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    noupura

    @noupura

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    noupura

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    こういう本が九月に出たらいいな〜〜
    出そうなら申し込みたいな〜〜な話

    大人になってボーダーの傍ら焼き菓子屋をしている村上とパトロンの来馬先輩の村来

    未定春が来て夏が過ぎて秋を経て冬を迎える。
    一生がその繰り返しだ。
    そして命もまた季節を繰り返していく。
    近界が昔よりも周知され、国民から理解を得た結果、ボーダーは随分と大きな組織になった。人員が豊富になった結果、トリオンの盛りを過ぎた村上は呼ばれれば新人教育や監督などを行ったが、防衛任務に就いたりランク戦を行う立場ではなくなっている。
    学生の頃は学業にボーダーに遊びにと多忙な日々を送っていたはずなのに、随分と余裕のある生活になっていたと気がついた村上は来馬へ相談した。
    来馬は数年前に一般人とボーダーを繋ぐ第三者になりたいと家業を継ぐと決断し、ボーダーを辞めている。立場的にスポンサーであることや、来馬自身の活動もボーダーにとって有益であるため、記憶はそのままだ。ボーダー内部の情報も完全に遮断されることなく、上層部で挙がっている話もいつの間にか耳に入っているような、そんな不思議な立場の男が来馬だった。
    「時間ができるのは良いことだ。やりたいことをやれば良いと周りは言いますが、オレには取り立ててやりたいことが無くて」
    素直にこれまで趣味らしい趣味を作って来なかった、同年代で切磋琢磨し合う環境こそが生きがいだったと打ち明けた村上へ、来馬は言った。
    「もし本当にやりたいことがないのなら、お菓子を作ってみない?」
    今に誘われて焼き菓子や生菓子は何度も作ったことがある。レシピに忠実に丁寧に作るから鋼のお菓子はおいしいねと来馬はいつも村上を褒めた。村上にとって菓子作りは嫌なものではない。他人の勧めに流されたいという怠惰な気持ちでやってみたいと答えた村上を、来馬は見抜いているだろう。それでも来馬は鋼の作ったお菓子が食べられたら嬉しいなってぼくの勝手な希望なんだけど、と申し訳なさそうに微笑んだ。

    結論として、村上は鈴鳴のはずれにある小さな古民家で焼き菓子屋を営んでいる。
    来馬が“持て余している“という物件をわざわざリノベーションし、村上へ貸し与えてくれたものだ。道具一式が整えられた調理場に村上は恐縮しきりだったが、与えられたからにはより美味しいものを提供すべきと決意した。
    そして村上によって丁寧に作られた焼き菓子たちは、地元の人々に愛され今日も慎ましやかに甘い香りを届けている。
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    ❤💞☺☺👏👏
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