Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    はぱまる

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 💕 👏
    POIPOI 29

    はぱまる

    ☆quiet follow

    普通に知り合いな司まふが砂場で遊んでるだけです

    #司まふ

    砂場の兎「……なにしてるの?」
     公園に来ると、司はいつものベンチでなく何故か隅の砂場にいた。声をかけると彼はパッと振り向く。
    「おお、朝比奈! 実はな、いつものように脚本を考えていたんだがなんだか分からなくなってしまって……息抜きに遊んでたんだ」
     ニコ、と笑う彼の手元には盛られた砂がある。なんらかの形になっているが、なんなのかはよく分からない。
     そのまま何かの作成に戻った司の手元をじっと見つめていると、なんとなく分かってきた。
    「……もしかして、兎かな?」
    「そうだ! うちにな、垂れ耳の兎のぬいぐるみがいるんだ。そいつを作ってる」
    「そっか」
     砂場の近くにしゃがみ込み、司の手元を見つめる。司は砂の表面を撫でて形を整えて、どこからか持ってきた枝で模様を付けていく。
    「……私の家にもあったよ、兎のぬいぐるみ」
    「そうなのか!」
     ふと、声に出た言葉に司は手を止めず目も逸らさないまま答える。まふゆも砂で出来上がっていく兎から目を逸らさないまま、何故か口を動かしていた。
    「確か、よく抱きしめてたな。……もう随分昔に捨てられたから、よく覚えていないけど」
     手が止まる。枝を持っていた手に力がこもる。失敗したな、とまふゆは思った。
     どうして、捨てられたことすら言ってしまったのだろう。そもそももう家にはないぬいぐるみの話をしたのは何故だろう。
     少し硬い空気が流れて、司の手の中からポキリと音がして、数秒。息を吸った音が聞こえて、まふゆは司の手元から顔に目線を移した。ここからだと、よく見えない。
    「……その、ぬいぐるみはどんなぬいぐるみだったんだ?」
    「……どんな」
    「ああ。うちのは垂れ耳で、全体的にパステルカラーなんだ」
     その言葉に、思い出してみる。
    「……確か、白と黒の、対のぬいぐるみ。垂れ耳ではなくて……小さい頃は大きく思えたけど、多分今見たら小さいと思う」
    「そうか」
    「……捨てられたの。白と黒の、兎の絵本も一緒に」
    「……そうか」
     司は砂の兎を撫でている。
    「……幼少期の朝比奈は兎が好きだったのかな」
    「え?」
    「ぬいぐるみに絵本もあったんだろう。なら、好きだったんじゃないか」
    「……どうだろう。親に与えられたモノで、自分で選んだモノではなかったと思うけど」
     でも、と息のように言葉を吐く。
    「白い兎に似た子が、知り合いにいて……その子といると、少し安心する」
    「……そうなのか! それは良かった」
     自分ごとのように安心を告げる声色に、まふゆは首を傾げる。
    「……じゃあ朝比奈は黒い兎かな」
    「……え」
    「その子が白いなら、ほら、朝比奈は髪も目も黒いし、カーディガンも黒いだろう。だから」
    「……そう、だね。その子、白いから……」
     左右で高さの違うツインテールを思い浮かべる。ミクが白兎で、まふゆが黒兎。あの絵本は結局どういったものだったっけ。
    「……天馬くんの兎は、どんな兎なの?」
    「あーオレの、というより妹のものだったんだが……さっきも言ったがパステルカラーでな、全体的に薄い紫で——」
     喋りながら、司は手を動かしていた。手元の砂の山は、少しずつ形が整っていく。
    「——出来た! そう、こんな顔なんだあいつは」
     少し体をずらして見せてきたその砂山はデフォルメされた兎の顔の形をしていて、愛らしい。表面はなでらかで、凹の線で模様が付けられている。
    「……かわいいね」
     す、と微笑む。その顔を見た司はどこか安心したように笑った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤💖🙏💖❤❤❤❤❤❤❤😭🙏❤💖💜💜💜💜💜💜💜💜💜
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    はぱまる

    MAIKING書き掛けで放置してあった互いに成り代わる🌟❄️です。滅茶苦茶中途半端なとこで終わる。
    その内完成させたいとは思ってるんだけど、暫く手をつけられそうにないから今の状態を投稿してみます。
    完成させるなら今書いてある部分にも修正を加える予定。書いたの結構前なのもあって本当変えたい部分が沢山ある……。けど、まあ、これを読んでもし「ここ好き!」ってなったところがあったら教えていただけると嬉しいです🥳
    死に代わり 雨が降っていた。
     雲が重く空にのしかかり、空気さえも暗い都内は雨音ばかりで何処か静かにも思えた。
     雨が降っていた。
     傘も刺さず、少女は歩道橋から道路を見下ろしていた。
     雨が降っていた。
     道路には幾つもの車が水溜りを蹴飛ばしながら走っていた。
     雨が降っていた。
     少年が傘を握り締め歩いていた。
     雨が降っていた。
     少女が手摺りによじ登った。
     雨が降っていた。
     少年が少女に気がついた。
     雨が降っていた。
     少女は手摺りの向こう側で、ゆらゆらとしていた。
     雨が降っていた。
     少年は傘を投げ捨て走っていた。
     雨が降っていた。
     少女の体が揺れ、揺れ、ガクンとバランスを崩した。
     雨が降っていた。
     少年が少女を追った。
    52432

    related works

    はぱまる

    DOODLE勢いで書いた🌟❄️🌟です。序盤の話。まだ❄️は出てこない。此処から作品で殴り合いみたいな喧嘩始めるのを想定してる。眠くなりながら書いたし眠くなりながらの軽い校正しかしてないので多分何処か文章がおかしい。起きて正気に戻ったら消します。よしなに。
    知る「……これ、か?」
     スマホを操作して、動画サイトから目的のちゃんねるを見つけた司は、ひとつ呟いて首を傾げる。クラスメイトに「これめちゃくちゃオススメなんだよ最近見つけたんだけど本当にいい曲ばっかだから!!! 聞け!!!!」と請われ、検索をしていたのだ。ちゃんねる名は『OWN』。オリジナル楽曲を投稿しているちゃんねるらしく、クラスメイト曰く「素晴らしい楽曲ばかり」らしい。然し現在は更新を停止しており、新曲を待ち望むリスナーも徐々に諦めていっている、とのこと。それでも神曲が神曲なのに変わりはないから……! お前の口に、否耳に合うかは分からないけど……! と言われ、そこまで言うほどならと司は帰宅後の自室にてスマホを手に取っていた。画面に映るサムネイルはどうもどれもが暗い感じのものばかりであり、確かに趣味には合わないかもしれないと司は唸る。然しオススメされてしまったのだから、聞いてやるのが義理というものであろう。あそこまで言われる曲が気になる、という気持ちも嘘ではない。なので司は、耳にイヤホンを差し込み、適当に最新作らしい動画を再生した。
    4569

    star1tousei

    PROGRESSやっと出てきた司くん。
    これで司まふになってきた……のか?
    案の定闇司じゃない
    まふゆちゃんの司くんに対しての口調が、公式の初対面の時より軽くなっているのは、司くんのノリにあわせてます。
    司くんは敬語を頑張ってますが、個人的に司くんの敬語は下手であって欲しいので、ちょいちょいタメっぽくなってます。
    仮面の君に、百面相 2話目  (途中)「あぁ…、ゔぅうっ……、あぁあ………っ、」


    「どうして……どうして……っ…………」


    彼は手を前に伸ばしたまま、依然として泣き続ける。目前にあるものがどうしても掴めないと、そんな風に。
    涙でぐしょぐしょになった彼の顔をちらりと覗けば、悔恨の情と哀傷が滲んでいた。



    私はどうしていいか分からず、泣きじゃくる彼を呆然と眺めていた。



    しばらくして、彼はこちらに気がついたのか、
    ふ、と彼は顔をあげ、くるりとこちらを向いた。




    咄嗟に落としていた表情を作り直し、彼に問いかける。



    「大丈夫ですか?」


     
    すると突然、彼は花のような笑顔を咲かせて言った。



    「嗚呼すみません!不安にさせてしまっただろうか…………。
    実はオレ、ショーのキャストをやっている者でして、今はそのショーの練習を…………って朝比奈さんではないか!?久しぶりだな!シブフェス以来だったか?!」
    771

    recommended works