土曜の昼 当然のことながら、半井整の性格は良く分かっている。昼和食が食べたかったことも、その後一緒にぶらつきたかったことも。
「……せえ」
想定外だったのは、足を踏み入れた店に偶然それがあったこと。整の足が止まってしまったことだ。我が家に最も不必要なもの。派手な見た目のイエスノー枕。整の目は釘付けになり、場から一ミリも動かない。
「……キッチンペーパーがなかったな。せっかくだから買っておくか」
「うん」
話を逸らすべく別話題を持ってきたが、整の足は石膏で固められたように動かない。このまま放って、自分だけ移動して良いだろうか。いや、その場合勝手に買う可能性もある。それなら前もって排除しておく必要があった。
「ティッシュも買っていくか。他にいるものがあるかもしれない、店内も見てみるか?」
3513