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    東野文風

    小説オンリー。二次創作の掌編を投げる予定

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    東野文風

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    #ドラロナワンドロワンライ一本勝負
    @DR_60min
    第4回目『デート』で参加させて頂きました(計130min)
    できてるらしい読切ドラロナが夜の植物園に行く話です。よろしくお願いします。

    お土産に赤い薔薇を一本買った 今日も今日とてロナルドに呼び出されて外に躍り出る夜。本日の目的地は、某県某所にある植物園であった。
    「へー、色々あるもんだねぇ」
    「約七百種、約六万本あるんだとよ」
     興味深そうに周囲の花壇に植えられた花を見回すドラルクに、ガイドブックを手にしたロナルドが淡々と返す。すっかり日が落ちた夜空の下、淡い光で照らされた植物が彼らを取り囲んでいた。
    「ねぇロナルド君、私あっちの熱帯植物館っての見てみたい」
    「……お前それ、暑さで死ぬんじゃねえの」
    「一回だけ、一回だけ試させて! まだ今日は死んでないから数分で復活できると思うし! それに、仕事なら全部見回る必要があるだろう?」
    「それは……くそ、仕方ねぇな」
     一回死ぬまでだからな、と不承不承といった態度で許可を出したロナルドにドラルクは微笑む。一回までと言いつつ、次案を出せば乗ってくれることが簡単に想像つくのが楽しい。仕事とはいえ、彼がわざわざチケットを用意し誘ったという事実に、己が思った以上に浮かれているのを感じる。
     ロナルド曰く、今回の仕事は退治後の経過観察らしい。何でも以前、名も家柄も知らぬとある同胞が園内に細工し、およそ三割の植物が吸血鬼化してしまったそうだ。ロナルドを筆頭に退治人たちが懸命の除草作業を行ったお陰で沈静化したらしいが、一度吸血鬼化が発生した場所は再発の危険性を孕んでいる。そういう訳で、定期的に見回りを行うことになったとのこと。
    「いいか、今日みたいに夜に一般開放している日は客が危ない目に遭ってないかも注意しなくちゃならねぇ。お前もはしゃぎ過ぎんな、変な感じがしたらすぐに言え」
    「まぁまぁ、何か起きるまでは楽しもうではないか。でも少し意外、ロナルド君ってこういう地道な仕事も引き受けるんだ」
    「あー……」
     少しばかり口ごもり、露骨に視線を逸らしながらロナルドが答える。
    「ま、持ち回りの仕事も偶にはこなさねぇとだからな。独立してるからって、ギルドとの繋がりを疎かにする訳にもいかねぇし」
    「ふーん?」
    「な、何だよ」
     帽子と前髪で目元を隠したロナルドの顔を覗き込むと、一歩引いて彼がたじろぐ。その反応を楽しみながら、いやぁ、とドラルクは揶揄うように言った。
    「こういう仕事をする時のロナルド君って、ささっと一人で片付けてしまうだろう?」
     自分たちはコンビを組んでいるものの、ロナルドの退治全てにドラルクが呼ばれる訳ではない。対処法が明確になっている下等吸血鬼等については、ロナ戦のネタにもならないからと彼一人で手早く解決してしまう。ツチノコを保護するに至った例の屋敷みたいなイレギュラーにぶち当たらない限り、そういった依頼の話は終わった後に城でロナルドから聞かされて終わることが多いのだ。
    「それなのに最初から呼び付けるとは……そんなに私と植物園を回りたかった?」
    「っ!」
    「なーんて冗談、って、あれ?」
     突然立ち止まったロナルドを追い越してしまい、不思議に思ったドラルクが振り返ると。
    「……ロナルド君」
    「ちが、これは」
     とてもとても“ロナルド様”ファンには見せられないぐらい、顔を真っ赤にした彼が口元を覆って首を微かに横に振る。今が夜で、ここが屋外かつ人間たちの活動エリアで本当に良かった。こんな姿を他の吸血鬼に見られて目を付けられては堪らない。
    「君、もしかして本当に」
    「んっ……な訳ねーだろが! ロナルド様が仕事へそんな、デートみたいな浮ついたもん持ち込むとか有り得ねぇんだよ!」
    「えっと……私、デートとは言ってないけれど」
    「あ」
     自ら墓穴を掘ったことに気付いたらしく、ロナルドの表情が強張る。返す言葉を見失って狼狽えている様が何とも可愛くて、ドラルクの口元に自然と笑みが浮かんだ。
    「そういうの、意識してくれてたんだ」
    「……しないでいられるかよ」
     観念した様子で、ロナルドは決まりが悪そうに答える。
     ――見回りが異常なく終わった時、閉園まで時間が余っていたら少しだけそういうこともできるんじゃないかと思った。何をするかは全く思い付かなかったけれど。
     ぼそぼそと白状する彼の帽子の鍔を上げると、ブルーローズより手放しがたい青と視線が合う。エンタメと退治に取り憑かれたような人間との交際は三歩進んで二歩下がって一歩下がるような状況が続くものだと思っていたが、向こうも案外しっかりと進展を望んでくれていたらしい。もしも今日が貸し切りだったら抱き寄せてキスできたかと思うと、少しだけ惜しかった。
    「ロナルド君、今度は仕事抜きで外で会おうよ。一緒に遊ぼうじゃないか」
     まずはドラルクから、誘いの言葉を掛ける。意地っ張りの青年が、更に歩み寄ってくれるように。
     こちらの意図を察したらしいロナルドは、頬に赤みを残したまま「今回役に立ったら、考えてやる」とぶっきら棒に返す。それで十分だった。
     役に立とうが立てまいが、ロナルドが自分なりの理屈を付けて誘いに乗ってくることを、ドラルクはちゃんと分かっているのだから。
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    東野文風

    DONE #夏のヌーフェス
    オンリー開催&ヌー君お誕生日おめでとうございます!

    こちらは「お3」の展示小説になります。
    ・Δ世界線でジョンとノース本部長が睨み合ったりにっぴきがワヤワヤしたりする話です
    ・主従の出会った時期とか色々捏造してます
    ・ジョンはドラルク隊の隊長補佐という役職を持っている設定
    ・本部長が憎まれ役っぽい立ち回りに見えるかも

    全体的には平和でほのぼのな話です。よろしくお願いします!
    お勤めマジロとスコーンとヒゲ「どうしました、おじい様……この子を、私に?」
     その時のことは、いつまでも覚えている。
    「は、拾った? 大丈夫なんですか条約とか法律とか……問題ない? 本当ですね、何かあったら助けて下さいよ?!」
     子供の小さくて柔らかな手の温もり、まだ頬が痩けていないあどけない面立ち、声変わり前の溌剌とした少年声。
    「はぁ……えっと、こんにちは」
     そして、一等星のような黄金色の目と視線が合った瞬間、直感したのだ。
    「……ふふ、君、テニスボールみたいだな」
    「ピュー」
     己はきっと、彼に出会う為にこの世界、この時代に生まれたのだと。

    「さぁ、そこに掛けたまえ」
    「ー……」  
     吸血鬼対策課本部のとある一室。部屋の主に促されてフカフカの椅子に渋々座った一玉のアルマジロは低い唸り声を上げた。
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    related works

    sirokuma594

    DONE200年物のメッセージボトルがようやく退治人の元に流れ着いた話
    #ドラロナワンドロワンライ一本勝負 (@DR_60min)よりお題「海」で書かせていただいたものです。
    純情inボトル、onペイパードラルクが初めて手紙を書いたのは、8歳の時の海辺でのことだった。

    流れる水の傍というのは、吸血鬼にとって昼と同じくらい恐ろしい。虚弱なドラルクであれば尚更だ。人間の子供であっても海の事故は多いという。当然、心配性の父母はドラルクを海になど連れていきたがらなかった。

    「おじいさま、あれはなんですか?」
    「手紙。瓶に入れてどこかの誰かが流したの」
    「てがみ! よんでみたいです」

    偉大かつ子供のような祖父の腕に抱かれ、ドラルクは海辺の綺麗な小瓶を指差した。夜の砂浜に動くものは二人の他になく、曇り空の果てから真っ黒な水が唸るように打ち寄せる音だけが聞こえていた。
    ドラルクは祖父に似て好奇心が旺盛だった。血族には内緒の二人きりの冒険にも当然付いていく。手紙入りの綺麗な小瓶も当然欲しがった。祖父はキラキラと期待に満ちた孫の顔を見て、裾が濡れるのも構わずにざぶざぶと波打ち際を歩いて行った。祖父の大きな手の中に収まった透明な丸い瓶を見て、ドラルクはさらに目を輝かせた。
    5312

    東野文風

    DONE #ドラロナワンドロワンライ一本勝負
    @DR_60min
    第11回目『バトル』で参加させて頂きます(+10min)
    できてる本編ドラロナで糖度はあっさりめ。ドさんが捕まって闇コロシアムの賞品になったり、殴り込みに来たロくんがスケスケの衣装を着たりする話です。よろしくお願いします!
    催眠かセロリでも持って出直してこい ――やたら華美で豪奢な前時代的なコロシアムの中に、観客たちの歓声が湧き上がる。
     円筒形のケースの中に博物館の展示物のように押し込められたドラルクは、冷めた気分で最上階から見える景色を眺めていた。頭上の空気穴は砂粒を通さないようにきめ細かいメッシュが貼られており、適当に壁を蹴った反作用死で脱出を試みることは難しそうである。
    『それでは、本日の豪華賞品を求める勇敢な挑戦者を――』
    「はー……」
     つまらない気分のまま、ため息を吐く。自分が賭ける側になったり実況席に座ったりするならともかく、ただただ身動きできない賞品のように扱われるのは面白くない。
     スピーカーから聞こえる実況はスルーしつつ、反対側に見えるVIP席らしき場所へ視線を向ける。「悪い吸血鬼が私有地に潜んでいる気がするから調査して欲しい」という、やや具体性に欠けた依頼を事務所に持ち込んできた人間が一人、その男に露骨にゴマすりされてふんぞり返っている吸血鬼が一人。どうも自分たちはまんまと嵌められたようであった。
    2074