Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    もちこ〜そよ風を添えて〜

    へけ

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 12

    【夏五】n番煎じですが、祓本の休日密着ネタです。
    ※傑が赤ちゃん

    #夏五
    GeGo
    #リハビリ
    rehabilitation

    こっそりドッキリ! 祓本密着24時


    「以上、祓ったれ本舗の密着休日特集でした〜!」
     司会のアナウンサーが満面の笑顔でそういうと、会場からは大きな拍手が起こり「それでは『こっそりドッキリ密着24時』、来週も見てくださいね〜!」という決め台詞とともに番組は終わった。続けて清涼飲料水やらエアコン取り替えやらのCMが流れる中、俺と傑はただ呆然としていた。
     同棲している2LDKのリビングには、ローテーブルとソファーとテレビ。俺はソファーでぬいぐるみを抱いて横になったまま。傑はテーブルを前に胡座をかいてナントカスーパードライの500ml缶を握りしめたまま動かない。そんな傑の足元に置いてあるスマホは先ほどから絶え間なくバイブが鳴り続け、画面はSNSの通知で光りっぱなしだった。
     俺の位置からは、高い位置でお団子に結んでいる傑の後ろ姿しか見えないが、きっととんでもない表情をしているだろう。だって放送された内容は、
    「なあ〜、付き合ってんのバレたかなぁ」
     俺たちの愛の巣もとい、この家で過ごした先日のオフが余すことなく記録されていたのだ。
     それも朝から、晩まで。

     朝といえばまず、前の晩に久々の休みだと羽目を外して抜かずの三発で大活躍したベッドにパンツ一枚で寄り添う俺たちの映像から。

    『傑〜、起きろよ』
    『んん、まだあと五分……』
    『さっきも言ってただろ、それ。ほら起きろってぇ』
     シーツの中で傑の方をゆさゆさと揺する俺と、うつ伏せになったまま微動だにしない傑が画面に映った。
    『今日オフだろー、起きて桃鉄しよーぜ』
     すると、画面の傑は顔だけ俺の方に向けて、
    『ん、キスしてくれたら、おきる……』
     キャーッと、悲鳴にも似た歓声がワイプを通じて聞こえてきた。キャプションには「しっかり者の夏油、朝はダメダメ!?」と書かれている。いや、ダメダメの域を越しているだろう、こいつこの後思いっきりキスしてきたぞ、と思ったが突っ込む前に画面が切り替わり、今度はキッチンが映る。
     あのあと、数回に渡るキスと攻防戦の末、ようやく目覚めた傑がしっかりと髪を結んでエプロンを巻き、コンロの前に立っている後ろ姿だ。
    『悟〜、卵焼きと目玉焼きどっちがいい?』
     フライパンに油を引きながら傑が問うと、今度はローテーブルでスマホをいじっている俺に画面が変わった。
    『甘い卵焼きがいい!』
    『悟は甘いの好きだね』
    『俺、傑の甘〜いやつ大好き』
    『ふふ、かわいいね。きみは』
     口元を緩めてそう呟く傑に映像が戻る。
     キャーーーッ。
     二回目の悲鳴が上がった。俺たちのただの日常くらいに、大音量で叫んでくれてありがとう。
     この映像のあたりから、傑は缶ビールを持ったまま固まっていたが、俺としては付き合っていることを早く公表してしまいたかったし「ちょうどいい機会じゃん」なんて呑気にテレビを眺めていた。

     そして昼下がり。買い物に出かけた俺たちをさすがに追うことはできなかったようで、次に移った映像は夕方だった。ソファーでとなりに座って映画を見ている俺たちが映る。傑は酒を飲みながら、俺はポップコーンを食べながらテレビに向き合っている、面白みもない静かな映像だ。
     しかし、キャプションには「夏油の右手にご注目!」。なんかあったっけ、と思い目を凝らしてみるとーー、なんと傑の右手が俺の腰を思い切り抱いていた。
     あ、これはもう俺たちの関係バレバレだな。なんて思っていた矢先、画面の傑が話し出す。
    『悟、この映画おもしろい?』
    『ん〜、ハズレかも。さっきからセックスしかしてねえじゃん。早く世界救いに行けよ』
    『だね。それに私、映画よりシたいことができてしまったよ』
     画面の中の傑が俺の方を向いて、目を細める。あ、これ放送はまずいな。
    『え、なにーー』
     傑の顔が俺のほうに近づいてあわや唇が触れてしまう、というところで「ここからは見せられません!」という文字とともに動画は終わった。
     ギャーーーーッ!
     今日一番の悲鳴。みんなありがとう。
     そんな密着映像を思い出しながら、俺はあらためて傑に向き直った。

    「お〜い、傑〜?」
     ソファーから寝たまま顔を突き出して、傑を覗き込むと案の定キレてーーはいなかった。どちらかというと半分気絶している。
    「生きてる?」
    「さ、さとる……」
    「んー?」
    「きみ、この企画知っていたのか?」
    「いーや、知らん。普通に隠しカメラだと思う。ってか伊地知がオーケーしたんならいいんじゃね」
    「そうか。伊地知は知っているか。いや〜、はぁ〜そうか。そうかぁ」
    「妖怪”そうか”連呼お化けだ」
    「いや冗談言ってる場合じゃないよ」
    「それよりお前、通知やばいって」
     俺はスマホの方を指しながら指摘するが、傑はげっそりした顔で画面をひっくり返すとそのままその場に置き直した。
    「なんで見ないんだよ。俺たち話題になってんじゃね?」
    「そりゃなってるだろうね! 裸のきみが私にキスを仕掛ける映像が全国に流れたんだから!」
    「きゃー! 傑のエッチ!」
    「あーもう、くそッ」
    「なんでそんな怒ってんの」
    「そんなの決まってるだろ」
     振り返った傑とカチリと目が合った。しばらくじっと見つめていると、やがて傑が口を開く。
    「あんな、かわいい姿の悟が猿どもに見られたんだ。しかも仕事じゃないプライベートの悟が。私の悟が……!」
    「あー、どうどう。ってかお前ファンのこと猿っていうのいい加減やめろよ」
     傑は俺の腰にしがみつきながら大声を上げている。コイツ、俺がらみのことになると急に赤ちゃんみたくなるんだよな。
    「まあいいんじゃね、もう付き合ってるって言っちゃおうぜ。ほら、明日ちょうど『笑っていいのか!』の収録あるしさ」
    「ううー! 嫌だ! 私の悟が猿どもの妄想で淫らな姿を晒すのは耐えられない!」
    「いや誰も妄想とかしねぇだろ」
    「するんだよ! 悟は知らないだけで、今だっていろいろ書かれてるんだから! 私たちのアレコレが!」
    「じゃあ今までと変わんないじゃん」
    「変わるんだよー!」
     もうこうなると手をつけられない。
     俺はよしよし、と傑をなだめるように黒髪を撫で付けた。
    「ぅっ、私の悟がッ」
    「はいはい、俺は傑だけですよ〜」
     そうやってあやしていると、今度は俺のスマホが鳴った。電話の主は伊地知だ。
    「もしも〜し、伊地知? ああ、テレビ見たよ。お前知ってたんだろ……え、知らなかった? うん、あー、そっか、わかった。傑に伝えとくわ」
     じゃあね〜、と付け加えて電話を切ると心配そうな顔をした傑と目が合う。
    「伊地知知らねぇって、この企画」
    「へ? 嘘だろ。じゃあ誰が」
    「社長だってさ」
    「硝子〜〜〜ッ!」
     伊地知からの電話で発覚したが、この企画の主催者は我が事務所の社長、もとい硝子だったという。
    「しかも伝言があるって」
    「え、なに」
    「『おまえらいい加減匂わせやめろ、事務所巻き込むくらいならもう公認にするから』だそうです」
    「ああ……っ」

     たしかにここのところ傑は共演した女優とのスキャンダル続きだったし、俺に至っては枕営業だなんだと言われて、かたや一部の雑誌では俺と傑の関係が密かに囁かれていた。
     その度に事態の収拾にあたっていた伊地知がひどくやつれているのも知っている。
    「迷惑かけんな、ってさ」
    「そうか、なら仕方ないか……」
    「そういうこと、腹括ろうぜ!」

    こうして、無事腹を括った祓本が翌朝の生放送収録で交際宣言をし、SNSのトレンドが「#祓本知ってた」「#夏油キス魔」「#五条はお前のもんだよ夏油」で埋め尽くされたのは、また別のお話……。

    END
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🅾👏💯💯💯💯💒💒💒💒💯💯☺💒💕💯💯💯💯💯💯💯💯💯😭😭😭😭🙏🙏🙏🙏🙏☺☺😭🙏🌋💴💴💴💴👏💯🙏😭💖💖💖💖💖💕👏👏👏😍😍😍💒
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    もちこ〜そよ風を添えて〜

    TRAINING祓本夏五です!
    珍しく酔ってベロベロになった傑を悟が介抱する話。
    ※以前投稿した、祓本密着企画の世界線です!(読んでなくてもわかります)
    馬鹿な恋人「ただいまぁ」
    「さ〜とるっ」
     仕事終わり、月曜の二十二時。玄関でのことだ。
    「悟〜! 随分遅かったじゃないか」
    「うっわ、酒くさ!」
    「え〜、臭くないよ〜」
     祓ったれ本舗という漫才コンビを組んで数年。「漫才界のシンデレラ」と呼ばれた俺たちはデビューしてからトントン拍子で売れっ子になっていき、お笑いの仕事はもちろんのこと、容姿や言動も相まってかラジオ、雑誌、ニュース番組と、朝から晩まで引っ張りだこだった。
     そんなわけで、ピンでの仕事もかなり増えてきた昨今だが、比較的真面目な印象を売りにしている傑と違い、俺は深夜のバラエティやラジオに呼ばれることが多かった。
     朝はニュース番組でコメンテーターとして出演する傑、昼間は二人で生放送、夜はゴールデンタイムの番組にゲストで呼ばれる俺、といった調子で、俺たちが会えるのは大抵昼間だけ。それも現場でようやく顔を合わせて収録して即別行動、といった具合だから、なかなかゆっくりと会うことも難しい。
    4034

    related works

    recommended works