現パロ 大学生白澤×カフェ店員鬼灯【前設定】
現パロ。
カフェ店員の鬼灯に一目惚れ白澤。
どうにか顔を覚えてもらおうと決まった飲み物を注文。
気分じゃない時もそれを頼んでその飲み物=僕みたいになるように頑張る話。
ふと店員の鬼灯に「いつものですか?」って聞かれてキョトンとした後慌てて「うん!いつもの!覚えててくれたんだ!」って話し始める白澤。
鬼「そりゃ覚えますよ、貴方いつも同じのですから」
白「え、う、うん、これ好きだからさ」
鬼「あぁ、じゃあこれも好きかもしれませんね、飲んでみます?」
白「いいの!?」
鬼「常連さんなので特別ですよ」
白「ありがとう!僕、白澤って言うんだけど君は?」って白澤猛アプローチ開始
白澤は学生、鬼灯社会人くらいの年の差で欲しい。エプロンつけたしっかりカフェ店員な鬼灯さんと高校生で試験勉強カフェでしたりする白澤。仲良くなってからは試験勉強中の白澤さんに鬼灯が飲み物サービスしたりして欲しい。
そんな白鬼が欲しい。
と、ツイートをしたら実際に漫画にしてもらえた前提
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「お店終わった後なら良いですよ」
鬼灯の言葉に消沈して机に伏せていると頭上から声がする。
その言葉に顔をあげればカウンターの向こうから僕を覗くように見下ろしている鬼灯と目が合う。
「…ふぇっ」
何を言ったのか理解出来ず自分でも呆れる程素っ頓狂な声が漏れ出た。
そんな僕を見て嗜虐心が湧いたのか意地悪そうに「嫌なら良いんですが」と鬼灯は言う。
そんな鬼灯を見て今の言葉は僕の聞き間違いではないのだと理解する。
ニヤけてしまいそうな顔を抑え込んで「嫌じゃない!むしろ!お願いします!」と椅子を蹴り飛ばすようにしながら立ち上がって叫ぶ。
急に立ち上がって近づいた顔と、僕の勢いに気圧されたのか一瞬鬼灯の肩が跳ね上がる。
鉄仮面みたいな鬼灯がびっくりした!びっくりする鬼灯見たの初めてだ!なんて新しく見れた表情に舞い上がりそうになりながら「いいの!?」と改めて確認すると鬼灯はカウンターに頬杖をついて落ち着いた調子で言う。
「白澤さんは常連さんですし特別に。お店に来なくなる、なんて事がなければ構いませんよ。閉店後なのであんまり長い時間教える事が出来ませんが」
鬼灯が紡ぐ言葉一つ一つを暗唱して嘘じゃないんだと実感する。常連、特別、教える。本当に、鬼灯が教えてくれる。
椅子に座って、一息ついてばっと顔を手で覆って僕はテーブルに顔を伏せる。
きっと今僕の顔は火照りもにやけもひどい。
「お店来ないとか無いから安心して…」
苦し紛れに放った言葉からもボロが出そうになる。それでも高まる心は落ち着いてくれそうにない。
「そう言っていただけると光栄です」
そんな僕の心も知らず鬼灯は変わらない。カチャカチャと鳴り出す音にもうカップの手入れに移ったのだ、と分かる。
「…僕に店長の味は出せないと思うし」
下心で教えて欲しいと提案したからじゃなく、本心で。この味は店長、鬼灯にしか出せないと常々思っていた。
到底真似出来ない味なのだ。
「ですかねぇ、特に変わった事はしてないのですが」
ふむ、と悩むような声が聞こえてやっと落ち着いた顔をあげれば小首を傾げて考え込んでいる鬼灯の姿があって思わず小さく吹き出してしまう。そんな僕を見てむっとした鬼灯が僕を睨む。
「ごめん余りにも真剣に考えてるから」
と弁解がてら言えば不服そうにこちらを睨みながら「一度でも淹れ方を教えてあなたをバイトで雇えたら、なんて思った私が馬鹿でした淹れ方だって教えません」と鬼灯は言い、そのままふいっとそっぽ向く。
むくれる姿も可愛いなんて思ってたら思わぬ鬼灯の言葉に耳を疑う。
「えっバイト募集するの!?ごめん本当謝るから淹れ方教えて!?」
また僕は慌ただしく椅子から立ち上がりながら言う。
もしも、本当にバイトとして働けたなら。
一目惚れして顔を覚えてもらって話せるようになるまでの日々がこれ以上に報われる事は無い。
何よりバイト募集するなら僕を使って欲しい。
僕が何ヶ月もかけて得た関係をバイトという立場で容易に手に入れる誰かなど想像したくもない。
「…いえ、白澤さんが珈琲を淹れられるようになったら良いかもと言うだけなので募集する予定はありませんよ」
そっぽを向いた状態で目だけをこちらに向けて鬼灯は言う。
「なーんだ」
嘆息しながら僕が言えばキョトンとした顔で「おや、生活費にお困りですか」と鬼灯は尋ねてくる。
特に困ってはいなかったけど、いつか募集する時初めに声をかけてもらえたら、なんて理想を込めて「まぁね」などと適当な事を言う。
もっと僕は鬼灯と話したいし、一緒にいたい。きっとこいつは良い客としか思ってないだろう。
だけどそれでも、ただの客から常連のお友達になれたように、僕はもう一歩踏み出したい。
「…じゃあ明日から教えてくれる?」
僕がそう尋ねたら鬼灯は伏し目がちに「ええ、閉店後に」と短く答える。
本当は直ぐにでも告白したいけれどまだ早い。
とりあえず仲良くならなくては、と何度目かの決心をしてすっかり温くなった珈琲に手を伸ばす。
そして僕は店長の淹れた珈琲を飲み干しながら明日から始まる秘密の時間を心待ちにする。
「…オススメの甘味持ってくるね」
「…カフェに甘味持ってきちゃいます?ケーキなら売るくらいありますよ」
実際売ってますし、などと言う鬼灯に僕は答える
「商品出してもらおうなんて思わないよ。それに僕が食べて欲しいんだ」
ダメ?と言えば何度か目をぱちぱちさせた鬼灯がふいっと後ろを向く。
「…ダメじゃないんじゃないですか」
髪の毛から覗く耳が少し赤い気がした。
まさかな、そう思いながら深呼吸をした。珈琲の香りが鼻腔に充満する。
明日どんな甘味を持ってこようか、自然とニヤつく頬を手で押さえていれば「何ニヤついてんですか、気持ち悪い」と心底不快そうに眉を顰められた。
「べつに!」
机に伏せる様に、鬼灯に顔がみれない様に俯いて、明日からのレッスンの時間に思いを馳せた。