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    greensleevs00

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    学パロ空ベド。ぬるいR18。甘い。

     初夏の匂いがする夜だった。小さく開かれた窓から湿り気と、青々しい香りを纏った風が流れ込んでくる。汗ばんだ肌をさらりと撫で、つかの間の涼感の心地よさに目を細めたところで、空は、あ、と気がつく。窓を閉めて忘れていた。恋人の震える体を抱きしめながら、今更のように少しだけ焦る。けれども、一瞬生まれた理性は、すぐさま意識の奥に追いやられてしまった。
    「っ……そら、まって、」
     は、とアルベドが息を詰める。かろうじて半袖のシャツを身に纏っている上半身を弓形に仰け反らせている。空は彼の白い喉元へ口付けた。そこには夜空から美しい星を一個だけ連れ去って、そこへ嵌め込んだような奇妙な傷跡があった。
     空のものを受け入れている箇所は、きゅうきゅうと収縮を繰り返している。アルベドの言葉とは裏腹の、誘うような熱い蠢き。既に理性が溶け切っている空は、その蕩けるような心地に抗えず、欲望に流されるまま腰を二、三度揺り動かした。正面から膝の上に抱えられるようにして空を迎えたアルベドの体が白く戦慄き、縋るようにして彼は空の肩に顔を埋めた。
    「……そら、たのむ、からっ……」
     いつになく弱々しい声だった。途端、情欲よりも気遣わしさが上回る。空は突き上げたい衝動を抑え込み、汗でしっとりと濡れた髪に触れる。癖のある猫っ毛の柔らかさが指先に広がった。
     常には凛とした、涼やかなアルベドが艶めいた声を出すと知ったのは、たったひと月前のことだ。花の甘い香りに抗えない蝶のように、空は制服から覗く白い手首を掴んで、シーツが清潔にかけられていたベッドへアルベドを押し倒したのだ。二人はその時にはもう自分たちの関係を恋人と名づけていた。彼は緑の瞳を一瞬だけ見開いただけで、何も言わなかった。彼が口を開くよりも前に、空が欲を滲ませて唇を重ねたからだった。それでも、口内を貪る空の首にはおずおずと両腕が回され、空の全身に歓喜が漲った。
     本来生殖器官ではない部分を性行為に用いるためには相応の準備と、そして負担が必要だ。だから、初めて肌を触れ合わせた日にはそこまで至ることは出来ず、だが、空はいつしか堪らなく焦がれるようになっていたアルベドの肌に触れられた満足に蕩けていた。
     それでも、望みというのは欲深いもので、一つ満たされれば、自ずからその先へ先へと進んでいってしまう。空も例外ではなかった。自分の心の奥底に知らず潜んでいたものに慄きながら、膨れ上がってしまった欲望をアルベドに打ち明けた。彼はそんな話題など似合わないような無垢な瞳をやはり数度瞬かせたのちに、こう言った。
    「ボクの望みは、キミの望みに応えることだ」
     それ以来、二人は男性同士で行う性行為について改めて調べ直し――ネットの海を漂う玉石混交の情報は若い二人にはやや刺激的すぎたが――様々な段階を経て、ようやくアルベドの体は空を受け入れることが出来た。
     最初は圧迫感に顔を歪めるだけだったものの、最近は少しずつ甘やかな声を漏らすようになってきていた。それでも、内部への刺激だけで達するほどには至っていなかった。だから、空は体を繋げながら、アルベドの性器に触れ足りない快楽を補ってやることにしていた。
     アルベドは肩に顔を埋めたまま、荒い呼吸を続けている。生暖かな吐息が肌をくすぐり、下腹部がまた熱くなる。けれども、アルベドが嫌がるようなことはしたくない。癖のある猫っ毛をぽんぽんと撫でながら、言葉をかけた。
    「アルベド? まさか気分でも悪い?」
    「……ちが、っ……そうではなくて、」
    「じゃあ、どうしたの?」
    「……何だか、いつもと感覚が違うんだ……っんん、……」
     相手の体を抱えなおそうとした瞬間、アルベドは身じろいで小さく喘いだ。ふと一つのことが閃いて、空はそのまま淡く腰を揺り動かした。
    「ぁ、んっ……まっ、て、」
    「アルベド、もしかして今までよりも中で感じるようになったの?」
    「……どうやらそのようだね。正直、ボクはボクの身体の変化に戸惑っている」
     空を見据える美しい双眸が、微かに揺らいでいる。初めて味わう体験を持て余したのであろう、涼やかな目尻に涙が薄く滲んでいる。空はそこへ唇を寄せ、蜜のように啜った。
    「空、くすぐったい」
    「でも、俺はこれで今まで以上にアルベドもちゃんと気持ち良くなれるってことだから嬉しい」
    「……キミが喜んでくれるなら、これはきっといい変化なのだろうね」
     薄くて形の良い唇に、控えめな笑みが浮かぶ。空の胸は愛おしさと嬉しさとで一杯になった。それを伝えるために啄むようなキスをして、それからこのまま行為を続けようという誘いのためにもう一度キスをした。アルベドも感じてくれている、と思うと堪らなくなって、僅かな刺激――アルベドの指先が肌に食い込むというような――にさえ空の背筋は震えた。制服のシャツに皺がつくなんてことはもう考えられなかった。ベッドに押し倒した時、ほとんど脱げかけていた白いシャツは羽のように広がった。触れ合わせた肌の輪郭さえ溶け合って、夜は二人のものだった。

     二人に置き去りされたテーブルの上には、式を書きかけた数学のノートがペンと共に広げられていた。そうだった、試験勉強をしている途中だったのだと、空はのろのろとベッドから這い出しながら思い出した。これが終わったら、と約束していた問題に取り組んでいた時のまま、テーブルの上の時間は止まっている。数学の問題集よりも、どう考えてもアルベドの方が魅力的で、気晴らしにと冗談ぽく口付けたのが今日の始まりだった。やり残した分は、明日にでもやらなければならない。
     二つの透明なグラスにもまだアイスティーが残されていたが、氷はいつの間にか溶けて、ガラスの表面を覆っていた汗すらほとんど乾いていた。喉の渇きを癒すために飲み干したそれは、もはやぬるかった。
    「……空、ボクにも欲しい」
     アルベドは倦み疲れた百合のようにベッドに横たわっていた。声も掠れている。お互いに相手の熱と欲に触発されて、いつにも増して欲望に制限がなかったのだ。空はアルベドが飲みかけていたはずの――こんな関係において今更そんなことはどうでもいいはずなのだが――グラスを持ってベッドへ近づいた。だが、アルベドは起き上がろうとせず、あどけなく空を見上げてくる。空はぬるくなった水分を口へ含み、ベッドへ片膝で乗り上げて、枯れかけた植物へ水を遣るように、物欲しそうな唇へと口付けた。ん、とくぐもった声とともに、こくりと飲み下す気配がした。だが、明け渡したものの全ては嚥下されず、二人の顎を生ぬるい水滴が伝った。
    「アルベド、俺、そろそろ帰らなくちゃ」
     アルベドも養育者は世界を飛び回っていて一人暮らしだから遅くまで家に居ても気兼ねはしない。むしろ気になるのは自分の家の方だ。空とて妹の蛍と二人暮らしだから両親に心配されることはないが、妹に連絡を入れないでいい時刻をとうに過ぎている。だいたい試験勉強だってしなければならない。
     ベッドから体を起こそうとすると、白い腕が伸びてきて空を絡めとった。体勢が崩れて、アルベドの上に倒れ込む。最中には汗をかくほど火照っていたというのに、彼の滑らかな肌は空のものよりも数段ひんやりしている。その涼感に思わず身を委ねていたくなった。瞼を閉じ、彼の体温を楽しんでいると、いつ間にか三つ編みを解かれていた。
    「今日のアルベドは悪戯好きだね」
    「……キミに帰ってほしくないのさ」
    「アルベドがそんなこと言うなんて珍しい」
    「そうかな? だとしたら、ボクはいつも自分の感情の抑制に成功しているということになるけれども……今晩は何だかその気持ちを、上手く飼い慣らすことができないみたいなんだ」
     そら、と掠れた声で繰り返し名を呼びながら、猫のように擦り寄ってくる。ふわふわとした亜麻色の髪が鼻先を掠めてくすぐったい。
    「アルベドさあ、甘え上手にもなったよね」
     ふふ、キミが甘やかしてくれるからだろうね、と耳元で囁かれる。どきり、と音がしそうなほど、心臓が跳ねた。ああ、本当にもう、どこでそんな言葉を覚えてくるの。さあ、何処でだろうね。そう言ってアルベドはくすくす笑っている。
     ちょっと待ってて、と相手の額にキスをしてベッドから起き上がる。その辺に転がっていた携帯をとって、蛍に「今日はアルベドの家に泊まっていくいきます」と連絡する。すぐさま「お幸せに P.S.試験勉強はしっかり」と返事が来る。よく出来た妹に感謝しつつ、携帯をテーブルに置いてベッドへ戻った。シーツに沈んでいた細くしなやかな体を強く抱きしめて、白い肌から匂い立つ甘やかな香りを胸いっぱい吸い込む。堪らなくなって、流星のようにキスを降らせた。アルベドはくすぐったい、と空の腕のなかで身じろぎながら笑っていた。
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