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    リキュール

    @liqueur002

    GWT(K暁)
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    リキュール

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    1日1K暁の140文字SSまとめ10日分③
    本編軸、IF、日常系、雰囲気ほんのりえっちなどいろいろなK暁。
    140文字SSのお題お借りしています。

    #GWT
    #K暁

    1日1K暁③21

    雨上がりの渋谷を照らすネオンが水たまりに反射して極彩色に光る。最後の霊を送り、電話ボックスから出て夜空を見上げた。静かだ。霊の話し声が聞こえず、ヒトはもう自分だけなのだと思い知らされる。
    「行くぞ、今日をこの世の終わりなんかにはさせねえ」
    力強いその声に背を押され、僕は走り出した。

    『終末の、過ごし方。』
    (終末の終わりに)




    22

    ゆっくりと息を吸い込むと、チリ、と微かな音と共に赤い灯りが二つに別れる。
    「様になってきたな」
    煙を燻らせKKが目を細めて笑った。肺を満たす煙を細く吐き出す。体の中からKKの香りに包まれるような、満たされるような、犯されているような、そんな気分になり唇を舐めた。
    「KKがそうしたんだよ」

    『シガーキス』
    (羽化)




    23

    「煙草ってそんなに良いの?」
    あの狂騒の夜にそう尋ねたことがある。あの時KKに、お子様にはまだわかんねえかと笑われたことを覚えている。酸いも甘いも噛み分けられるようになったら教えてやると言われたことも。
    東の空が白むのを眺めながら慣れない手付きで火を着けた煙草に口づけた。
    「嘘つき」

    『酷い男』
    (嘘つきたち)




    24

    僕の話?聞いても面白くないと思うけど…じゃあ少しだけ。
    初対面は良くなかったかな、二人して冷静じゃなかったからしょうがないのかもしれないけど。でも一緒に過ごすうちに、不器用なだけで本当は優しい人なんだなってことに気づいて…いつの間にか好きになってた。
    …ふふ、そうアンタのことだよ。

    『初恋の人でした。』
    (泥酔の告白)



    25

    畳で寝こける暁人の顔を覗き込む。今日泊まる旅館は鍋が美味く、思いの外酒が進んでいたから飲みすぎだのだろう。ほんのり頬が赤く染まっている。
    「飲み方を覚えないとオマエいつか襲われそうだな」
    閉じられた目元を撫でると、ピクリと肩が揺れた。その様子に口角が上がる。
    「…起きないと食うぞ」

    『ね、狸寝入りさん』
    (襲われ待ち)




    26

    随分遅くなってしまった。今日はアジトに泊まる日だから早く抜けたかったが、流石に顔面洪水してる奴は放っておけない。
    迎えの場所へ向かうためアジト近くのホテル街を抜けたとき、急に腕を掴まれた。知らない男だ。何やら勘違いをしている。困っていると、こちらに走ってきたKKが鬼の形相で言った。

    『とりあえず殴っておく?』
    (最強のセコム)




    27

    一人での見回りは久しぶりで、浮足立っていたのは自覚している。けどまさか、こんなことになるとは思わなかった。
    腕の中から僕を見上げる怪我をした仔狐曰く、明日迎えが来るのだとか。今日はKKは遠出していて帰宅は明日のためアジトに匿えなくもないが…KKごめんでも僕この子を助けてあげたいんだ。

    『でも、明日怒られそう。』
    (仔狐事件)




    28

    『罪などはない、ただし愚鈍を除く。』とはよく言ったものだ。
    深夜に食す焼きそばのソースは背徳の味であるが、罪ではない。シンクにぶち撒けられた麺を見下ろし頭を抱える。
    「これは罪だ…」
    深夜の可笑しなテンションのまま湯切りなどするものではない。成功作と箸2膳を持ち萎れた声でKKを呼んだ。

    『よくいったものだ、』
    (背徳の罰)




    29

    KKは時々僕を置いていく。
    それは主に偶然友達と会ったときだ。挨拶だけ済ませてすぐ追いかけるが、ゆっくり話してても良いんだぞなんて言うのだ。先約はKKの方だと言っても若人の邪魔はしねえよと。
    アンタさ、わかってないよ。僕は声を大にして皆に自慢したいんだ。
    この人は僕の愛しい人ですって!

    『愛されてるのに、気付いてよ』
    (大きな愛)




    30

    長い夜が明けた。
    バイクを取りに交差点まで向かうと、見慣れた姿が見え走り出した。
    「暁人」
    「KK…、生きて会うのははじめましてだね」
    「ふ、はじめましてか」
    そう笑う彼の姿に目の奥が熱くなるのを耐え微笑む。
    何度繰り返したって何度だって言うよ、それにこれは嬉しいはじめましてなんだから。

    『はじめまして、を繰り返す』
    (最後のはじめまして)


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    リキュール

    DONE #毎月25日はK暁デー
    7月お題【宿題】を書かせていただきました。またも大大大遅刻。
    可愛いこと言い出すあきとくんとそんな可愛いやつを甘やかしちゃうけけの話。
    美味しいもの食べるあきとくん。
    生姜の辛味は何にでも合う気がする。
    甘やかしには辛味を足して七月、それはある者にとっては書き入れ時、またある者にとってはただの平日、そして僕らの様な学生にとっては長い夏休みの始まりである。

    休みに何しようかと楽しそうに予定を立てる友人たちを横目に僕は頭を抱えていた。
    夏は夜に肝試しをする若者が増える季節ということもあってか、禁足地や事故物件が騒がしくなり毎夜KKと共にパトロールに精を出していたのだが、そんなこんなで忙しくしていたので、すっかり忘れていたのだ。
    前期の試験やレポートは問題ないが、引き続き後期でも受講する選択科目の講義には宿題が存在することを…!
    普通ならば夏休み中にやればいいんだから焦らなくても、なんて思うだろうがこれは資料集めが厄介で、どれも大学の図書館にしか無いようなものばかり。休みに入る前に資料の検討をつけてコピーしなくてはならないのである。ただでさえ難しい科目で前期レポートもギリギリだったのだ、生半可なレポートは出せまい。夏休み中も図書館に来ることはできるが休みには遠出の依頼があるため資料を求めて毎回行くわけにはいかず、できるだけ必要な資料は今のうちにまとめておきたい。それにあわよくばKKとの時間ももっと確保できれば…大丈夫僕ならやれる。
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    りんご

    DONEまじない、あるいは、のろい (ここまで読みがな)
    K暁デー「スーツ」
    お題的なこともあって結婚と葬送の話をどっちも書きたかっただけです。あっきーがバカ重い感じですが、その環境ゆえにうまく隠すことがうまかっただけで彼の本質はこうだろうなーとか思ったり。いつものごとく二人で喧嘩して、戦って、駆け抜ける話です。
    中の人本当にありがとうございました、お陰で細々と楽しくK暁を追いかけられました。
    呪い短くも長くもない人生を振り返るにあたり、その基準点は節目にある行事がほとんどだろう。かくいうKKも、自らのライフイベントがどうだったかを思い出しながら目の前の光景と類比させる。
    準備が整ったと思って、かつての自分は彼女に小さな箱を差し出した。元号さえ変わった今ではおとぎ話のようなものかもしれないが、それでもあの頃のKKは『給与三ヵ月分』の呪文を信じていたし、実際差し出した相手はうまく魔法にかかってくれたのだ。ここから始めていく。そのために、ここにいる隣の存在をずっと大事にしよう。そうして誓いまで交わして。
    まじないというのは古今東西、例外なく『有限』である。
    呪文の効力は時の流れに飲まれて薄れてゆき、魔法は解け、誓いは破られた。同じくしてまさか、まじないの根本に触れることになるだなんて思わなかった、ところまで回想していた意識を、誰かに強い力で引き戻される。
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    32honeymoon

    DONE #2023年初めK暁ワンライ
    (盛大に遅刻遅刻ゥ~!!!)
    もうすっかり専売特許になりつつある、あの夜を超えて戻ってきた二心同体K暁でお送りいたします。
    しかし結局今回もワンライどころか3時間かかってしまいました・・・これがポンコツたる所以・・・!
    でも書くのは楽しかったのでこれで良しとしてくださいませ!
    白雀さま、いつも素敵な機会を作ってくださりありがとうございます😊
    雪と兎とおみくじと。ーちらちらと舞い散る、白い雪。
    窓の外、視界を覆うその白さにほう、と息を吐けば、まだ温まり切っていない部屋の空気が暁人の吐いた息のかたちを煙のように可視化してみせた。

    『ー今日は都内でもそれなりに積もるらしいぜ』
    今日が休みでよかったな、と呟くその声にそうだね、と返して、そっと揺れるカーテンを閉める。ぺたぺたとスリッパの足音が、ちいさなワンルームの部屋に響いた。

    「・・・KKはさ、雪って・・・好き?」
    『あ?・・・・まあ、雨よかはマシだな』
    「・・・そうなんだ」

    どこか浮かない顔で、誰にともなく呟くその表情。
    もしKKが目の前に居たなら、きっと「オマエなんて顔してんだ」とでも言われただろうが、暁人の表情を映すものがない今、彼の体の中に居るKKがその顔色を知ることは叶わない。
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