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    四 季

    @fourseasongs

    大神、FF6、FF9、ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドが好きな人です。

    boothでブレワイに因んだ柄のブックカバー配布中:https://shiki-mochi.booth.pm/

    今のところほぼブレワイリンゼルしかない支部:https://www.pixiv.net/users/63517830

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    四 季

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    突然降ってわいたおにロリリンゼル(百年前設定で、近衛騎士と姫だけど、騎士の性格は回生)です。
     いずれこの設定で、ダイジェスト版の話を書いてみたい😃(他にもおにロリとおねショタの書きかけの話がある人の発言)

    #ブレスオブザワイルド
    breathOfTheWild
    #ブレワイ
    brawley
    #リンゼル
    zelink

    おにロリリンゼル(百年前の近衛騎士と姫だけど騎士の性格は回生という謎設定) ぷくーっ。

     ──と、音が出そうなくらいに白く、柔らかそうなほっぺたをふくらませて拗ねた顔をする幼い姫君を苦笑いで見つめながら、姫君より十歳ばかり年上の近衛騎士はその場にしゃがみこんだ。
     足をやや広げてしゃがんだその姿勢は、一国の姫君の前でするにはあまりにも不敬な格好だったが、地面に座り込んでしまった姫君と目線を合わせて話をするにはちょうど良かった。幸い、今、城の庭には近衛騎士と姫君の二人きり。常日頃から姫様に礼を尽くしなさいと口うるさく言ってくる執政補佐官も、古代研究で姫の興味を奪ってしまう王立古代研究所の研究者も、今ここにはいない。
     のだ、が。
    「おとうさまはうそつきです」
     太く可愛らしい眉を吊り上げて、肩をいからせているその姿は、小動物が必死に威嚇してきているようにしか見えず、ただひたすら「可愛い」という感想しか出てこない。ふくらんだほっぺたなどは、まるで白いパンのようで、むしろ美味しそうで口に含んでみたくなってしまう。
     ──などと考え込んでいたら、騎士の沈黙を悪くとらえたのか、姫君が恐る恐る騎士の顔を覗き込んできた。
    「リンク?」
    (──うっ、可愛い)
     古代兵装・矢で目を射抜かれたガーディアンの気分を味わいながら、近衛騎士は数回深呼吸して心を落ち着かせると、年下の可愛い姫君を宥めるように優しく言った。
    「姫様、陛下も、姫様との約束を蔑ろにするつもりはなかったんですよ。
     ただ、王妃様の身体のお加減がどうしても優れなかったから……」
     本来であれば、今日は王と王妃と姫君、家族水入らず──彼を含めた数名の近衛騎士たちも、護衛のために同行することになっているが──で、サトリ山までピクニックに行く予定だった。近衛騎士は大量の具材を買い込んで料理の準備に余念がなかったし、姫君も、植物の茎や根を入れるための瓶やら虫捕り網やらを準備して、まさに準備万端の状態だった。
     だが、王妃が急に体調を崩してしまい、予定はご破産になった。そして結局、姫君と近衛騎士、二人きりで城の庭でピクニックもどきをしているのだった。
    「さすがに、姫様と俺の二人きりでピクニックに出かけさせるわけにもいきませんし」
     近衛騎士は姫君と二人きりのピクニックなら、正直そのほうが楽しそうと思っていたのだが、姫君の父である国王からだけでなく、近衛騎士団の団長からも即、却下された。それは戦力的な問題ではなく、「能力は高いが態度が不謹慎」と言われている近衛騎士の日頃の行いと態度によるものなのだったのだが……。
    「わたしは、リンクとふたりきりでもよかったのに」
     それは俺もです、と近衛騎士は心の中で歓喜の雄叫びをあげながら(ふたりきり「でも」という言い方には少し引っ掛かりを覚えたが)、ふくらんだままの姫君のほっぺたを、白い手袋をつけたままの指でちょんとつついた。
     まるで、一所懸命にどんぐりを頬張っているオタテリスみたいだ。姫君の尊いほっぺたをつついているこんな光景、誰かに見られたら不敬罪でしょっぴかれてしまうところだが、近衛騎士はあまり気にしていなかった。姫君なら不真面目な自分付きの騎士を庇ってくれるだろうし、何より近衛騎士には紋所がならぬマスターソードがあった。
     そう、近衛騎士は、退魔の剣に選ばれし勇者だった。だが、本人は周囲の期待などどこ吹く風で、幼い姫君の研究ごっこや、城の中で行われる冒険に付き合ってばかりいたが。
    「でも……リンクがつかえているのは、おとうさまですし……。
     おとうさまがおしろからでられなかったら、リンクもおしろからでられないですものね」
     近衛騎士は姫君の頬をつつく指の動きを止め、代わりにその白く柔らかな頬を指でそっと撫でた。
     慈しむようなその指の動きに、姫君が顔を上げる。
     姫君の見上げた先には、困ったように笑う近衛騎士の姿があった。
    「何を言ってるんですか、姫様。
     俺が忠誠を誓っているのは、陛下にでもハイラル王家にでもない。
     姫様だけですよ」
     まあ、陛下のお許しを得なければ、姫様の護衛にあたらせてもらえないから、従ってはいますけどね──などと、これまた近衛騎士にあるまじき発言をすれば。
     姫君は「本当に?」と、期待半分、興味半分の眼差しで近衛騎士を見つめてくる。
     そのきらきら輝く眼差しに見つめられるのが一番弱いって知ってますか、とぼやくように言いながら、不真面目な近衛騎士はひざまずき、普段の姿からは想像もつかないような恭しい仕草で、姫君の小さな手をとった。
     そして、そっとその唇を、姫の白い手の甲に近づけ──
    「我が剣は御身のために」
    「────っ」
     普段不真面目な騎士が見せたその凛々しい姿に不意打ちを喰らって、姫君はそれまで拗ねて頬を膨らませていたことも忘れて、顔を真っ赤にした。
     幼い姫君の、年相応に初心なその様子をじっと見つめ、騎士は、嬉しそうに笑ったのだった。
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    四 季

    DONEリンクが姫様に自分の家を譲ったことに対する自分なりの考えを二次創作にしようという試み。(改題前:『ホームカミング』)
    帰郷「本当に、良いのですか?」
     ゼルダの問いかけに、リンクははっきり頷き、「はい」と言葉少なに肯定の意を示した。
     リンクのその、言葉少ないながらもゼルダの拒絶を認めない、よく言えば毅然とした、悪く言えば頑ななその態度が、百年と少し前の、まだゼルダの騎士だった頃の彼の姿を思い起こさせるので、ゼルダは小さくため息を吐いた。

     ハイラルを救った姫巫女と勇者である二人がそうして真面目な表情で顔を突き合わせているのは、往時の面影もないほど崩れ、朽ち果ててしまったハイラルの城でも、王家ゆかりの地でもなく、ハイラルの東の果てのハイリア人の村・ハテノ村にある、ごくありふれた民家の中だった。
     家の裏手にあるエボニ山の頂で、いつからか育った桜の樹の花の蕾がほころび始め、吹き下ろす風に混じる匂いや、ラネール山を白く染め上げる万年雪の積もり具合から春の兆しを感じたハテノ村の人びとが、芽吹の季節に向けて農作業を始める、ちょうどそんな頃のことだった。ゼルダの知らないうちに旅支度を整えたリンクが、突然、ゼルダにハテノ村の家を譲り、しばらく旅に出かける──そう告げたのは。
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