黒猫「あ、猫だ」
最近よく黒猫を見かける。その猫は、KKと調査に出たときや、大学の帰りに友人たちと歩いているときなどに視界の隅に現れる。そのまま気づいたらいなくなっている事もあれば、するりと足元に体を擦り付けて去っていくこともある。これがまた大変すばしっこい猫で、KKや友人たちに存在を教える前に逃げ去ってしまうのでこの美しい毛並みの黒猫を紹介できたためしがない。いや紹介できる程懐かれているわけでもないけれど。あまりに美人な猫だからつい。可愛い生きものを見たとき、人に共感を求めてしまうのは人間の性だと思う。なんて、この話をしたときKKは嫌いな食べ物を目の前にした子供みたいな顔をしていたから、よっぽどだなと少し笑ってしまった。
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