HAPPY RE:birthday 目を覚ますと、辺りは真っ暗闇だった。
一切の光源を絶たれ、誰の気配もない夜の空気が真田の部屋を埋め尽くしている。
ベッドから下りて部屋の照明のスイッチを押す。すると部屋の中は昼間同然に光で満たされる――はずだった。
「……?故障か?」
いくら押しても明かりは点かない。せめて今の時刻を確認しようと、ベッドの側に置いてあるデジタル時計に手を伸ばした。ところが、液晶は何の数字も示さず、一切の機能を停止している様子だった。
ならばと携帯電話を開いてみるが、こちらもやはり画面は真っ暗で何の操作も受け付けない。
「……もしかして」
冴え切らない頭のまま、慌てて窓際へ駆け寄り乱暴にカーテンを開ける。窓の向こう側に見える街は、立ち並ぶ街灯も見渡す限りの民家や商業施設も、全てが死んだように静まり返った闇に沈んでいた。
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