新しい太陽の燃える海 エオルゼアを取り囲む五つの海に、一隻の幽霊船が漂っている。乗っているのは船長たった一人。彷徨い続ける亡霊は、七年に一度だけ上陸を許される。その日、貞淑を捧げてくれる乙女を見つけられれば、運命から解放されるのだ。そうでなければ世界の終わりまで彷徨い続けるのがさだめ。
柔らかい客席に腰かけて、そんなオペラを見た。趣味ではなかったが、引き込まれた。
イシュガルドの劇場は、外気などまるで感じさせない作りだ。分厚い石造りの壁に囲まれ、温かく、穏やかな照明に照らされている。高い天井、美しいシャンデリア、毛足の長いカーペット。どれをとっても非日常だ。そこに、管弦楽の甘やかで荘厳な音色が響く。完全に貴族のための会だった。
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