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    おはぎ

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    おはぎ

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    これも夏五ワンライのお題をお借りしたもの

    離反直前のギリギリな心情を想像すると心臓が痛い…

    #夏五
    GeGo

    横断歩道白、黒、白、黒――

    うだるような暑さの中、夏油はぼんやりと目の前の大通りを見つめていた。蝉たちの大合唱が頭の中で鳴り響き、耳鳴りと重なって酷く五月蠅い。

    眼を閉じると、灰原の遺体を目の前にしたあの瞬間が鮮明に蘇る。何のためにこんなことをしているのか、自分たちの命を賭して守るべきものは何か。見知らぬ他人のために命を落とす仲間達を、自分はあと何人見送ればいいのか。
    違う、ダメだ。そうじゃない。非術師を守るために私達術師は存在している。呪術ちからを持つものとして、当然の義務だ。
    ――本当に? 本当にそうなのか。じゃあ私達術師は、誰が守ってくれる?
    ――――違う、チガウ、[弱者生存]それがあるべき社会の姿だ。弱きを助け、強きを挫く。それが呪術師だろう。迷うな、ブレるな。

    頭の中で、二つの本音がぶつかり合う。胃のあたりは重く、胸はつかえ、まるで何かにじわりじわりと首を締め上げられているような感覚。意識していないと、今にも叫びだしてしまいそうだった。何が正しいのか、正しいとはなんだ、私は、どうしたらいい――

    「っんだよ、ここの信号なげーな。早くしねーと、また硝子がうるせーのに」
    悟がイラつきながら話しかけてくる。
    「昔からそうだよ、ここは。その手に持ってるサイダーでも流し込んでおきな」
    「こんなんじゃ全然足りねーよ。せっかく買ったアイスも溶けちゃうじゃんかよー。なー傑―お前の呪霊でさ、ピューっと帰れねーの?」
    「こんな往来で、むやみに呪霊なんて出せるわけないだろう。黙って待ってろよ、余計に暑くなる」
    あぁ、また頭痛がする。蝉の声も、悟の声も、頭の中に響く自分の声も――全てが煩わしい

    「はぁ? 何だよその言い方。何のためにそんなにいっぱい飼ってんだよ。ちょっとくらいいいだろーなぁーすーぐー」
    「五月蠅いな……! 少し黙れよ!!」
    思ったより大きな声が出てしまった。悟も驚いた顔で固まっている。違うんだ、お前は悪くない。
    「……すまない、ちょっと頭痛がして。悟にイラついたわけじゃないんだ、すまない」
    「……俺も悪い。体調悪いの気づかなかったわ」
    気にするな、と言いかけたところで信号が変わる。
    「傑、体調悪いなら余計に早く戻ったほうがいいじゃん。ほら、行くぞ」
    悟は私の横を通り過ぎ、すたすたと先を急ぐ。悟はいつも、歩くのが早い。

    「昔さぁ、こうやって白いところだけ渡るとかやったよな」
    「……え? あ、あぁ。子供の頃ね」
    「黒いとこ落ちたら地獄行き~とかってさ、やったじゃん」
    長い脚で愉快そうに一足飛びで白いところだけを渡っていく親友の背中を、私はただぼんやり見ていた。

    「おい、傑? お前本当に大丈夫か、顔色悪いぞ」
    「……悟は、私が地獄に落ちたらどうする?」
    暑さのせいか、この重い頭痛のせいか、変なことを口走ってしまう。
    「は? んなもん、」
    悟が、光を反射して光る真っ白な線の上で振り返り、私に言い放つ。

    「自力で頑張って這い上がって来いよ~!真っ白なトコから爆笑しながらみててやるからサ」

    ――悪戯っぽく笑う友の、あの綺麗な蒼い瞳が色褪せていく。
    それは、五条悟だからできることだ。それは、最強だからできることだ。
    私に、これ以上、何を頑張れというんだ、君は。

    「くだらねーこと言ってないで、早く戻るぞ。傑、また硝子の世話になりたくねーだろー」
    「……そうだね、早く戻ろう、悟」

    振り返らずぐんぐんと前に進む君の後ろで、わざと黒いところだけを踏んで横断歩道を渡り切った。
    頭の中の声は、まだ止まない――
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    おはぎ

    DONE呪宴2の展示作品です。

    以前ポイしたお宅訪問のお話のワクワク!夏油家お宅訪問~!Verです。
    いつも通り180%捏造ですが、幸せになって欲しい気持ちは本物を詰めてます。
    傑さんや、君にこれだけは言っておきたい!!

    ▼特に以下捏造が含まれます
    ・教師if
    ・夏油、五条家メンバ(両親、兄妹、ばあや、その他)
    ・五条、夏油両実家に関する事柄(所在地から全て)

    上記楽しめる方は宜しくお願いします!
    恋人宣言「ねぇ傑、スーツと袴、どっちがいいかな?」
     コンコン、と開いた扉をノックしながら悟が声をかけて来る。明日の任務に関する資料に目を通していたからか、一瞬反応が遅れる。え、なんて?
    「ごめん、上手く聞き取れなくて。なに?」
    「だから、スーツと袴、どっちがいいかなって。今度実家寄ってくるとき用意お願いしてこようと思ってるから、早めに決めとかないとね」
     今日の昼何食べるかーとか、どっちのケーキにするかーとか、悟は昔から私に小さな判断を任せてくることがよくあった。自分で決めなと何度も言っているのだが悟の変な甘え癖は今も治っていない。だが、服装を聞いてくることは珍しい。(何でも、私のセンスは信用できないらしい。あのカッコよさが分からない方が不思議だ)しかも、選択肢はばっちり正装ときた。何か家の行事に出るのだろうか。それか結婚式とか?
    29607

    おはぎ

    DONEGGD.NYP2の展示作品です。

    以前冒頭を少しポイしていた作品をお正月仕様に少し手を入れて完成させました!
    ドキドキ!五条家お宅訪問~!なお話です。
    180%捏造ですが、幸せになって欲しい気持ちだけは本物を詰め込みました。

    ▼特に以下捏造が含まれます
    ・教師if
    ・五条家メンバ(悟両親、ばあや、その他)
    ・五条、夏油両実家に関する事柄(所在地から全て)

    上記楽しめる方は宜しくお願いします!
    猛獣使いを逃がすな「……本当に大丈夫なのか?」
    「だーいじょうぶだってば! 何緊張してんの」
    「普通緊張するだろう! 恋人の実家にご挨拶に行くんだぞ!」
     強張った身体をほぐそうと悟が私の肩を掴んでふるふると揺すった。普段なら制止するところだが、今はじっと目を閉じて身体をゆだねていた。されるがままの私を悟が大口開けて笑っているが、もはや今の私にとってはどうでもいい。この胃から喉元までせり上がってくるような緊張感を拭ってくれるものならば、藁でも猫でも悟でも、何でも縋って鷲掴みたい。現実逃避をやめて、大きく深呼吸。一気に息を吸い過ぎて咳き込んだが、緊張感が口からこぼれ出てはくれなかった。
    「はぁ……帰りたい……高専の寮で一人スウェットを着て、日がな一日だらだらしたい……」
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    おはぎ

    DONEWebイベ展示作品③
    テーマは「くるみ割り人形」 現パロ?
    彫刻と白鳥――パシンッ
     頬を打つ乾いた音がスタジオに響く。張りつめた空気に触れないよう周囲に控えたダンサーたちは固唾を飲んでその行方を見守った。
     水を打ったように静まり返る中、良く通る深い響きを持った声が鼓膜を震わせる。

    「君、その程度で本当にプリンシパルなの?」

     その台詞に周囲は息をのんだ。かの有名なサトル・ゴジョウにあそこまで言われたら並みのダンサーなら誰もが逃亡しただろう。しかし、彼は静かに立ち上がるとスッと背筋を伸ばしてその視線を受け止めた。

    「はい、私がここのプリンシパルです」

     あの鋭い視線を受け止めてもなお、一歩も引くことなく堂々と返すその背中には、静かな怒りが佇んでいた。
     日本人離れしたすらりと長い手足と儚く煌びやかなその容姿から『踊る彫刻』の異名で知られるトップダンサーがサトル・ゴジョウその人だった。今回の公演では不慮の事故による怪我で主役の座を明け渡すことになり、代役として白羽の矢がたったのが新進気鋭のダンサー、スグル・ゲトーである。黒々とした艶やかな黒髪と大きく身体を使ったダイナミックなパフォーマンスから『アジアのブラックスワン』と呼ばれる彼もまた、近年トップダンサーの仲間入りを果たした若きスターである。
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