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    ドラウズ

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    ピクミン4自機受け小説/ボルドルド隊夢小説
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    ドラウズ

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    ピクミン4の自機小説です。
    アンシーのトラウマの深堀りとなります。

    かわいそうにね

    #ピ4自機小説_アンシー

    トラウマの話「たぶん、おれが子供のころのアレが、原因だと思います」

    新米くんのトラウマを解消するために、原因を特定しようと話を聞いていた。過去を抉ってトラウマが悪化したら良くないから、言葉を選んで、慎重に、話を聞いていった。新米くん自身にも自覚はあったらしく、原因の特定は簡単だった。


    子供のころ、歴史博物館に連れて行ってくれるって、約束してもらったんです。おれの家族はあんまりそういうのに興味がないらしいけど、おれだって行きたい場所くらいあります。ねだって約束を取り付けました。
    でも、当日になって嵐になって、休館もしちゃって結局行けなくなりました。すごい悲しかったけど、子供でも流石に危ないから駄目だってことは分かりました。だから別の日に連れていってと頼みました。
    そんな直ぐに平日に休みは取れないから、しばらくあとにはなりました。一応納得はしました。
    ある日、遊園地に行こうって話が出たんです。おれの約束を先おいて。もちろん文句を言いました。おれの方が先だって。
    「あんなつまんない場所なんていいじゃん」って言ったんです。おれにとってはとってもロマンあふれる楽しいところなのに。ショックでした。
    だからおれは倉庫にこもりました。オヤツとかオモチャとかゲームとか、色々持ち込んで、つっかえ棒もつけて。非常食とか、寝袋もあったので、こもるのはちゃんと出来ました。
    好きなことを否定されたのは何度かあります。だから否定されたってだけでこもった訳じゃないんです。約束を破ったからなんです。自分の好みを言い訳にして。
    そんなおれを置いて、家族は遊園地に行きました。大人2人子供2人でちょうど良かったでしょうね。随分と楽しんできたらしいです。
    帰ってきても、倉庫にこもってるおれのことを気にもしませんでした。しかもそのまま晩御飯を食べてました。悔しいから、ちょっと高い保存食を食べました。1人パーティーってくらいには。
    結局倉庫にこもったまま夜を越えました。心配で見に来るなんてこともありませんでした。
    それが、3日続きました。流石に遊園地に行ったのは1回でしたけど。簡易トイレも水もあったので、衛生的なこともなんとかなって良かったです。
    問題はそれからでした。流石にさみしくなって出ようとしたら、つっかえ棒が変にハマって取れなくなったんです。
    もちろんガタガタ揺らしましたし、助けも呼びました。でも誰も来てくれなかったんです。
    付けっぱなしだったからなのか古いのか、たしかそのあたりでライトが消えました。窓がなかったので光も隙間からちょっと入るくらいで、代わりの電池も探せませんでした。

    多分、きっとソコなんです。

    暗くて、狭くて、寒かったんです。寝袋とか毛布があったかかったので、さむくはなかったんですけど、なんというか、こう、でもさむかったんです。
    最終的にはつっかえもなんとかとれて、部屋に戻りました。怒られたり叱られたりしたけど、心配も一応されました。けどおれのことを全然考えてない、とってつけたような心配でした。
    それからは自分の希望を出しても面倒なんでやめました。
    ちゃんと学校にも通えて服もあって、お腹いっぱいご飯は食べれました。総合的に見て恵まれてるので、子供のうちはそれを享受してましたね。

    家族に対して色々思うには思いますけど、まぁ、もう許す許さないの話じゃないんでどうでもいいんです。


    「そっかあ、そんなことがあったんだねえ」

    新米くんの長い長い独白。それはとても悲しい話だった。
    語っている間新米くんの表情は真顔じゃなくて、いつものちょっとボーっとしているような顔だった。
    悲しい気持ちや許せない気持ちを通り越して、『なんとも思わない』までにいってるのはとっても良くない。けど、なかなか解決するようなことではない。この任務が終わってからも隊の皆でちょっとずつ、長い時間をかけてこの凍りつきを溶かしていくべきだろう。

    「まだ信用出来ないかもしれないけどお、ボクらはそうそう約束を破るなんてことはしないよお」

    根本的には家族の新米くんへの対応が悪いのが原因じゃないかなあ。趣味や好みを否定して、約束を破ってる。ひとつひとつは小さなことでも、積み重なれば大きな山になる。

    「……そこは、一応信用してる、つもりです」
    「そうなんだあ!えへへ、嬉しいなあ。でもどうしてそこまで信用してくれてるのかなあ?」
    「……なんていうか、少なくともそういう人たちじゃないとは、思うんです。そうじゃなきゃ、おれが嫌です。……おれが勝手にそう思ってるだけですけど」

    随分といい人達として見てくれてたらしい。それはそれは嬉しいけど、ちょっと心配かも。

    「うふふ、そしたら新米くんの期待に応えられるよう、しっかりとしなきゃねえ」
    「……べつに、俺の期待に応えなくても、大丈夫です、けど」
    「先輩っていうのは後輩にカッコつけたいものだから、そういうのは気にしなくていいんだよお」

    そんなものでしょうか。
    そんなものだよお。



    「そうか、だからか……」
    「何か引っかかってたことでもあったのお?」

    パピヨンから報告を受け、少し疑問に感じていたことが解決した。

    「……パピヨンだから言うが、実はな、アンシーは家族との縁を切っていたんだ」

    入隊する時に色々な書類を出してもらうが、それらの情報から家族と絶縁していることが分かっていた。他人に言うものではないから、当然皆は知らない。

    「入隊時はまだ関係は浅かったからな、聞くにも聞けない。それに特に書類に問題は無かったし、面接でもちゃんとしていた」
    「人にはそれぞれの事情があるもんねえ。このことも当分は他のみんなには内緒かなあ」
    「ああ、そうしておこう」

    『きっかけ』があってやっとパピヨンに対して話してくれていた。だが、そんなに『きっかけ』があってはたまらない。やはり、徐々にアンシーとの親睦を深めて、少しでもシェパード隊が心の安らぐ場所だと感じてもらえるようにしていこう。
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