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    miya_ko_329

    @miya_ko_329
    完成できなかったネタはおもむろに増えてたりします。

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    miya_ko_329

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    アニメ最終回のラストシーンから。はじめましてのシンとレーナ。

    86/シンとレーナ その銀の瞳がじっと自分を見つめているので、少しだけ戸惑って、あの、と声を掛けてしまった。そこで彼女は我に返ったかのように、ごめんなさい、と返した。
    「顔を見たのは初めてだったので。……すみません、不躾でしたね」
    「いえ」
     不快でなかったのは本当だ。ただその名が示す通りの白銀の虹彩が、まっすぐ自分に向けられているのを受け止めるには、少しだけ胸がざわつくような感覚があっただけで。決して不快ではないが、親しみを覚えるわけでもないそれは、シンの知らないなにかだった。
    「黒系種の血を引いていらっしゃったのですね。……お兄様は赤系種でいらしたような気がしたので、何となくあなたもそうなのかな、と思っていたものですから」
    「ああ……、兄とは髪と目の色が反対でしょう? 父が夜黒種で、母は焔紅種でした」
    「そう、でしたか」
     そう言う彼女は、紛うことなき白系種――白銀種の少女だった。二年前の春から夏にかけて、短くて眩しい季節を共にした。あの頃のシンが想像した通りの。ただ、本来の居場所から、その偽りの箱庭から飛び出してこんなところまで来てしまった。それは、まったくの想定外だったのだけれど。
    「ずっと、どんなひとだったんだろうって思っていました。顔もわからなかったけれど、好きな本は何だったのかとか、そういう何でもないことをもっと聞いてみたかったって。……勝手に過去形にして」
    「いえ……。おれも、そう思っていましたから」
     置いていかれたのだと、勝手にあきらめたのは自分も同じだった。
    「あなたはいつも、おれの想像を超えていくんですね」
     出会ったときから――対面は今日が初めてだ。けれど、ずっと前から彼女を知っていた。そして、思いもよらない方法で自分たちに追いつくことも。
    「わたし、これでもあきらめが悪いんです」
     白皙の、ある種の冷たさをも感じさせる整った顔が、その瞬間に悪戯めいた表情へ変わる。
    「それは、知っています。もう随分前から」
     そう答えるシンに、彼女――ヴラディレーナ・ミリーゼは年齢相応の、少女の顔でわらった。
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    miya_ko_329

    CAN’T MAKE2ED後。いろんなひとのはなしを経て約束の場所にたどり着く2主が書きたかった。
    幻水/2主人公 僕らはいつも背中合わせの関係だった。
     小さい頃からずっとそばにいたから見るもの聞くものは同じものだった。けれど彼は僕みたいに前ばかり見ていないで、後ろのことも時々振り返って見ているような子だったので、「ヤマト、ほら落としてたよ」とポケットか何かに入れておいた僕の大事なものを拾い上げてくれるのなんてしょっちゅうだった。ナナミも「あー! またヤマト落し物して!」なんて言っていたけれど、自分だって彼に落し物を拾ってもらったことは一度や二度ではないはずだ。
     ともかく、僕と一緒に歩いていたはずの幼馴染は、前しか見えていない僕が見落としていたものもきっと多く知っていたはずなのだ。


     ハイランド皇都ルルノイエ陥落から数日が過ぎ、デュナン城の人の出入りは一層激しくなる。傭兵としての契約を終え出立する者、戦争終結に伴う事務処理のため招聘された文官、物資を搬出入する業者……コボルトやウイングボートも含むありとあらゆる人間がこの古城を旅立ち、あるいはたどり着く。とにかく人の往来が激しいので、そのどさくさに紛れてしまえば出るのはそれほど難しいことではなかった。城内の中枢はさすがに警備が厳しいが、商店が軒を連ねるエリアはほぼ誰でも出入りが可能だ。
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    miya_ko_329

    CAN’T MAKE書きたいところだけ(ガエリオとヤマジンの辺り)。CPメインじゃないはなしだったが、結局ガエジュリになったった。
    鉄血/ガエリオとジュリエッタ 永遠ではなく、けれど不変の。

     寒さは嫌いではない。互いの身を寄せ合うための格好の口実になるから。
     別に訳もなく引っ付いても許されるだろうけれど。

     温かさを保証する柔らかな寝具に包まれながら窓の外を見遣る。ほとんど白に近いような薄い青の空と、鈍い色の常緑樹や裸木の木立に目を遣る。温暖な海域を漂うことが多いヴィーンゴールヴにある自宅から見える景色と、色も空気も何もかもが違う。すべての景色の彩度は低く、太陽光は薄い雲の向こうから射していてどこか遠く感じる。慣れ親しんだ潮の匂いを多く含んだ大気はここにはなく、湿った土や木々を感じさせるものが取り巻いている。馴染みのないはずのそれらは、けれど決して不快ではなかった。たとえ自立が叶わない身ではあっても、大地に足を下ろしているのだと実感するからだろうか。宇宙空間とは明らかに違う圧倒的な安定感。それでいて絶えず変化する景色。薄い雲が流れて太陽がさっきよりもやや強い光を地上に落とす。一瞬たりとも同じ風景は無い。移ろう時間を感じられるのは大地の上で生きているからこそだ。あれほどに長く星の海に身を置いていても、結局自分が帰る場所はこの惑星の大地だった。
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