム風船なら腐るほど見たが。
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    siroinari

    TRAININGポセこじポセ、ハデ始ハデ前提でこじと始がコイバナするくらい仲良し。
    大食らいな神様にビビる人類側の話を書こうとしたら別物になった。
    ちゃんと恋人してる三回戦組に対して身体の関係だけな七回戦組の始が危機感を覚えて突撃したら付き合ってなかった。佐々木視点?なのでハデ様は出ない。
    ハデ様が自己肯定感低かったらな話。左右は決めてないけどこの流れだと始ハデかな。
    我愛你カチャカチャと僅かに食器の触れ合う音がする。
    優雅な気品に溢れるそれは当神の見た目も相まって一枚の絵画のようだ。伏せ気味の瞼を彩る長いまつ毛が目元に影を落とし、より神秘的な雰囲気を纏わせている。美しい所作でフォークを操り、小さく開かれた口に食物を運ぶ姿は完成されていた。じっと注がれる視線に、青い宝石が訝しげに細められる。
    「なんだ」
    「えっあ、いや〜綺麗だなと思ってな」
    慌てて取り繕って自分の食事を再開するも、ガチャガチャと耳障りな音を立ててしまい縮こまる。個室なので他の客の姿はないが、店の者の眼はある。こんな格式高い場所は初めてでマナーもわからない。恥をかかせやしないかとひやひやする。
    「余が連れてきたのだ。公の場でもあるまいし、好きに食せば良い」
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