「ただいま」
声をかけて見るが返事はない。それにおや?と思う。いつもならカワイイ新妻が出迎えてくれるが、今日はそれがなかった。
リビングも暗い事も気になる。
「暁人?」
暗いリビングを念の為覗いて見たが、ソファで寝過ごしてる様子もない。最近、調子が悪いと言っていたから、もしかしたらベッドで寝ているのかもしれないと寝室に向かった。
もし、具合が悪いのなら病院に行く必要がありそうだな。保険証はどこだったかと思考を巡らせる。そして寝室のドアを開けると、こんもりと膨らんだ布団。それにゆっくりと近づくとすやすやと眠る暁人がいた。
「暁人」
名前を静かに呼び、頭を撫でるとピクリと身体が動き、暁人は目を覚ます。
「けぇけー…?帰ってきてたんだ。ごめん、寝ちゃってた…ご飯作ってない…」
2905