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    すすき

    ブラカイ(カ受)/カプ無

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    すすき

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    ブラカイ版ワンライに参加しました!
    お題「硝煙」

    全然書きたいこと書けなかったんだぜ👍

    奴は料理人らしく鼻が利く。五階の自室には強固な結界があるが、逃げ込めるかは微妙なところだ。今日の戦果は数日煮込んだタンシチューだったこともあって、おっかないあの男のしつこさもいつも以上だった。
    気配を断ちながら素早く階段を上り、四階の廊下に足を踏み出した。都合のいいことに誰も魔力も感じられないフロアを突っ切り、一番奥の空き部屋を目指す。殺気だった気配はすぐそこだ。だが、ブラッドリーの方が早い。
    今日も俺様の勝ちだなと口角を上げて扉を開こうとして、不意に感じた魔力に顔を上げた。
    階上から、赤茶の髪が覗いている。
    「ブラッドリー?どうしたんだ、ここにいるなんて珍しいな」
    暢気な声に舌を打つ。迷っている暇はなかった。
    魔法で男の体を引き寄せ、抱きこんで空き部屋へと連れ込んだ。この若い騎士が、ネロに問われてブラッドリーの情報を隠し通せるはずもないのだから仕方がない。事情を把握できていないカインが暴れるのを、肩に顔を押し付けて抑え込む。扉の向こうでは、殺気を撒き散らした男が動き回っている気配がする。気配遮断の魔法を強化したいところだが、さすがに悪手だろう。こういう場合、案外何もしないほうがうまくいく。暴れる体を押さえつけることだけに集中した。
    そのままじっと気配を探っていると、やがて諦めたのか作戦のうちなのか、ネロの魔力が離れていく。この感じからすると、おそらく前者だろう。今日も勝者はブラッドリーに決まったらしい。
    当然だなと笑い出す前に、とらえていた体を解放してやった。
    やけに静かな赤茶の髪が、ふらりと揺れてブラッドリーを見る。その顔に、思わず目が丸くなった。
    頬は赤く、目が潤んで、やけに息が荒い。
    それがただの酸欠ではないことはよく知っている。まるでベッドの中でする表情に、からかうより先に眉をひそめてしまった。何かあったかと言うならば、顔を肩に押し付けたぐらいしかない。まさかそれだけで、とは思うものの、この短時間での話だ。そう特別なことがあったわけではない。穿った見方をする必要もないだろう。
    しかし、発端の行為はそれでいいとして、それがこのカインの表情にどう繋がるのか。呼吸を制限されて発情するような性質ではなかったはずだ。
    「なあ……もう、大丈夫か?」
    じりじりと後ずさるカインが、ブラッドリーの背後にある扉に目を向けた。その顔には、あからさまに逃げ出したいと書いてある。蕩けた目のままで。
    「大丈夫なわけねえだろ」
    「だが……」
    完全に警戒を解いていることを暗に示される。確かにそちらはもう問題ないが、今の話題はそれじゃない。
    ゆっくりと開いていった距離を一気に詰めて、腕を掴んで引き寄せた。
    「んな顔で外に出すわけねえだろ」
    手の中にあるものを、易々とどこかの誰かに渡してやるつもりはない。当然、逃がすわけもない。カインがそう望んだとしても、叶えてやる道理もなかった。ブラッドリーの望みは別のところにあるのだから。
    息を飲んだカインが、困ったように視線を反らす。それでも抵抗をやめるつもりはないらしい。仕方ねえなと口端を上げた。
    「そんな逃げてえなら、理由を話してみろよ」
    それなら考えてやる、と顔を覗き込んだ。
    「別に、大した理由は……」
    「だったら言えんだろ」
    言葉の選択を間違えたことに気づいたらしい。カインが一瞬悔しそうに顔を顰め、それから諦めたようにため息を吐いた。笑わないでくれ、と弱り切った声が言う。
    「あんたのにおいがして……どきどきしちまった」
    硝煙の、と呟いて、思い出しでもしたのか小さく息を吐く。なるほど、確かにあの体勢なら、染みついたにおいを存分に堪能できたことだろう。
    ようやく解放されるとばかりに気を抜いていた顔を、先程と同じように肩口に押し付ける。跳ねる体を抑え込んで、ベッドの中でかわいがるように項をくすぐってやった。くぐもった呻き声がコートに吸い込まれていく。
    「っあんた、さっき……」
    「考えてやる、って言っただろ」
    こんな簡単な言葉遊びにも引っかかるなど、思った以上にやられているようだ。そんなかわいいことをされて、解放してやるわけがないだろう。
    「嫌ってほど嗅がせてやるよ。感謝しろ」
    待て、と言いかけた口元に、魔法でコートを飛ばしてやった。
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    すすき

    DOODLE【ブラカイ/パラロ】
    ボスにキスしたいなって思うカインと、カインをかわいがりたいボスの話。
    誕生日ボイスがめちゃくちゃなブラカイで強すぎてしんで、何かもういちゃいちゃしてくれないと割に合わないなって思って書いました。
    いつものいちゃいちゃです
    あ、キスしたいなとふと思った。
    カインにとっては唐突なことではなかったが、うまそうにグラスを傾けるのを邪魔するのは少し気が引けた。今日はとっておきだと言っていたから。でもちょっとだけ、頬や額にならと考えて、それだと満足できないだろうなという結論に至って小さくため息を吐く。ほんの些細な吐息に気づいて、どうしたと聞いてくる視線に、やっぱり好きだなと思う。
    「なあ、ボス。……キスしていいか?」
    結局黙ったままではいられなくて、手元のグラスを置いた。ブラッドリーが楽しそうに喉を鳴らす。
    「さっきから考えてたのはそれか?」
    気づいてたのかとも言えずに頷くしかない。自分でもちょっと挙動不審だったかもと思う。
    テーブルの上のボトルはまだ残りがある。ブラッドリーがカインも好きだろうと選んでくれた酒なのは知っている。いつも飲んでる安いエールみたいに一気飲みして楽しむようなものじゃないのも分かってる。グラスに口をつけたままじゃキスはできないけれど、二人きりでゆっくり酒を飲んで話す時間も大切だ。
    1972

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