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    りま!

    @ririmama_1101

    たまに絵とか小説更新します。
    主にらくがきなので薄ぼんやり(?)見てください。
    幻覚、存在しない記憶ばっかりです。

    リアクション𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮😘生きる糧です。

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    りま!

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    示談後、距離が近くなった宗戴。
    宗雲が戴天不足で会いに行くお話。
    職場の裏口で待ち伏せするのは良くないです。

    #宗戴

    衝動 今ものすごく戴天が足りない。そう思った宗雲は、気がついたら商業地区から離れた企業地区まで足を運んでいた。
     戴天がいるであろう高塔エンタープライズ本社の前で、ビルを見上げる。深夜に差し掛かる時間、一室だけ明かりが付いている。しかし特に連絡もしていないので、戴天がそこにいる確証は無かった。

     恋は盲目という言葉があるが、この歳にして本当だなと思うことがある。普段であればこのような賭けのような行動には出ない。ただ今は戴天に会いたい、その一心だった。
     表の扉は既にシャッターが閉まっている。つまり裏口から戴天は出てくる。裏口へ回ると、薄暗い社内が見えた。向こうから人ではない何かが出てきそうだ……と思って慌てて目を逸らした。
     夜になると気温も下がり、肌寒い季節になってきた。家を出る前に慌てて掴んだカーディガンの前を合わせると、段々と今の状況を冷静に考えられるようになってきた。衝動で家を出てここまで来たものの、これは俗に言うストーカーではないか?という考えにふと至る。ウィズダムでも裏口で待ち構えている客が警察の御用になったことを思い出した。
    「さすがに連絡くらいはするか……」
     そう独り言を漏らし、スマホを取り出したところで、扉が開く音がした。恐る恐る扉を見ると同時に会いたくてたまらなかった人の声がした。
    「宗雲…さん?何をやっているのですか」
     向こうも驚いたようで、扉に手をかけたまま固まっている。
    「あ、いや……お前に会いたくて」
    「はぁ……?」
     困惑していることを隠すこともなく、戴天が首を傾げた。可愛い。

     扉を閉めてセキュリティをロックする姿をぼんやりと眺めていると、施錠が済んだのか戴天が宗雲に向き直る。
    「で、どうしてこんなところに」
    「だから、お前に会いに来た」
    「正気ですか……?今何時だと」
    「それはこちらの台詞だ。もう日付も変わる」
    「いつものことです。そんなに珍しいことではありませんよ」
     事もなさげにそう言って、戴天がしまった、という顔をする。
    「こんな時間まで働くのが珍しくない……?」
    「あなたには関係ないでしょう」
    「こんな生活を続けていたら体を壊すぞ」
    「……説教をしにこちらへ?ちなみに先に言いますが雨竜くんはとっくに帰してますよ」
    「ここに雨竜がいたら説教をしに来たことになったかも知れないな」
     心配がつい先に立って、戴天があまり言われたくないであろうことを言ってしまう。でも今日はそのために来たのではない。戴天に会いたくて少しの時間でも話したくて、ここに来た。

    「これから時間は?」
    「こんな時間から出掛ける気ですか?帰って寝たいのですが」
    「一杯だけ、付き合ってくれないか」
    「もう……仕方のない人ですね」
     商業地区から企業地区まで来てこんな時間に追い帰すのは気が引けるとでも思ったのか、特に約束もせず押しかけたのはこちらなのに渋々付き合ってくれる、そんなところが好きだなと思った。

     深夜ともなると更に気温が低くなり、肌寒く感じる。拾ったタクシーの中でそっと戴天の手に自らの手を重ねると、ひんやりと冷たかった。暖めるように握ると、少しの間があって握り返された。
     戴天は照れているのか、頑なにこちらを見ようともせず、窓から外の景色を見ている。
     戴天のスケジュールに合わせていると、次にいつ会えるか分からない。たまには強引に、衝動に身を任せるのも悪くないのかも知れない。
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    りま!

    DOODLE雨竜くんが宗戴の和解を見守る話
    続きます

    ↓軽い設定
    •宗雲
    そこそこ戴天のことが既に好き。会える機会があるのなら会いたいし、アピールもしたい。

    •戴天
    宗雲のことは好きだが、それを認めることを自分に許していない。雨竜が宗雲と仲良くしていると不安に駆られる。

    •雨竜
    戴天も宗雲も兄として大好き。本当は2人にも仲良くして欲しいが、過去のことを知らないゆえにどこまで踏み込んでいいか分からない。
    兄達よ和解せよ〜お出掛け編〜「兄さん、日曜日の予定なんですが……」
     スケジュールの擦り合わせが完了し、今日も暑そうですね、なんて雑談をしている折に雨竜が切り出した。戴天は朝食を食べる手を止めて雨竜を見る。今週の日曜日は戴天と雨竜、揃っての休日だ。雨竜が珍しく習い事が夕方からだということで前々から出掛けようという話をしていた。
    「どうしました?」
     なかなか続きを話し出さない雨竜を見つめ、戴天が静かに問いかける。
    「あの、その日なんですが……宗雲さんと出掛けたいんです」
     突如出てきた宗雲の名前に、戴天は危うくカトラリーを落としそうになってぎゅっと手に力を入れる。
    (宗雲とは、あの宗雲?……それ以外に無いでしょう。突然なぜあの人の名前が?)
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    りま!

    MOURNING・嘔吐(体調不良)表現があります
    ・宗雲=叢雲の設定
    ・宗雲(叢雲)は高塔の一族でありながら高塔の隠された秘密を暴く側の派閥の生まれで、子供の頃から秘密を探っており、旧タワエンは探っていたのがバレて解散したという特殊設定(ですがあんまり関係ない)
    •戴天がヒスり、宗雲が少し暴力的かも
    •宗戴ですが糖度は低め
    欠けた月(前編) 広い屋敷の庭に面した縁側で、あなたは花の茎をパチンと花鋏で切り、花器に生ける。それを私はとても嬉しそうな顔をして見ている。できたぞ、と言って完成した作品はとても私の心を踊らせた。

    「ねぇ叢雲、もう一度お願いします」
    「戴天は本当に花を生けるのを見るのが好きだな。仕方ない、もう一度だけだぞ。ただし、」

     そう言ってあなたがこちらを見た瞬間、ゾクリと悪寒が走る。あどけない顔をしていたあなたが、立派な大人に見えた。まるでこちらを責め立てているような。

    「対価が必要だ。お前の隠していることを教えろ」

    「──ッ!」

     目が覚めるとそこは見慣れた自室で、戴天ははぁと短く息をつく。もう何度も何度も見た夢。幸せだったと同時に嘘で塗り固められたあの頃。全てが嘘だったとしても、優しさだけは確かにそこにあったと、今でもそれだけを大事に抱えている。
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