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    Lei

    @PkjLei

    妄想や幻覚を捏造たっぷりで書いてます

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    Lei

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    一度は書きたい逃亡ネタ
    🦊愛され
    難産すぎて、この後も書きたかったけど力尽きた

    明確なきっかけはない。多分ちょっとした寂寥感とか嫉妬、疲労とかそういうのが多分少しずつ積み重なった結果なんだと思う。本当はこうなる前に気づいて、どうにかしなきゃいけなかった。でもそれももう手遅れ。今の俺にはあるのは、“消えてしまいたい”という思いだけ。死んでしまえたなら良かったけど、死んでしまうには俺は弱くなりすぎた。どうしようもなくなった俺が出した結論は、全てのつながりを絶って1人になることだった。頭の片隅で、Luxiemの皆に頼ればいいという思いが生まれる。彼らは優しいから、俺が弱音を吐けば真綿でくるむように優しくしてくれるだろう。俺がトロトロになってしまうくらい。そんなことくらい分かってる。でも、それではダメなのだ。俺だって立派な成人男性。仲間に頼りきりなのはよろしくないし、プライドだってある。だから俺は、優しい彼らを切り捨てなきゃいけないんだ。

    そうと決めたら早かった。家の解約を済ませ、荷造りをする。大きなものはこれを機に処分し、必要最低限の物だけにする。スマホは悩んだが、持っていればいつか彼らに甘えてしまいそうだから解約し捨てることにした。適当に選んだ国に行くための飛行機のチケットを取る。がらーんと空っぽになってしまった家。この家での少なくない思い出に言葉に出来ない思いが込み上げてくるけど、俺はそれを無視して扉を閉めた。俺はここを捨てて、1人になるんだ。
    イギリスを出てから俺は色んな所に行った。砂漠は熱く乾燥して干からびるかと思ったし、北国は心まで冷え切りそうなほど寒かった。赤道直下の国は湿度が高いせいでジメジメとして不快感が凄かった。いろんな国に行って、そこで色んなものを見たけど自分の中の穴を埋めることが出来なかった。仕方ないことだけど、次第に持っていた金に余裕が無くなってくる。どこかにとどまって金を稼がなきゃいけなくなった俺は、シュウが住んでいる国の反対側の大都市に移動することにした。人が多い所なら、俺に興味を持つ人なんていないだろうと思ったんだ。金のない外国人でも住める所なんて、家賃の糞安いボロアパートしかない。そこの治安は最悪だ。近くにギャングの集会場があるらしく、夜中に銃声が聞こえるのなんて珍しくない。ヤバい薬をやっているやつだっていて、奇声がよく聞こえてくる。引っ越してきた当初は、そんなことに怯えて部屋で震えるだけだった。でも1週間もすれば慣れてきて何も思わなくなった。そんなヤバい家で俺は、1日何をするわけでもない。ただ部屋にいて喉がひりつき痛くなったら、水を飲む。お腹が空いたら、簡易携帯食をかじる。それ以外は、部屋の隅に座ってるだけ。気づいたらその姿勢のまま寝ている。今が何時なのか、そんな感覚がどんどんと薄くなる。金が無くなったら、日雇いの仕事に行き少しの金を得る。そうしてその金を水と簡易携帯食に変えたら、また家に引きこもる。ボーっと天井を眺めながら考えるのは、Luxiem皆の事。急に連絡を絶ったから、心配しているだろうか。いや、きっと怒っているに違いない。もしくはもう俺の事なんて忘れて、新しいやつと仲良くしてるかも。でも、それでいいんだ。俺の事なんて忘れて、どうか幸せに生きて欲しいなんて身勝手な思い。どうしようもない自分に乾いた笑いが出る。彼らを切り捨てた俺に彼らのことを想う資格なんてない。でもどうしても、幸せを祈らずにはいられないんだ。そんなことを想いながら、また俺は思考の海に溺れていった。

    「ごめん、俺の方ではミスタがどこにいるか分からなかった」
    しょんぼりとした声で報告するのはルカ。彼らの愛すべき名探偵が行方不明になったのは半年前。急に連絡が途絶えた彼を心配してヴォックスが家を訪ねたところ、解約されており既に違う人物が住んでいた。彼らは慌てた。なぜミスタがいなくなったのか分からないし、何か危険なことに巻き込まれたのではないかと心配になった。彼らはそれぞれ自分の持てる力を使ってミスタの所在を突き止めようとしたが、イギリスを出たことは分かったもののその後の所在を知ることは出来ていなかった。何か事件に巻き込まれたわけではないのなら、彼が自発的に僕たちの前から消えたと考えておかしくないだろう。
    「いやルカが分からないなら、少なくとも裏のことで巻き込まれたわけではないはずだ。それが分かるだけでも、マシというものだろう」
    苦々しくルカを励ますヴォックス。彼はミスタの“気”から居場所を突き止めようとしたのだが、ミスタの気がとても弱まっており生きているのは分かる程度でしかなかった。
    「それなんだけど、多分ミスタこっちに来てるみたい」
    「本当か!?」
    シュウがもたらした新しい情報。シュウも術で、ミスタの居場所を掴もうとしていたがヴォックスと同様の理由で上手くいっていなかったはずだ。
    「流石に僕が住んでいる国に来てるのくらいは分かる。多分反対側の海岸。都市までは分かんないけど」
    「捜索範囲が世界からそこまで絞れたのはデカいよシュウ!」
    残念そうに告げたシュウだが、他3人は喜色に満ちていた。
    「僕の方でアメリカの出版社とかに頼んでみる。あっちの記者は時に、人探しに関しては警察より有能な時がある」
    「俺もアメリカの方を重点的に、情報集めてくる!」
    「まだまだ広いが、範囲が制限されたのは大きい。より深く彼のことを、探してみよう。
    希望が見えてくる。ここ半年の暗い雰囲気が消えていく。ミスタがいなくなったしまった後の、あの落ち込んだ雰囲気はもう二度と味わいたくない。なんで消えてしまったのか分からないが、見つけたら抱きしめて心配したんだとあの探偵に伝えるのだ。

    ミスタの居場所が分かったのは、あれから1ヶ月経ったときだった。アイクの情報筋から、アメリカでも治安が悪いことで有名な地域に住んでいるという情報がもたらされたのだ。どうしてこんなことになんて今思っても仕方がないことを思いながら、僕たち4人はミスタの元に向かった。ミスタの住んでいるというアパートに向かう道の途中では、小綺麗な格好をしている僕たちを値踏みするかのような視線や、怪しい薬のセールス。なぜこんなひどい所に、僕たちの狐は住むことになったのか。何もできなかった自分に腹が立って、手を握る力を強める。一刻も早くこんなところからミスタを連れ出すために、足早に家に向かう。彼が住んでいるという部屋の前に着くと鍵がかかっていた。ルカが蹴破ろうとしたのを、シュウが制する。
    「僕が開けるよ」
    彼が取り出した式神は、扉の薄い隙間にスッと入り込んだ。数秒後、ガチャという音がする。待ちきれない様子でルカが扉を開ける。がたがた部屋に入った僕たちの目に飛び込んできたのは、変わり果ててしまったミスタだった。綺麗にセットされていたはずの髪は、無造作に伸びたまま放置されていた。顔はすっかり痩せ落ち、骸骨のようにこけてしまっている。よれよれのTシャツから伸びる腕は、細すぎて折れてしまいそうだ。そしていつも知性をたたえつつ好奇心でキラキラと輝いていたトルマリンと琥珀のバイカラーの瞳は、光を失いどこを見ているのか分からないほどだった。部屋は空のペットボトルと、簡易携帯食のゴミで散乱していた。それ以外何もないこんな寂しい部屋に、ミスタはずっといたのか。
    「ミスタ!」
    悲壮な声を上げたシュウが、ミスタに近寄るが反応はない。シュウが力強く抱きしめても、されるがまままるで人形のようなミスタ。
    「とりあえず、ホテルに連れて帰ろう」
    ヴォックスの言葉に皆うなずく。こんな寒々しい部屋に、ミスタを居させたくはなかった。

    ホテルに帰って、1番力の強いルカとサポート役としてアイクがミスタを浴室に連れて行った。その間に僕とヴォックスが、彼に食べさせるものを用意する。彼とあの部屋の様子じゃまともに食事をしたのは、少なく見ても3か月以上前だろう。僕の案で日本のお粥を作る。
    コトコトと音を立てる鍋を見守っていたら、気づいたら泣いていた。隣に立つヴォックスが、そっと涙を拭ってくれる。
    「シュウ…?」
    「なんでミスタは僕たちに頼ってくれなかったんだろうとか、僕にもっと力があればミスタがあんなになる前に会いに行けたのにって思ったら…」
    してもどうしようもない後悔。でもせずにはいられなくて、そんなことにも悔しくて涙が出る。
    「後悔しても仕方がない。結局俺が出来たことは何もない。だが、これからは出来る。そうだろう?」
    ヴォックスの言葉。ストンと心に落ちてきて、気持ちが落ち着く。
    「そうだね。ミスタが嫌だって言っても、世話するのやめてやらないんだから」

    がたがたと音がするので、どうやらミスタのシャワーが終わったらしい。シュウと共に作ったお粥を皿によそる。ルカが姫だきして連れてきたミスタは、先ほどと変わらず目に光がともっていなかった。
    ベッドに座らせて、寒くないように足に布団をかけてやる。粥をスプーンにすくって、彼に差し出すも何も反応はない。仕方なく彼の口の隙間にスプーンを押し込めば、本能なのかゆっくりと嚥下する。彼の様子を見ながら、粥を口に運ぶ。半分ほどのところで、ミスタの瞼がゆっくりと落ちてきた。もっと食べさせたかったが、これ以上は難しいだろう。口元を拭くと、ルカが彼をベッドに横たわらせる。アイクが布団を上までかけてやれば、ミスタはスースーと寝息を立て始めた。

    シーンと静まり返った室内。何を話せばいいのか、何で彼はこうなってしまうまで自分たちを頼ってくれないのか。お互いの思いは一緒だろう。だがここで言っても仕方がない。結局話らしい話をせず、僕たちも眠りについた。

    1番最初に目が覚めたのはルカだった。起きてすぐ、ミスタの様子を見に行けば虚ろな目で虚空を見つめていた。大好きなミスタの大好きな目が光を失ってしまっているのは、とても悲しく早く戻ってきて欲しいなんて思いながら、そっと顔に張り付いた髪を払う。喉が渇いているかと思い、ペットボトルを口に当ててやればコクコクと飲みはじめた。その様子をじっと見つめ、何かあればすぐに対応できるように準備しておく。しかし無事に飲み終わった彼は、じっとルカの方に視線を寄せてきた。昨日とは違う様子の彼に、オッと期待を抱きながら微笑んで見せる。
    「どうした、ミスタ?」
    ん?と聞いても、明確な答えが返っては来ない。しかし、彼の耳は聞き逃さなかった。“ルカ”と彼を呼ぶ、小さな声を。
    「ミスタ!?俺のこと分かるの!?」
    慌てて、彼の手を握り彼に声をかける。すると先ほどよりも大きな声で名前を呼ばれる。俺の声で起きたのか、他のメンバーも何事かとやってくる。
    「どうしたのルカ?」
    「ミスタが!俺の名前を呼んだんだ!」
    俺の言葉に皆沸き立って、急いでミスタの元に集まる。
    「ミスタ、僕たちのこと分かる?」
    アイクの言葉にゆっくりと反応したミスタは、それぞれの名前を呼ぶ。ミスタが、俺たちの元に戻ってきてくれたみたいで嬉しくなる。ギュッと彼を抱きしめれば、上からアイク、シュウ、ヴォックスの順番で抱き着いてきた。きっとミスタは重いだろうけど、俺たちの心配が伝わってくれればいいのに、なんて思う。
    「おもいよ」
    ミスタの言葉に涙が出てしょうがない。言いたいことはたくさんある。でもまずはこれしかない。
    「「「「おかえり」」」」
    もう勝手に俺たちの前からいなくならないように、抱きしめる力を強くする。消えようなんて思わないように、俺たちの愛で雁字搦めにして動けないようにしてやる。
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    Lei

    DOODLE🦊の方が一枚上手な🦁🦊
    傾国ミスタ・リアスという男は自己評価が低い。様々な才能に溢れているのに、仲間たちやリスナーからの褒め言葉をちっとも受け取ろうとしないそんな男だ。しかし厄介なことにミスタは、ミスタ・リアスという外見が性的な意味で惹きつけるということだけは理解しているのであった。
    天使の輪が光つややかなミルクティーブロンドの髪に、白く真珠のように透き通った肌、空をそのまま落とし込んだような瞳、つんとした綺麗な形の唇は艶々と魅惑的である。彼はこの外見が人々を魅了することは理解している。それを活用することが特にうまい。それが本当に厄介なのだ。今自分が置かれている状況がいい例だ。
    「ねぇ、ルカ?俺と良いことしようよ」
    どこでミスタのスイッチが入ったのかは分からないが、今自分はミスタに誘惑されていた。ツーっとミスタの細く長い指が怪しく俺の太ももをなぞる。こそばゆい感触に背筋がぞくぞくするが、顔に出ないように必死に堪える。何をするんだと非難を込めて睨んでも、ミスタはただ微笑むだけだ。そして今の彼のほほえみはそれだけで、男をうんと頷かせてしまうくらいの力があった。だがしかし、ここで頷けばマフィアのボスとして、1人の男としての沽券に関わる。嫌だと首を振れば、駄々をこねる子供をなだめすかすような目で見られた。
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    Lei

    DOODLE🖊が死んだ後の👹の話(👹🖊)
    またいつか出会うまでアイクが死んでから何もする気が起きなかった。2人で暮らしていた家は、片づけもせずそのままの状態だった。アイクはいないのに、アイクのいた痕跡だけが残る家は寂しくて静かだった。そんな2人が暮らした家で、1人で何もせずに過ごす。リビングのソファーでただ座って1日過ごす。埃がつもりはじめているのは分かっていたけれど指一本動かす気にはなれなかった。このままではいけないことくらい、400年以上も生きた自分には分かっていた。しかし愛するものを失った衝撃は、自分を惰性でしか生きられなくした。

    そんな消えない喪失感を抱えたまま過ごしていたある日のこと、死んだはずのアイクから手紙が届いた。ピンポーンと呼び鈴が鳴り、アイク・イーヴランド様からのお手紙ですという配達員の声にソファから慌てて立ち上がった。そうやって受け取った封筒の中には綺麗だけど少し癖のあるアイクの字で“ちゃんとご飯を食べなさい”と書いてある一筆箋が入っていた。最初は意味が分からなかった。だけどアイクが言うならしょうがないなと思って、久しぶりに料理をした。食材を買いに、近くのスーパーに買い物に行った。そうして作ったのはアイクが好きだったハンバーガー。パンは出来合いの物だが、パティはちゃんと作った。アイクが死んでから、人外であることをいいことに食事を取っていなかった。久しぶりの食事は美味しかったが、それでも一緒に食べる相手がいないことに胸が痛んだ。
    1996