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    naso10141225

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    naso10141225

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    以前、『新居』のお題で書いたSSです。
    親リWebオンリー用の『原作軸/親リ』の話に少し繋がっています。

    #エルリ
    auricular

    新居「新居?」
    「ああ。ナイルが、ウォールローゼの東に新しく家を構えたそうだ。先程手紙が届いた」

    執務机でペンを走らせているエルヴィンはそう答え、ソファに座り、届いたばかりの手紙を眺めているリヴァイはチッと舌打ちをした。

    「あの薄ら髭にそんな甲斐性があったとはな」
    「はは。いつか挨拶に行ければいいんだが」
    「別に必要ねぇだろ」

    面倒な顔をして手紙を机に放ると、リヴァイは自分の執務に取り掛かり始める。
    暫くはカリカリと互いの筆の音だけが聞こえていたが、ふと、エルヴィンが呟いた。

    「リヴァイなら、新居はどこにする」
    「あ?」

    突拍子もない言葉に眉をひそめ顔を上げるが、エルヴィンは書類に目を向けたまま手を動かし続けている。いつもの眠気防止のくだらない雑談かと、リヴァイも書類へ目を戻して答えた。

    「そうだな。うるせぇのは御免だ。山の中でいい」
    「買い物には不便じゃないか?紅茶も毎日飲みたいだろう」
    「紅茶は買い溜めすりゃいいだろ。買い物もたまにでいい」
    「なるほど。では、庭で家庭菜園すればいいな。ある程度の物は作れる」
    「ああ。山の実も採れるだろうしな」

    お互いに書類を書きながら話は続く。

    「二階くらいは欲しいな」
    「あ?馬鹿言え。俺にそんな広さがいるか。一階の小せぇ家でいい。台所とリビングがありゃ十分だ」
    「書斎もないのか……。では私の本棚はどこに置けばいい?」
    エルヴィンの言葉にリヴァイはぴたりと手を止めた。

    新居は……一人ではないらしい。

    リヴァイは書類を見つめていた目をちらりと上げて男を見たが、エルヴィンは相変わらずサラサラと手を動かし続け、表情に変化はない。
    リヴァイは書類に目を戻すと、ゆっくりと手を動かし、少し考え、静かにぼそりと呟いた。

    「……お前の書斎はリビングに作りゃいい。窓辺のいい場所を譲ってやる」

    リヴァイの言葉にエルヴィンがふっと笑う。

    「確かに。一人部屋をもらうと毎夜夜更かしして、リヴァイに怒られそうだな」
    「そうだ。夜更かしできねぇよう、朝の庭仕事はお前の担当にしてやる。やらねぇと朝飯は抜きだからな」
    「はは。早起きして庭仕事か。楽しそうだな。任せてくれ」
    「どうだか。お前は朝は弱いし夜更かしは止めそうにねぇし……。まぁ実践してみねぇと、信用ならねぇな」
    「酷いな。案外役に立つと思うんだが。他には……そうだな。鶏を飼うのはどうだ?毎朝卵が食べられる」
    「ああいいな。パンと卵がありゃ贅沢だ」
    「焼きたてのパンは憧れるな。カボチャのパイも」
    「……んなもん作れるかよ」
    「ははは。そうだな、私もだ。パイは諦めよう」

    そう言って楽しそうに笑い、またカリカリとペンの音だけが響き始める。

    くだらない雑談。
    叶うとも叶えようとも思っていない二人の軽口。

    だが、妙に二人の心は満たされ、書類を見つめる頬は緩んでいた。

    「……カボチャ」
    「え?」

    ぼそりと呟いた声にエルヴィンは顔を上げ、手を動かし続けるリヴァイを見た。

    「パイの作り方は俺が覚えてやる。お前はカボチャを作れ。枯れたら、パイの中身は無しだと思え」

    素っ気ないその言葉に、エルヴィンはふふと目元を細める。

    「了解だ。立派なカボチャを作ろう」

    そう答えると、また二人は書類を見つめ執務室はペンの音だけとなった。

    静かな夜。
    二人しか知らない、小さな新居の話。







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    Replies from the creator

    naso10141225

    DONE㊗️親リWebオンリー!
    原作軸ですが、親リです。
    軽装で出掛けた帰り道、エルヴィンは小さな少年と出会う。一人で家を修理すると言う少年を手伝う事になったエルヴィンは…。
    以前書いた『新居』の二人。SSはポイピクに公開してますので、気になる方はそちらもどうぞ。
    ※ラストに原作軸通りの戦後リヴァイが少し出てきます。私なりのふんわり幸せエルリを書いたつもりですが、まだ見れないという方はご注意ください。
    親リ/原作軸(団長‪✕‬兵長)***

    夏のある日の朝。調査兵団団長エルヴィン・スミスは、平野を一人馬で駆けていた。

    非番であった昨日、いつものように執務によって一日を潰してしまい、それを知った幹部達から叱咤され、半ば強引に今日のお使いを頼まれてしまった。
    行き先はここから近い工場のある街。名目は次の巨人捕獲作戦に使える物があるかどうか、だが。この辺りにそういった物はないというのは既に承知の上だ。
    『ついでにお酒とおつまみでも買ってきてよ。のんびり馬でも走らせておいでー。気分転換になるよー』
    そう言って送り出そうとする仲間達の笑顔に、都合良くも急ぎの書類はなく、まぁ半日くらいはいいかとエルヴィンは笑顔を浮かべ、お使いを了承した。

    街までは馬を走らせ約二時間。調査兵団をよく思わない者も多く、服装は白の長袖シャツとズボンの軽装姿で、団長の証であるループタイもない。
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    related works

    きたまお

    TRAINING好きじゃないと言わなくちゃいけないへいちょ。まず、口うるさい。
     リヴァイの一挙手一投足について、ああだこうだと言う。机に向かってまっすぐ座れ、茶を飲む際に音をたてるな、食事は残さず全部食べろ、上官の話を聞くときにらみつけるな、同じ班の兵士とはうまくやれ、字は丁寧に書け、椅子で寝ないでベッドで寝ろ。無視をしてもこりずに何度も言ってくる。
     ハンジなどは、あんなに細かく言ってくるなんて、愛だよね、と呆れたように言う。
    「お母さんでもないのに、普通、大の大人に対してああは言わないでしょう。あ、別にリヴァイが小さいからエルヴィンには子供に見えているんじゃないかなんて言ってないよ」
    「うるせえ」
     たいして必要無いであろうときも、エルヴィンはリヴァイを近くに置いておきたがる。
    「リヴァイ、王都での会議に同行しろ」
    「リヴァイ、訓練には私も参加する」
    「リヴァイ、次の壁外調査では私の直属として動いてもらう」
     隙あらばずっと、エルヴィンは独り言ともつかないことを言い続けている。
    「王都に新しい店ができていてな、川沿いの四番街の先だが、もともとあのあたりは住宅街だったのに、最近は商店が増えている。住民たちの生活が安定して豊かになっているから 2195