日の光は今日もまた同じ「風邪、ひいちゃうよ」
丸い風が窓から現れて、彼の頬を掬うようになぞった。
曖昧に笑いながら、その輝く頬に思わず右手を寄せる。
あと、3cm。眉を下げて、その手を降ろした。
心臓が叩くように鳴っている。
心はまるでぐちゃぐちゃで。
この線を、あの風のように、或いは彼みたいに。
簡単に飛び越えられたらいいのにな。
零れそうな涙に1秒だけ上を向いて笑った。
今日着てきて良かったなと思いながら深い赤色のカーディガンを彼の肩にかけた。
日溜りの灯った窓際で輝くような彼の姿に、やっぱりちょっとだけ愛しさを覚える。
斜め前の席に腰掛けた。
手元にはカモフラージュの本を2冊ほど。
その穏やかな寝顔を、机に伏せて見つめた。
透き通るような睫毛に赤い日が照って。
太陽が僕らの背を濡らすように光っている。
ああ、こんなに甘い時間が、
一生続けばいいのにな、なんて。