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    カナト

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    カナト

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    結構好きな未来の話

    酒は呑んでも/呑まれるな『酒は呑んでも』

     ワイワイガヤガヤと喧騒が響く場所、酒場。
     酒に弱いのを分かっていて連れて行かれるのはもういつものこと。ナジーンは諦めのため息をつく。
     隣では主であるユシュカがクダを巻いているので、とりあえず脱ぎださないようにだけは見張っている。
    「んだよ、飲めよナジーン」
    「もう十分頂いていますよ。あなたこそ、そろそろお水にしたらいかがです?」
     軽く諌めるも、ユシュカは聞く気がサラサラない。ジョッキに残った酒を一気に煽っているのがその証拠だ。
     ナジーンは再びため息をつきながら、通りかかったウエイトレスにジュースを頼んだ。ナジーンは酒が飲めないので、酒とジュースをよくすり替えている。
     注文したジュースを受け取って、ナジーンはウエイトレスに礼を言った。
    「おまえも魔王サマなんだから、酒くらい飲めないでどうするんだよ」
    「アルハラですよ。そもそも最後の大魔王陛下も飲めない方だったんですから、酒への強さは関係ありません」
    「最後の大魔王陛下、ねぇ」
     アルハラなんていう言葉も一般的になった現在、ぐるりと辺りを見渡せば、魔族以外の種族の姿もちらほら見える。そのことからもわかるとおり、アストルティアとの国交が開かれて、もう随分と時が経つ。
     魔界に大魔王という存在は必要なくなり、最後の大魔王として名を刻んだ人物は、天命を全うしてしまった。
     偉大なる終わりの大魔王と語られる人物は、魔族ではなくただの人間で、その治世を知るものにとっては、大切な存在だった。もちろん、ユシュカにもナジーンにも大切な存在である。
     ナジーンは酒を飲むふりをして、チビチビとジュースを啜った。ユシュカはそれを横目に見ながら、目を眇める。
    「アイツが死んでから、どれだけ経ったんだろうな」
    「あまり詳しく数えていませんが、来年が没後二百年の記念式典だったと記憶しています」
    「そんなになるのか」
     しみじみと呟きながら、ユシュカは皿の上の豆をつまんだ。アストルティアから輸入された、大魔王の故郷の豆だ。
     魔界の食文化も、生活様式も、この二百年で大きく変わった。
     魔瘴がなくなり、今は自浄作用での浄化を待つだけの時代だ。
    「しかしまあ、魔界も平和になったものだ」
     どんちゃん騒ぎをする酔っ払いたちを見やって、この酒場のある国の魔王、ユシュカは嬉しそうに笑みを浮かべる。
     以前なら率先して酒を大盤振る舞いした挙句、酒場で脱いで寝落ちていたが、流石に四百歳を越えるとそれもだいぶん少なくなっている。……なくなっていないのが悲しいところだが。
    「子供たちに平和な時代を作ってあげられて良かったじゃないですか。全部、彼女のおかげですけど」
    「まあな。アイツは死んだ後も偉大だよ」
     なんとなく「カンパイ」と告げて、ユシュカはナジーンのグラスにジョッキをぶつけた。
    「偉大と言えば、オレの新しい副官チャンも、偉大なる父母の英才教育ですっかりとお小言が多くなってるんだよなぁ」
    「それは偉大なる父母に感謝するべきところですね。ちなみに、その偉大なる父からもあなたにお説教をしましょうか」
    「ゲェ、勘弁してくれ」
     ユシュカは諸手をあげて降伏の意を示した。両側からお説教を食らった日には丸一日寝込む自信がある。
     ナジーンはそれを左眼でじっとりと見やって、ごくりとジュースを煽った。
     昔よりはだいぶん減ったが、それでもユシュカに言いたい小言はまだまだある。
    「オレは娘婿なんだから身内に手加減してくれたっていいだろぉ」
    「むしろ身内だからこそですよ。結果として私の子供たちは全員魔王の王配になっても遜色ないでしょう」
     自慢げに胸を張り、ナジーンは誇らしげに口元に笑みを刻んだ。
    「でもオレさ、この前その自慢の娘チャンに薬盛られたんだけど」
     当時のことを思い出しているのだろう、少し遠い目をしたユシュカが疲れたように呟く。そしてそのまま行儀悪くも机に突っ伏した。
    「オレ魔王だよ? その魔王に副官が普通薬盛る?」
    「ああ、あの薬ですか。私が渡しました」
    「提供者お前かよッ!」
     がばりと起き上がってツッコミを入れるユシュカに、ナジーンは素知らぬ顔をして追加の料理を注文した。
     そして運ばれてきた好物の黒蜥蜴の丸焼きをユシュカの口に突っ込んで黙らせる。年々扱いが雑になっているような気がする。
     むぐむぐと黒蜥蜴を不服げに咀嚼するユシュカを後目に、ナジーンは自分の分の黒蜥蜴の丸焼きにかじりついた。
     おおよそ、王と名の付く人物が食すものではないが黒蜥蜴の丸焼きは、ナジーンの好物でもある。
    「でもお前が得体の知れない薬渡すわけないよな? あれめちゃくちゃよく効いたんだけどなんなんだ」
     ごくんとしっかりと口の中のものを飲み込んでから話すあたり、ユシュカにナジーンの教育の賜物が垣間見える。
    「アレはなかなか凄いですよね。私としても不覚でした」
    「そもそもお前が盛られたのかよッ!」
    「ええ、娘が盛ったのと同じ理由で盛られました」
    「シレッとえぐいこと言ってる! 何この副官!」
     ユシュカは再び机に突っ伏したい気持ちになった。しかも今度は泣きたい気持ちでもある。
    「あー、つまり、お前もからだが痺れてやばくなって襲われた、と」
    「まあ、端的に言えばそうですね。あれはあれでよかったでしょう?」
    「ヨかった……あぁ、ヨかったよ……」
    「直々に手ほどきしましたからね」
    「お前のせいかよッッ! というか自分の娘になにを仕込んでるんだッ!」
     ユシュカの抗議など意に介さず、ナジーンはのんびりと二本目の黒蜥蜴の丸焼きを食べていた。
     串から歯を使って黒蜥蜴の丸焼きを抜き取り、もぐもぐと咀嚼しているナジーンは素知らぬ顔だ。というか、シレッとえげつないことを暴露している気がする。
    「仕方ないでしょう。気持ちはよく分かったんですから。気持ちよかったならいいじゃないですか」
     ごくんと咀嚼していた黒蜥蜴の丸焼きを飲み込んで、串を皿に置きつつナジーンが告げる。
    「オレとお前同じ盛られた側なのに!?」
    「酒場は騒がしいとはいえ、あまり大声を出すと目立ちますよ」
     立ち上がらんばかりの勢いのユシュカに、ナジーンは飄々とそう諭した。
     ユシュカはそれに歯噛みしたものの、奥歯で文句を噛み殺してぐったりと項垂れた。
     ユシュカとナジーンの盛られた薬は、いわゆる媚薬というもので、痺れ薬も入っていたので自由を奪われるものだった。
     痺れ薬など、本来は魔王に盛るなど言語道断なのだが、盛った本人からの苦情「えっちが激しすぎてからだがもたない」というものから閉口せざるを得なかった。
     ユシュカもナジーンも、つい嫁が喘ぐ姿が可愛くてヤりすぎてしまう。時には前線で剣を振るうので、体力もかなりあるのだ。
     毎度抱き潰されてしまい、翌日の足腰に支障が出るので、自分が主導権を握って加減したい! という要望から爆誕してしまったのがこの薬だった。
     ちなみに作ったのは錬金術師でもある魔仙卿である。シスコンのきらいのある彼は、可愛い妹からそう泣きつかれて張り切って薬を作成した。出処が厄介すぎて、それを知った時ナジーンは頭を抱えたものだ。
     当時彼女が所持していたぶんは没収したものの、流通ルートを潰すことは出来なかったので、時々ナジーンは薬を不本意ながら盛られていた。
    「あの子はよくやっているでしょう? 少しくらいあなたに薬を盛ってもバチは当たりません。ユシュカですし」
    「お前はオレを一体なんだと思ってるんだ」
    「可愛い娘を奪っていった大切な主です」
    「そのセリフの前半と後半が全く正反対なんだが!?」
    「事実ですよ。親子と言って過言ではない年の差の私によく似た可愛い娘を嫁にやったじゃないですか。大切な主だからこそ目をつぶってるんです」
    「よく言う。お前の娘がオレに惚れたのに」
    「むしろそうでなければユシュカの嫁になんかやりません」
    「さっきの大切な主発言どこいった」
     親バカ全開のナジーンの発言に、ユシュカはツッコミを入れつつ「確かに事実なんだがなぁ……」と頭をかいた。
     ユシュカはナジーンと二十歳しか歳が違わない。人間の二十歳は大きいが、魔族の二十年は些細な数字だ。
     そして、そんなナジーンの娘は、ユシュカにとっても娘の年齢で、当然ながらオムツの頃からよく知っている。
     ちみちみと酒を舐めながら、ユシュカはほんの数千グラムしかなかった小さな赤子を思い出す。あの赤子を二百年ほど経ったとはいえ、今、女として抱いているのだから、確かに性的に倒錯していると言われても仕方がない。
     しかも容姿は父親にそっくりで、性格まで瓜二つ。ナジーンを女にしたようなもので、ユシュカにあれこれ小言はいうわ、お説教をかますわで実に可愛くない。
     仕事もできて、真面目な性格からファラザードの民たちは彼女が大好きだ。故に、下手に敵に回すとユシュカが総攻撃される。ファラザードの魔王なのに。
     嫁に迎える時も「泣かせたら殺す」とか「ユシュカさまが酷いことをしたら言ってください、締めますんで」だとか散々な言われようだった。国民は一体誰の味方なのか……魔王じゃないのか。
     遠い目をしながら、それでもユシュカは彼女を愛しているのだと、今なら声高に言える。
     最初こそ彼女の方からの猛アタックがあって折れた形だが、誰も知らない姿を知っているし、実は時々母親の面影が出ることも知っている。本人には言えないけれど。
    「行儀が悪いですよ」
     頬杖をついて不貞腐れた表情をするユシュカの背を、ナジーンが軽く叩いた。こういったやり取りも実に懐かしい。いや、ここ近年は娘の方にやられているので、叩く力の絶妙な違いを妙に痛感しているのだが。
    「ったく、オレはいい副官に恵まれてるなぁ」
    「父娘二代で務めてますからね。別にずっと私が副官を兼業してても良かったんですけど」
    「むしろ魔王業と副官業兼業することが異様だろうが。オレの副官魔王とかエグすぎる」
    「私の妻は大魔王殿ですけど? しかもあなたのしもべ」
    「それは言うなッ! 黒歴史なんだからッ!」
     かつて瀕死だった少女を拾ったのも、今や三百年ほど前の話。そんな少女をしもべにしてこき使ったり、囮にして危険に晒したり、果ては「どこまでもしもべ根性が抜けない奴だ」なんて皮肉ったりしたのも今や消し去りたい過去だ。
     泣き上戸になりそうなユシュカの背を撫でて、ナジーンは楽しそうに笑った。
     魔界の魔王たちは、等しく終わりの大魔王が大好きである。それは、彼女が没した後も変わらない。
     当初、彼女を瀕死に追い込んだ氷の魔女ヴァレリアも、自分の意志を持つことをやめてしまっていたアスバルも、破天荒な我道を行くペペロゴーラも、彼女を妻として迎えたナジーンも、彼女が死した今も、その思い出を大切に思う。
     ユシュカは特に彼女の力によってなし得たことが大きすぎて、過去彼女を酷くぞんざいに扱っていたことを今でも事実として受け止めようとしない。
     あの頃のユシュカは傲慢で、他人のことを知ろうとしなかった。自分だけが選ばれた特別なものだと信じて疑わなかった。
     ナジーンとしては、早々にその鼻を叩き折っておきたかったのだが、トントン拍子で話が上手く行きすぎて、ユシュカの鼻をなかなかへし折れずにいた。
     一応何度も諭したのだが、当時のユシュカは正論だと分かっていても知らないふりをしていたし、彼女を城に入れないように指示したこともちっぽけな自尊心からだと分かっていた。
     結果として、彼女の存在はユシュカにとっていい薬となり、未だに傲慢で強欲なところはあるが、ある程度落ち着いたと言えた。
    「全く、お前は本当のことだが嫌なことばっかり言ってくるな」
    「お褒めに預かり光栄です」
    「イヤミだよ分かれよ」
    「分かってますよ。けれど、いい勉強ではあったんですから、素直にこれからもあまり悪い癖は出しすぎませんように」
    「ハイハイ」
     小言を適当に流して、ユシュカは嫌そうな表情をした。全く、ユシュカの副官たちは耳に痛いことばかり言ってくる。だが、そういった人材が一番大事なのだと、ユシュカはもう既に嫌という程学んだのだが。
    「なぁ、ナジーン」
    「なんですか」
    「ありがとな」
     グラスに映った歪んだ顔を見ながら、ユシュカは普段は口にしないことを言う。
    「今更なんですか、気持ち悪い」
    「ひでぇ、ひとが感謝してるのに」
    「感謝してるのは私の方ですよ。あの日、あなたが私の生きる意味にならなかったら、私はネクロデアと共に死んでいた。あなたが私を生かし、光であり続けてくれたお陰で、私は彼女と添い遂げることができたし、自分のために生きることができるようになったんですよ」
    「お前を生かしたり大魔王を拾ったから、生まれた命もあるしな。そう考えると、オレはアイツが産まれる立役者と言っても過言じゃないな」
    「すぐ調子に乗るんですから……」
     ナジーンが呆れたため息をついたところで、ユシュカの頭にごすりと手刀が突き刺さった。
    「お迎えが来たようですね」
    「こんな手痛い迎えがあるか!?」
    「お父さまお久しぶりです。ユシュカの面倒を見て下さりありがとうございます」
    「待て、なんでオレが面倒みられること前提なんだ!?」
    「前は私の仕事だったからな、このくらい大したことではない。愛想を尽かしたらいつでも帰ってくるといい」
    「シレッと離婚を推奨するな!」
     フーフーと肩で息をするユシュカを後目に、副官父娘は飄々としている。二人とも下戸のくせに。
    「愛想を尽かしたら、そうさせていただきます。が、お父さまもよくご存知の通り、一度愛してしまったら、あばたもえくぼなんですよね」
    「そんなところまで私に似なくても良かったのだが……」
    「ママが死してなお、二百年愛を貫き通しているお父さまの娘なのだから仕方ないです」
    「なあシレッとデレてるのに、オレを放置するのやめてくれないか?」
     完全に不貞腐れてしまったユシュカが、とりあえず帰るまでに飲めるだけ飲もうと酒に口をつける。その背中には言い知れぬ哀愁が漂っていた。この人物がファラザードの魔王などととても思えない光景だ。完全に副官の尻に敷かれてしまっている。
    「では、この人が脱ぎ出す前に引き取らせて貰いますね」
    「ひとを露出狂みたいに言うな」
    「ユシュカが脱ぐのはお風呂と着替えと私の前だけで十分です」
     当たり前のように返された返事に、ユシュカは弾かれたように自分の嫁を見やる。
     ほんのりと首と耳が赤くなっているのは、この場の雰囲気や酒の匂いに酔ったからではないだろう。
    「きゃ! いきなりな……んんっ!?」
     へべれけであったはずのユシュカが途端にシャキッとして、軽々と娘を抱えあげて熱く口付ける。挨拶もなしに、娘を抱えたままのユシュカが一目散に城へ帰っていくのをナジーンは目尻を緩めて見送った。
     娘がユシュカに惚れたのは悔しいことだが、幸せそうならそれでいい。
    「そうだろう? ***」
     そう呟いて、ナジーンはジュースのグラスを宙に掲げた。

     *

    『呑まれるな』

     ハァイ、初めましてのお客さまかしら?
     私はララファ、耳寄りな情報なら私におまかせ。このファラザードの酒場には、とても色々な人が来るのよね。
     どの情報から聞きたいかしら?
     ふむふむ、この国の魔王、ユシュカさまの情報ね。
     魔界の中では新参者の砂の都ファラザード。この国を興したのがユシュカさまよ。
     ユシュカさまはザード遺跡の近くにオアシス見つけると、あっという間に国を興してしまったのよ。
     大魔王城を献上したのもユシュカさまだし、大魔王さまと一緒に異界滅神を討伐した英雄でもあるわ。
     そんなあの人、実は酔っ払うと脱いじゃうの! 最近は脱ぐことも減ったんだけど、技も炎の技が多いから、暑がりなのかしらね?
     ふふ、他に誰の情報を聞きたい?
     なるほど、ナジーンさまね。
     ナジーンさまはユシュカさまの副官としてこの国を興した立役者よ。
     ユシュカさまの無茶な政策を形にしたり、裏の仕事をしたり色々とお忙しい方だったわ。
     今は故郷であるネクロデアを復興なさって魔王になっているわ。それでもファザードの副官と兼任していたのだから凄い人よね。
     ちなみに、あの方は愛妻家で有名だから、色目とか使っても無駄よ。
     そんなあの方は実は下戸なの♪ 酔うとすぐ寝てしまうわ。可愛いわね。
     お次は……新しい副官さまの話ね。
     あの方はユシュカさまのお妃さまでもあるのよ。ナジーンさまの長女でもあるわね。ネクロデアのお姫さまよ。
     見た目はナジーンさまを女にしたようだと言われるし、性格も父親譲りね。ユシュカさまにお小言を言ってる姿をよく見かけるわ。
     あの方のお陰でユシュカさまが脱ぐ確率が減ったのだけど、なくならないところが可哀想よね。
     まあ、お酒の方もナジーンさまに似て弱いわね。すぐ寝ちゃうわ。だからユシュカさまはあまり飲ませたがらないのよ。過保護で可愛いわね。
     次は……ふうん、その方のこと聞いちゃうんだ。いいわよ、話してあげる。
     魔界を救った英雄、終わりの大魔王さま。
     フルフェイスのヘルメットを被って、黒い衣装を纏った姿が語られているけれど、中身は黒い髪に紅い目をした普通の女の子よ。
     あの方はとてもお強くて、あのバルディスタの魔王、ヴァレリアもその能力を認められた方ね。
     ここだけの話、魔仙卿の妹なんですって!
     そんな大魔王さまはとてもお酒に弱くって、一口飲むだけで頭痛と吐き気と眠気に襲われるというスーパー下戸だったわ。
     どう? まだ知りたいことあるかしら? もっと大魔王さまのお話? そうね、大魔王さまは……あら、ナジーンさまいらしたの?
     そうね、あの方のことを一番知ってらっしゃるのは、夫のあなただものね。
     惚気はいいわよ惚気は。でもそうね、盛大に惚気話を聞かせてあげてちょうだい。
     このアストルティアから来た旅人さんに。
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