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    きさら

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    2021白田美ツ騎誕生日ネタ

    #ミツキサ

    嫌いが好きへと変わった日(前編)朝、まだ上手く開かない目をこすりながらベッドサイドテーブルの上に置かれているスマホに手を伸ばす。ロックを解除し中を確認すれば、日付が変わったタイミングで彼女の希佐からメッセージが2つ入っていることに気づき急いでそれを開いた。

    「美ツ騎さん、お誕生日おめでとうございます」
    「大好きです」

    予想もしていなかった祝いの言葉に驚き、すぐに今日の日付を確認すれば確かに自分の誕生日である7月14日だった。

    今までの美ツ騎にとって誕生日とはすごく嫌いな行事で、いらないとすら感じていたものだった。
    お祝いの言葉を言いたいだけの特に親しくもなく、名前すら知らない人達にプライベートな時間までも奪われ、無遠慮に話しかけられて毎年うんざりしていたし、何よりこの世で1番嫌いな母親の影が何度もチラつくからだ。

    過去の出来事を思い出し暗い所へと思考が沈みかけた時、控えめにドアを叩く音が聞こえ美ツ騎の思考は現実へと戻ってきた。
    控えめだったノック音からもしかして……と思い、逸る気持ちを抑えながら扉を開ければそこには予想通りの人物、立花希佐が申し訳なさそうにして立っていた。

    「おはようございます、白田先輩。こんな朝早くに来てしまってすみません、でもやっぱり1番に直接言いたくて……」
    「おはよう、立花。とりあえず中入れば」

    いつもより張りがなく申し訳なさそうな声で謝る希佐の腕を引き半ば強引に中へと招き入れる。そうしなければ彼女は遠慮して中に入ろうとしないと思ったからだ。
    反対の手でドアを閉じ、しっかりと鍵をかけてから希佐の方に向き直れば手を引かれたことに驚いたのかその琥珀色の綺麗な瞳を大きく開いていた。

    「僕は朝1番に希佐の顔が見れて嬉しかったけどお前は違うのか?いつもなら午後のクラス稽古にならないと会えないのに今日は朝から会えたこと、嬉しく感じないのか?」
    「……そんなことないです。すごく嬉しいです。でも美ツ騎さん朝苦手じゃないですか。なのに、こんな早くから押しかけてしまって」

    また俯いてしまった希佐にやれやれと思いながら近寄りその柔らかい髪をそっと撫でる。
    急な頭を撫でられる感覚にパッと顔を上げた彼女に不意打ちでキスをすればその可愛らしい顔がみるみる真っ赤に染まっていった。

    「そんなに申し訳ないと思うなら笑ってよ、希佐。たとえ朝、誰かに叩き起されたとしてもお前が幸せそうに笑っている顔が見られたら全部吹き飛んじゃうくらいに僕ははお前の笑った顔が好きなんだ。だから笑って、希佐」
    「……ずるいです、美ツ騎さん。それ、私が断れないの知ってて言ってますよね」
    「ん、そうだね。で、笑ってくれないの?」

    その言葉に諦めて白旗を上げた希佐が、綺麗な笑顔の華を顔に咲かせこちらを見る。それを正面から受け止め同じように微笑んで返せば、彼女はもっと綺麗な華を咲かせながら透き通る声で名前を呼びこの部屋に来た目的を果たし始めた。

    「美ツ騎さん、お誕生日おめでとうございます。それに私のことを許してくださったり、疲れている時に必ず気付いて優しく声をかけ、導いて下さりありがとうございます。
    美ツ騎さんの恋人でいられる私は世界1の幸せ者だと思います。これからも愛しています、ずっと傍にいてくださいね」

    希佐に無自覚爆弾発言を落とされ、美ツ騎の雪のように白く透き通った頬は真っ赤に染まった。

    自室に2人きりの状態でこれはまずいだろと思い、落ち着くために大きく息を吐き出せば、その爆弾を落とした張本人は、美ツ騎が照れている姿を見れて嬉しいのか楽しそうに笑っていた。
    その呑気な姿に多少の苛立ちを感じやり返そうと、2人の距離を全て無くすよう詰め寄る美ツ騎の姿に何かを察知したのか希佐は素早く後ずさろうとした。だが、その前にその華奢な腕を掴みこちら側へと引く。

    いくら美ツ騎が同性の中では華奢な方だとしても、彼は歷とした男性で力の差は明らかだった。女である希佐が簡単に逃げられるわけもなく、されるがまま彼の胸の中へと倒れ込むように収まる。
    突然のことに混乱して軽くパニックを起こしている希佐の耳に迷う事なく唇を寄せ、以前に彼女が安心すると教えてくれて好きになれた地声でそっと囁く。

    「そんなの当たり前だろ。むしろ希佐が離れたいって言っても離してやるつもりないから諦めてこれからもずっと僕に愛され続けて、希佐。 ……これからもずっと愛しているよ、希佐」

    僕の腕に囚われ、逃げることの出来なかった彼女の体が盛大にびくりと震え、その足から力が抜ける気配を感じたため倒れないようにと腕に力を入れしっかりと支えてやる。自分の肩に頭を押し付けている彼女の顔は生憎見えないが耳まで真っ赤に染まっているのが美ツ騎の視界に入り、柄にもなく嬉しく感じて、ハハハと笑い声をあげる。

    そんな美ツ騎の様子に希佐は恥ずかしいのか、その顔を上げ睨みつけてくるが潤んだ瞳でやるそれはただの上目遣いでしかなく、宥めるために「ごめん」と謝りながら背中を撫でてはいるものの、内心は無自覚な煽り行為に穏やかではいられなかった。






    「美ツ騎さんはやっぱりずるいです」
    「だからごめんってば。でも希佐だって同じことしただろ?」
    「耳元では言ってません!」
    「はいはい、悪かったよ。でも先に刺激したのはお前だからな」

    ソファで横並びになりながら話を出来るくらいには希佐も回復したものの、その顔はまだ拗ねているようで一切美ツ騎の方を見ようとはしなかった。今はそんなご機嫌斜めな愛しい彼女の頭を撫でながら宥めている最中だ。

    「……そろそろ支度しないと遅刻しちゃいますね」

    宥めることに必死だったため気づかなかったが彼女はいつの間にか伏せていた視線をテーブルにある時計に向けていた。その視線を追い時刻を確認すれば、その時計はまもなく7時を示すところだった。

    「ああ、ほんとだ。もうこんなに経ったんだ」
    「美ツ騎さん支度まだですよね?私、先に食堂行って席取っておくので気にせずゆっくりと支度してください」

    そう言って足早に出ていこうとする希佐の腕を掴み引き止める。

    「嫌だ、一緒に行きたい。だから待ってて、直ぐに着替えてくるから」
    「……分かりました、待ってますね」

    普段は滅多に甘えない美ツ騎の我儘に希佐は、一瞬だけ瞳を見開いたもののすぐに微笑み頷いた。

    その顔が紅茶を入れる時に踊る茶葉のように綺麗で堪らず、そっと顔を寄せ口付けを送った。
    唐突の口付けに金業のように固まった彼女を尻目にさっさと洋服を準備して非難される前に急いで着替えに向かう。



    脱衣所に入りやっと1人になれた美ツ騎は今日の朝起きてから今までに起こった濃密な時間を思い出し1人、鏡の前で赤面した。

    「なんなんだよ、あいつ。無防備すぎたろ。可愛いけどここ、男子校なんだからもう少し気をつけろよ……」

    絶対的な信頼をされていることは嬉しいが、不満もある。まあ、それはおいおい教えればいいかと思考を切りかえ希佐の元に戻ろうとするが、自分の顔を鏡で見てその場に留まる。


    結局、美ツ騎が希佐の元に戻ったのはそれから10分後の事だったとか……
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