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    kochi

    主にフェリリシ

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    kochi

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     ちょっとしたきっかけなら案外転がっている。
     授業後の訓練場……自主訓練の時に同級生呼びかけられ、フェリクスは相手に断りを入れてから応じる。ちょうど腕が重くなった頃合いだったのでリシテアには丁度よかった。

    「フェリクス、ちょっといいか? 悪いな、リシテアちゃん」
    「……構いませんが、子ども扱いしないでください」

     ちゃん付けで呼ばれるとお子様扱いに感じて、ついお約束の言葉が出てしまう。
     それは置いて、少し休息しようと考える……フェリクスとの鍛錬は有意義だが、リシテアの体力では付いていけないことが多々あった。なので一息の時間は大歓迎、お菓子があれば尚良し!

    (フェリクスはちょっと厳しいですから……。加減がわからないのでしょうが、剣の修練の相手では最適ですし)

     リシテア自身から訓練の相手を願い出ている上に技能も習得したいと考えてるから、易しくしてほしいと思っていない。今のままだと補習になりかねないし……まあ戦える術は多ければ多いほど良い。
     ──聞き耳を立てていなくとも、そばで話し込んでいれば勝手に耳に入ってくる。フェリクスと同級の会話はリシテアにもよく聞こえた。

    「前は見つからなかったから勝てたんだけど、今回はどうかな~って。相手チームもこっちと似たような編成だからさ、お互い手の内わかってるようなもんだよな」
    「いつも通り、俺が先陣を切ればいいだろ」
    「いやいや、いい加減対策されてるって! うちの班はフェリクスを抑えれば何とかなる〜って言われてるし……そうなんだけどさ」

     どうやら学級内での模擬戦の話らしい。班分けの模擬戦はどの学級でも行っているので、リシテアは聞こえた話を基に戦略を練ってしまう。彼女は作戦を考案したり指揮するのが得意が故。
     ……十五分ほど経過した頃だろうか。なかなか良案が見つからないようで、二人は天を仰ぎ始めていた。見かねた、というより時間を無駄にしたくないリシテアは話に割って入った。

    「あの、差し出がましいと思うのですが、こうしてはどうでしょうか?」

     幾つかの編成と作戦案をリシテアは伝えていった。よくある定石を少し変えたものだが、フェリクス達には妙案に聞こえた。

    「あーいい、それ! うまく動けそうだし、僕の見せ場も出来そうだ。フェリクスに取られっぱなしだからな〜!」
    「そんなつもりはない」
    「あのな、役割なしってのもけっこう寂しいんだぞ……パッとしないし、先生からの評価上がらないからさ。ありがとう、リシテアさん! 早速、他の班員にも伝えてみるよ。邪魔したな~」

     爽やかに感謝と別れの挨拶して、青獅子学級の彼は訓練所を出て行った。目線で見送ると互いに訓練の再開を促す。

    「良策だった。感謝する」
    「いえ大した事してません。即席ですが、クロードの班と対戦するわけじゃないので何とかなると思います」

     クロードが相手だと苦心すると言ってるようなものだった。指揮関連が苦手なフェリクスは大変だなと苦笑して、しばらく剣技が飛び交った。

     そこで終わると思いきや、後日思わぬ方向に行った……。

    「少しいいか。お前の力を貸してほしい」

     教室へ戻る際の廊下でのこと。何のことだろう? と訝しげにリシテアは頷き、フェリクスは短絡に要件を伝えていく。

    「以前、戦略に貢献してくれただろ」
    「ええ、ありましたね」
    「それから班の連中と話して、お前の作戦が採用されることになった。だが、俺達で活かせるか不安の声が出てな。なら、いっそお前に入ってもらった方が早いって事になって演習の助太刀を頼みたい」
    「わたしが助っ人ですか?」
    「そうなるな、先生からの許可は貰っている。元々、俺達の班は他の班より少なくて都合が良い」

     学級内外での協力は珍しくないが、教師の許可が必要だったり自身の課題に支障が出たりと意外と面倒だ。幸い、今のリシテアは忙しくないし、これを機に他の学級の様子を知るのも悪くない。

    (鷲獅子戦前に情報を仕入れておいて損はないですね。どういった編成を好むのか知れれば傾向が読めますし、戦略上優位に立てます)

     作戦系統及び指揮を取るリシテアは打算的に考えた。探りを入れようと画策している彼女の意図に気付かず、フェリクスは返事を待つ。

    「前向きに検討します。とりあえず、みんなと話し合って調整したいので少し待って貰って良いでしょうか?」
    「ああ、構わん」

     あっという間に話は終わり各々教室へと向かう。ほくそ笑んで、足取りが軽やかになっているのを知る由もなく……金鹿学級はリシテアの課題協力を快く承諾した。

     後日、課題協力で参加したリシテアを青獅子学級の皆は喜んで受け入れていた。

    「いやーリシテアちゃんが入ってくれるなら楽勝だなー!」

     彼女は今期の最年少入学生で知名度があり、皆が名を覚えている様子に驚いた。知らず勝手に広まるのは人の性。

    「よろしくお願いします。早速ですが、幾つかの作戦とその補強案を考えてきました」
    「えっ、そんなに!?」
    「ええ、やるからにはきちんとしたいので!」

     子ども扱いしないでください、と言いたいのを抑えて、自身が考えた攻略法を語っていった。リシテアのプライドを示すように。

    「編成や相手チームのことを含めて再考しました。まずは、この位置に弓兵を潜めておきます。此処なら身を隠せて飛行部隊の強襲に対応できますし離脱も容易です。相手は先にフェリクスを狙うか、居所を探って他の事が疎かになるでしょうから、これを利用します。最初からフェリクスを最前に配置して、後衛は距離を置いて動くのを前提にして、それぞれ分散して相手の動きを見ていこうかと。それと……」

     矢継ぎ早にリシテアは考えた案を伝えていった。彼女としては普段通りなのだが、慣れていない……というより、綿密に作戦を立てる事が少なかった班員は呆気に取られてしまう。

    「す、凄い情報量だ……」
    「そんなに深く詰めた事なかったな」

     大体はフェリクスが孤軍無双の力押しで何とかなっていた班だったため智略戦は疎かった。そもファーガスは英雄の遺産を活かした戦法がスタンダードで圧倒的な強さを誇っており、下手な考え休むに似たりな背景がある。

    「まだ半分も話していませんが? 金鹿学級では複数の案を考えておかないと出し抜かれてしまいます。地形を活かさないと膠着状態は常ですし、この間はラファエルが木々を殴り倒して道を作って奇襲してきましたから……まったく、どこでそんな無茶苦茶なやり方を覚えてきたんでしょうか!」

     悔しげに言い放った話に皆は納得し、一部は覚えがあるなと首を傾げた。
     情報量に圧倒されつつリシテアの提案を咀嚼し、より緻密に練って個々の裁量に合わせた戦略を考えていく流れになる。

    「聞いたところによると相手の騎兵は飛び出しがちのようですね」
    「どっからそんな情報仕入れるんだ……」

     フェリクスは思わず口にした。リシテアは、まるで最初からいた班員かのように一人一人の個性を把握しており、相手の班構成や過去の戦歴まで知り得てて不可解だった。

    「すみません、情報収集は基本中の基本なのですが時間が足りなくて……まだこれくらいしか手に入れてないんです」
    「そうじゃない!」
    「引き続き調査を続けますが、現状の結果で話していきますね。えーと、飛び出しがちなら誘導して迎え撃てば優位に立てます。前日が雨で濡れていたら足を滑らせるのも狙って、天候を気していきましょう。前衛はフェリクスに任せて、他の班員は敵の陣地に向かいましょう。バゼルは先の平地へ、セフィラは支援を、ダグラスは身を隠しながら先行していきましょう。そこからの天馬ですが、こちらの分が悪いので迂回してでも避けた方が良いです。追跡されないように警戒して、その後は……」

     澱まなく攻略法を伝えていくリシテアの話を班員一同口を閉じて紙に綴ったり、頭になんとか残す。的確な指示だと思うが、いかんせん多い! 覚える事が多い!

    「り、リシテアさん、そんなに張り切らなくても大丈夫だから……今までフェリクスでどうにかなっていたからさ」
    「まあフェリクス頼みだったんだけどね」

     班員の二人がごちた。それを聞いた彼女はより口角を上げる。

    「いえ、だからこそ都合が良いんです!」
    「ええ?!」
    「これまではフェリクス単騎でどうにかなっていたのでしょうが、今後もうまくいくとは限りません。次の相手は騎兵や飛兵もいますし、先手を取られてしまいます。それにフェリクスは人と合わせるのが苦手ですし、誰かをフォローしようにも経験が足りなく未熟で実質単独行動です。今の陣営は、フェリクスに合わせられてると言っていい状態です」
    「……俺の批評は今いるか?」

     堂々と評定するリシテアに苦言を表したが、図星なので多少の苛立ちで抑える。別に気にしてない!

    「つまり、相手はフェリクス以外戦力にならないと油断しています。なら、そこを突けば容易に陥落できます。わたし達が連携して、各々力を発揮すれば十分勝てます!」

     声と拳に力を込めて、班員達を奮い立たせる。戦力外通知を言われたのに彼女の鼓舞を受けて、心に火が点いていく。

    「俺たちの」
    「私達の」
    「力で勝てる……」
    「はい、勝てますよ! そのための助力は惜しみません。できることはまだたくさんありますから!」

     作戦会議は盛り上がっていく。リシテアの援助を得て、かつてないほど戦略が練られていった。会議に入り込めず、一歩引いて眺める者は『そこまで本気にならなくても……』と口に出さずにいた。
     ──作戦がまとまり解散の運びになった際、リシテアは声をかける。

    「フェリクス、今回の作戦のことで話しておきたいことがあるんですが時間ありますか?」
    「いいだろう」

     彼も作戦会議に参加していたが、先陣を切るフェリクスを中心に地形や配置を活かしたサポートや別行動での話が主だったので、ほぼ蚊帳の外であった。『フェリクスは普段通りでないと作戦が露見して困ります』と言われてしまうほど。
     扱いに不満がなくはないが、作戦主のリシテアからの話なら当然聞くべきだ。

    「先ほどは全体の話でしたので省きましたが、あんたも作戦に沿った動きをしてほしいんです。最前線は一番危険ですから」
    「いつもの事だ。目に入った奴から始末する」
    「ええ、それで構わないのですが、いくつか気になる点があるので伝えておきたいんです」

     そうして教室残る二人。にこやかになったリシテアは束になった紙をフェリクスに差し出す……およそ二十は重なっているレポートを。

    「あんたのために特別に作ってきました!」

     ……は? 何を?
     フェリクスは茫然とする。

    「わかってる範囲で相手の情報を書き出しましたので目を通して、覚えておいてください。特に前線の騎馬と剣士に気を配ってください。おそらく二人がかりでフェリクスを狙うので連携させないようにしてください」
    「……これを全部!?」
    「ええ、今はこれだけです。訓練や演習の様子を見れれば、もっと情報を集めれると思うので頑張ります!」

     要らない、と口から滑り出しそうになったのを堪えた。戦闘に必要な事項がぎっしり書かれた束は並大抵の労力で出来る代物ではない。ざっと目を通してみると分かりやすく図解付きでフェリクスに合わせて記されている。
     彼女の時間をかけた集大成を要らないと言う訳にはいかない……お菓子と違って有用な分、フェリクスの腕に紙束が重く圧し掛かる。

    「な、何もそこまで本気にならなくても……」
    「生半可な気持ちで引き受けていませんから。やるからには全力を尽くします!」
    「そ、そうか」

     ありがた迷惑、という言葉を飲み干す。リシテアのやり方で演習に尽くそうとしているのに水を差すのは悪いし、戦闘に貢献しているのだから何も言う事はない。何より、フェリクスがリシテアを誘ったのだ……妙に彼女生き生きしているのは好都合。
     たぶん甘いもの同様、戦術を試行するのが好きなんだろう、理解できないが……という感想は仕舞っておいた方が良い、とフェリクスは結論付ける。

    「……ぜ、善処する……できる範囲で」

     歯切れの悪い返答になるフェリクス。作戦を立案してくれたのだからと言っても覚える事が多い! 普段の三倍はある!

    「変更があれば都度お伝えしますね」
    「一応聞くが……金鹿学級では、これが普通なのか?」
    「いえ、金鹿学級では情報が漏れないように相手チームは伏せられますから内容が変わります。事前に分かる分、緊張が走りますね。お互いに筒抜けですから、演習日までどう過ごしたら良いのか」
    「うちはそこまでやらん……」

     ため息に似たツッコミは彼女の耳に入らないようだ。

    「相手の班員がわかっていても油断できませんよ。当日、入れ替わってる可能性も視野に入れておかないと……あと前日の食事に気を付けてくださいね。何を盛られるかわかりませんから!」
    「暗殺が課題じゃない! 疑心暗鬼が過ぎるだろ」
    「何言ってるんですか? 食事に気を配るのは当然ですよ。敵に毒を仕込まれたら勝てるものも勝てませんし、腹痛での戦闘って想像より辛いんですよ!」
    「やられた事あるのか……」

     呆れるフェリクスに対して、リシテアはムッと頬を膨らませる。戦場では何があるかわからないんですよ! と、あらゆる事態を想定して対応できる重要性を説くが彼にとっては警戒し過ぎである。

    「ともかく、作戦内容には目を通しておいてください。それと、どんな些細な事でも教えてくださいね」
    「……おい、相手の好きな食べ物まで知る必要があるのか」
    「必要ですよ、趣向と好みが分かれば話を引き出す要因になります。情報を引き出す糸口になるんですから見くびらないでください」
    「だから偵察は課題にないんだが」

     どっちかと言うと隠密の課題に近い気がしてきた。
     何にせよ、反論はない。理に適っているし、リシテアが加わっての戦略は有益に働いてる。やる事は多く苦手な分野だが、戦場で役立つ事ばかりでやらない理由はない! と彼は言い聞かせる。

    「…………やるしかないか」
    「地形図を元に演習場所の下見もしたいですね。場合によっては木を切り倒したり、落とし穴や藪の準備をしておくと良いってレオニーが言っていました」
    「何と戦う気だ」

     情報戦かと思いきや荒々しい戦法が入ってと忙しい演習になりそうだった。
     そして、後日班員と下見に行っては皆で地形を叩き込んで、ちょっと小細工して作戦を練っていった。

     ★★

     迎えた青獅子学級の班対抗演習日は快晴だった。だが、一昨日から前日まで雨が続いており地面は泥濘んでいた。

    「予想通りです。作戦Dプランに替えて、装備を整えて足元に注意して進んでください。この状況だと互いの移動速度が減退しますが、時間ができると考えて落ち着いていきましょう」
    「了解です!」

     想定していた装備に替えて、作戦行動をこなしていく班員一同。フェリクスは前衛なので駆け足で歩を進め、敵を迎え撃つ。事前対策していたため、泥濘みでも足は重くならず驚嘆する。
     そして、各々の役割に準じて臨機応変に戦記を綴っていった。地形を活かしての戦法は難なくと相手チームを撃破して快勝に導いた!

     そして、反省会……。

    「あんた、注意事項目を通したのですか?」
    「目は通した……」
    「そうですね。前半はレジュメ通りに進みましたが、中盤からは頭に入ってなかったですね」
    「作戦の全部を覚えられるか! 学級演習にそんなに作る必要があるか!」
    「さ、作戦は幾つあってもいいじゃないですか」
    「限度があるだろ! 頭に叩き込むにも時間が足らん」

     ぐっと言葉に詰まるリシテア。たしかに普段より多くプランを練った。しかし、それは参戦する以上、全力を尽くして責務を全うしたい思いからであるが……張り切り過ぎたが。

    「すみません……たしかに時間が足りなかったですね。もっと要領良くするべきでした」

     リシテアの思いはフェリクスも理解している。存分に腕を発揮してくれて感謝している……だが、それでも言いたくはなる。

    「まあ……作戦を無視した事は悪かった」

     バツの悪いフェリクスの謝罪にリシテアは言葉を重ねる。

    「いえ、配慮が足りなかったです。すみません、あんたの言う通り多かったですね。──まずは兵法や戦術について深く話せば良かったですね!」

     ……ん?

    「作戦の内容が明解になれば頭に入りやすかったと反省しています。基本を知らずに応用できませんから、まずは作戦の基盤をしっかり抑えるおくべきでした。限られた情報をうまく活かしたと思えませんし、不足を補うための対処も万全でなかったです。はあ……まだまだ未熟ですね。これではクロードに負けてしまうのも仕方ありません。個人の裁量に適した戦略を練って、臨機応変に対応しなければ同じことの繰り返しになってしまいます」
    「……あ、ああ」

     なんだか変な方向に進んでいるような気がするフェリクスだが、リシテアは納得して反省しているようだ。だが、そこまで深く考えていいのでは? という思いが彼の中で膨らむ。

    「そんなに気にしなくていいと思うが」
    「駄目ですよ! 失敗を活かさないといつまで経っても成長しません」
    「気骨は良いが、言うほどお前の失態はないだろ」

     時間を無駄にしたくない決意が強い分、リシテアは合理性と効率を求める。彼女の頭は既に次回に向けて試行していた。

    「頑張れば、もっと結果を出せました! 今回は全体的に時間が足りませんでしたが、常に戦況が優位な訳ではありません。その時の状況に合わせて、より実用的な作戦を立案して力を奮ってこそです。力量が備わってないと無駄に味方を疲弊させてしまいます!」
    「……理解できるが、何故そういう話になる」

     さっきの演習の反省だよな? と展開が理解不能だった。
     リシテア当人が意欲的に臨んでいるのなら口を挟むのは野暮だ……とフェリクスは押し黙る。

    「今回は決め手には欠けている気はしていたんです。なら基本に戻るべきだと思います。あんたは色々と破天荒な行動が目立ちますし、これを機に戦術を学ぶべきです。わたしも付き合います!」
    「要らん」
    「人に教える事で理解が深まると言いますし、フェリクスは単独行動が目立つ分教え甲斐があります。あんたのような人を鍛えるのは良い経験になりそうです」
    「何故そうなる……」

     お菓子の事といい、リシテアは強引で話を聞かない時が多い。しかし、訓練だからと怠けて適当にするのはよくないし、実戦は将や兵の質で大きく変わる。良い師に恵まれても付いていけなければ意味がない。
     フェリクス自身、いつまでも単独先行して勝利できないと気付いていた。兵法や戦術、指揮を学んで鍛えていかなければと……気は進まないがリシテアは適任だ。

    「…………付き合ってやらなくもない」
    「はい、任せてください!」

     絞り出した返答に彼女は元気よく応えた。妙なやる気の火が点いたリシテアはありがた迷惑……というと怒られるが、また面倒が増えたとフェリクスは嘆く。
     もちろん、演習で得た情報は後の鷲獅子戦で大いに活かされた。
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