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    WritukoM

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    玲マリ文字書きです。

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    玲マリ前提のお見舞いイベントに関しての妄想。
    マリィがいない学校で玲太くんはどんなだったのかな、というお話です。
    モブクラスメイト男子がご活躍です。

    お見舞い、行ってらっしゃい。暑くなったり、また涼しくなったり、季節の変わり目は空模様がコロコロ変わる。
    昨日は曇りで肌寒かった。
    今日は快晴。長袖シャツでもじわりと汗をかくような気温。
    そりゃあ体調も崩すだろうという変わり方。

    見上げれば雲一つない青い空で、あいつなら「外でお弁当食べたいね」って言いそうな天気だ。
    そうできればよかったのにな、と思いながら窓の外を眺め続けていると、勢いよく白線を引くように飛行機が飛んでいくのが見えて、「おぉ」と小さく声が漏れる。
    一面の青に白い直線の絵になる景色、あいつが見たらなんて言うだろうか。

    「風真、堂々と余所見し過ぎだ」
    「あ……。すみません」

    いつの間に傍まで来ていたのか、御影先生が呆れ顔で俺の前に立って、トンと軽く机をたたいた。
    クラスメイト達がクスクス笑う中、俺は平謝りして黒板の方に目を向けた。
    あいつにこんなカッコ悪いとこ見られなくてよかった、とちょっとだけホッとした。


    「風真ー、彼女いなくて絶不調すぎないか?」
    「オレ、昨日おまえが階段踏み外しそうになってるとこ目撃した」
    「あ、下駄箱の扉で頭打ってたよな」
    「醤油とソースかけ間違えたんだっけ?」
    「そーゆー細かいミスばっかな。派手な失敗はしないとこが風真だよなー」

    授業が終わると、クラスの男どもが俺を囲んでやたら楽しそうに、ニヤニヤと視線を向けてくる。

    「おまえら、うるさい」

    面白がられてることに俺は憮然として顔を背ける。
    いつもバカみたいな話もする気やすい連中だけど、こうもいじる気満々でこられると、さっきの余所見で失敗したばかりだし居心地が悪い。

    「あと、……彼女じゃない」

    訂正は、きちんとしておく。
    希望ではあるけど残念ながら現時点で、あいつはそういう肩書ではない。

    「真面目だねー。こういう時こそガンガン連絡取ってアピールしてきゃいいのに」
    「そーゆーのはしない。風邪引いて寝込んでるのに、邪魔になるだろ」

    あいつが学校を休んでもう3日になる。
    悪化したりはしてないだろうか。
    少しは良くなってるんだろうか。
    心配で、気がかりで、落ち着かない。
    早く元気な姿で、いつもみたいにニコニコ笑ってるのが見たい。

    あいつがいない学校で、もう3日も過ごしてる。
    変わらず賑やかな場所のはずなのに、寂しい。
    あいつと一緒なら。
    あいつが見て、聞いていたら。
    そんなことばかり思い浮かぶ。

    「ご近所なんだろ? お見舞い行ってみりゃいいじゃん」
    「行けるもんなら……」

    本当は毎日だって様子を知るために訪問したいぐらいだし、声も聴きたい。
    でも、あいつの体調を考えるのが一番だから。
    じっと祈るように回復を待ってる。

    「ほんと、風真は彼女思いだねぇ……」
    「だから」

    彼女じゃない、と悲しい訂正を入れようとしたとき、ピコンとスマホの通知音が鳴った。
    画面を見ると、あいつからのメッセージが開く。

    『熱は下がったよ。もう少しで元気になるよ』

    もう一度ピコンと、笑顔のキャラクターのスタンプも送られてきた。

    「よかったな、風真!」

    一緒に画面を覗き込んでた奴らが、俺の背中や肩を叩きながら盛り上がる。
    バシバシとなかなか痛い、けど嫌じゃない。
    今度はニヤニヤじゃなく、ニコニコと朗らかに、あいつの回復を喜んでる。
    あいつが見たら、何て言うだろう。

    「お見舞い、行ってくる」

    その盛り上がりに鼓舞されたように、俺は勢いづいてそう口にしていた。
    からかわれるのは嫌なもんだし、あいつに余計なこと吹き込んだりしないか気にすることもあるけど。

    「おう、行ってこい!」

    気持ちのいい返事は、確実に俺の背中を押してくれた。
    こういう関係もいいもんだな、と、言わないけど、そう感じたことは憶えておこうと思った。
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