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    ムーンストーン

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    ムーンストーン

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    ダイの大冒険 リア連載時から疑問だったバルトスの敵討ちについて書き連ねました。
    以下バルトスファンとヒュンケルファンには申し訳ない話しが続きますが個人の感想なのでお許し下さい。

    ハドラー(造物主)のから信頼より子への愛情を取って責任追及された事をメッセージに残す=ハドラーへ遺恨を残すことになりませんかとか魔物と人間とは騎士道精神は共通なのねとか。
    ダイ大世界は生みの親〈〈〈育ての親なのかも。

    #ダイの大冒険
    daiNoDaiboken
    #ヒュンケル
    hewlett-packard
    #ダイ
    die
    #ハドラー
    haddler
    #バルトス
    bartos

    20.審判(ヒュンケル/ランカークス村)〜勇者来来「勇者が来るぞ」
    「勇者に拐われるから魔城の外に出てはならんぞ」
    懐かしい仲間たちと父の声が地底魔城の地下深く、より安全な階層に設えられた子ども部屋に木霊する。
    この世に生をうけ二十年余りの人生で最も満ち足りていた日々。
    ヒュンケルがまだ子どもでいられた時代の思い出だ。


    「暗くなる前に帰んなさい!夜になると魔物がくるよ!」
    黄昏に急かされるようにランカークス村のポップの家へ急いでいた時、ふいに聞こえてきた母親らしい女の声と子供の甘え混じりの悲鳴を聞いてヒュンケルとダイは足を止めた。

    ヒュンケルが声の主はと先を覗うと見当に違わず若い母親と4〜5才の男の子が寄り添っていた。
    半ば開いた扉から暖かな光が漏れ夕食ができているのだろうシチューの旨そうな匂いが漂う。
    「やだ〜」
    エプロンに顔を埋め怖怖と背後に迫る夕闇を横目でチラ見する子の肩をだき母親は恐ろしい声をつくって更に息子を脅す。
    「夜になっても家に帰らない悪い子は魔物や魔王に捕まってペロリと食べられてしまうんだから」
    「〜〜〜」
    泣きべそをかく子の背を撫で抱きあげながら母親は家の中に向かう。
    パタンと扉が閉まるとヒュンケル達がいる通りは一気に静まりかえった。
    いつの間にか息をひそめて聴き入っていたダイが深呼吸してからヒュンケルを見上げた。
    「ねぇヒュンケル、ハドラーってもしかしたら人間の子供を……」
    ダイはハドラーとの対戦を振り返り、俺は倒されていたら喰われていたんだろうかと考えて怖気をふるう。
    「それは誤解だ。ハドラーは人間の子どもは喰わぬ……筈だ」
    「はずって、確実じゃないんだ」
    「俺はハドラーが食事をしているところを見たことはないが、地底魔城で6年育てられている間に喰われておらんし、喰ろうてやると言われたこともない」
    ポップがこの場に居れば「人間だって倒したモンスターを食うことがあるじゃねぇか」とまぜっ返すだろう。餓えにせまられそれしか生きる手立てがなければの話だが。
    「地底魔城のコロッセオで捕虜同士をどちらかが死ぬまで戦わせたり反抗的な奴隷を処刑したりはしていたがな。残酷だが魔族の性分に忠実だと言えぬ事もない」
    魔族は、魔物はすべからく弱肉強食の世界に生きているから弱者は……幼兒だったヒュンケルは強者の目溢しや慈悲無くば生きることすら難しかったろう。

    「そうなんだ。でもどうして夜になっても家に帰らない子は魔王に捕まるんだい?」
    ヒュンケルは驚きに目を見張る。
    ブラス老は遊び呆けて帰るのを忘れた子に定番の脅し文句を言わなかったらしい。
    それとも流石に前の主を引合いに出したくは無かったのか、魔法使いらしく唇寒しと忌んだのか。
    ヒュンケルは宵の明星を見上げそれを父と共に見ながら諭された文言を口にした。
    「俺は地底魔城の外にでる事は禁じられていたが地上近くまで登ってよく空や飛行怪物を眺めていた。宵の明星がみえる頃までに部屋に戻らぬと父さんが迎えに来て言ったものだ。言いつけを守らぬ悪い子は勇者に拐われるぞ、とな」
    ダイのまだ幼気から抜け出せぬ丸い瞳が更に丸くなるのを見てヒュンケルは狼狽える。
    「すまん。お前のことではなくて…」
    「うん判ってる。勇者ってアバン先生のことだよね」
    「アバンを直接指している訳でもない。親が子を躾ける為の常套句のようなものだな」
    母子が入っていった家を見ていたダイがふうん、と首を傾げる。
    「俺にとってはモンスターはトモダチだから捕まったり拐われるって思わないなぁ。ポップは出会ったばっかりの頃は島の皆んなにちょっとビビってたみたいだけど」
    「あいつも魔王軍との戦いの中で成長したのだな。駆出しの魔法使いとは思えぬ大した奴だと思うぞ」
    「ヒュンケルもそう思う?!あいつはねぇデルムリン島にガーゴイルが襲って来たときメラゾーマ一発で仕留めたんだよ!それにさ……」
    ダイが楽しげにポップの活躍振りを話すのを聞きながらヒュンケルは父と言葉を操る上級モンスターが話すのを漏れ聞いたことを思いだした。

    「ニンゲンを育てることを許されたのは貴公の忠誠の賜物じゃろう。一層励まれよ」
    「愛玩動物を飼ってるんだろ?なんだって?我が子として育ててる?ハドラー様がこんな酔狂を許されるとは思わなかったな〜被造物への寵愛って奴?嫉妬しちゃうなぁ〜」
    ハドラーの四天王であるデストロールには細やかな任務を与えられた時にはこうも言われた。
    「ニンゲン(敵)を生かし続ける許しをお与えになられたハドラー様の御恩に報い、我ら魔王軍につくすように」

    時が経つにつれ勇者にじわじわと倒されて減っていくヒュンケルに寛容なモンスターたち。
    魔王の不在に浮足立つ地底魔城の中でさえ害されることの無かった人間の子ども。
    父とその造物主(ハドラー)に守られていた日々が最も安全で幸せだった事実。

    あの楽園を壊し俺を追放したのは父の言った通り確かに勇者アバンだった。
    楽園から追放した者を師と仰ぎ父の主を討った俺と泉下で再会したならば、洒落者の妖樹は所詮は愛玩動物に過ぎぬと嘲笑い賢きデストロールは恩知らずと軽蔑するだろうか。

    宵闇が忍び寄る。
    ダイを早く安全な所へ、ポップの親達の待つ人間の家に連れて行こう。
    勇者(魔物)に拐われるその前に。

    ヒュンケルの中に眠る子どもに薄闇が語りかける。
    《勇者(魔物)が拐いに来るぞ》
    父さん 俺は地獄の騎士に拐われ勇者に拐われミストバーンに拐われましたが誰も俺を殺そうとはしませんでした

    《勇者(正義)が来るぞ》
    父さん 俺の生まれた町を滅ぼしたのは魔王軍の不死大隊ですね
    父さん 俺は本当に捨て子だったんでしょうか
    父さん 俺の生みの親達を殺したのは誰なんでしょうか

    《お前の仲間を殺しに来るぞ》
    父さん ハドラーが酔狂だと笑ったのは貴方が人間の子を育てたいと言った事に対してなんでしょうか
    父さん ハドラーは自分で孤児にしておいて憐れみをかけたことを嘲笑ったんでしょうか

    《お前の父を殺しに来るぞ》
    父さん 俺はアバンの使徒になり魔物(貴方)の敵になったんでしょうか

    《父の主を殺しに来るぞ》
    父さん 貴方はなぜ造物主を裏切ることができたんでしょうか
    父さん 貴方はなぜ命令不履行で処刑されたのではなく、主に殺されたと俺に言い残したんでしょうか

    《正義の刃で裁きに来るぞ》
    父さん 大魔宮には勇者の襲来に怯える子どもはいないんでしょうか

    父さん 教えてください。
    父さん。
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    DONEダイの大冒険 リア連載時から疑問だったバルトスの敵討ちについて書き連ねました。
    以下バルトスファンとヒュンケルファンには申し訳ない話しが続きますが個人の感想なのでお許し下さい。

    ハドラー(造物主)のから信頼より子への愛情を取って責任追及された事をメッセージに残す=ハドラーへ遺恨を残すことになりませんかとか魔物と人間とは騎士道精神は共通なのねとか。
    ダイ大世界は生みの親〈〈〈育ての親なのかも。
    20.審判(ヒュンケル/ランカークス村)〜勇者来来「勇者が来るぞ」
    「勇者に拐われるから魔城の外に出てはならんぞ」
    懐かしい仲間たちと父の声が地底魔城の地下深く、より安全な階層に設えられた子ども部屋に木霊する。
    この世に生をうけ二十年余りの人生で最も満ち足りていた日々。
    ヒュンケルがまだ子どもでいられた時代の思い出だ。


    「暗くなる前に帰んなさい!夜になると魔物がくるよ!」
    黄昏に急かされるようにランカークス村のポップの家へ急いでいた時、ふいに聞こえてきた母親らしい女の声と子供の甘え混じりの悲鳴を聞いてヒュンケルとダイは足を止めた。

    ヒュンケルが声の主はと先を覗うと見当に違わず若い母親と4〜5才の男の子が寄り添っていた。
    半ば開いた扉から暖かな光が漏れ夕食ができているのだろうシチューの旨そうな匂いが漂う。
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    DONEダイの大冒険 ナバラによるアルキード滅亡の日の回想です。
    テランの人口が急減した理由の一つに理不尽すぎる神罰があったのではないかと思います。
    あの世界の殆どの人は結局アルキードが何故滅びなければならなかったのか知らないままだから神の力の理不尽さに信仰が揺らいだ人も多いと思います。
    夢から覚めた日〜ナバラ「あの日」のテランは雲一つない穏やかな陽気だった。

    暑くもなく寒くもなく、洗濯日和と言わんばかりの優しい風が吹きすぎる。
    そんなうららかな日だというのに何時にないむずがりかたをするメルルにナバラは朝から手を焼いていた。

    「いつもお利口さんなのに今日はご機嫌ななめだねぇ」
    女所帯のナバラ達を気にかけて何かと助けてくれる近所の若者、ドノバンがあやしてくれたが更に大声で泣いてメルルは家の中に駆け込んでしまった。 
    「全くだよ。せっかく忙しいお兄さんが遊んでくれたのに」
    悪いねぇと詫びるナバラに、たまにはそんなこともありますよと気の良い笑顔を向け、若者は花と香炉の入った籠を取り上げ竜の礼拝所へ朝の礼拝に向かった。

    「全く信心深い子だよ。テラン人の中でも朝晩欠かさず竜の神殿に詣でるなんてあの子位だ」
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