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    @t_utumiiiii

    @t_utumiiiii

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    @t_utumiiiii

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    心眼としか喋らない(喋ろうとしなくなった)墓守とそういうのやめて欲しい心眼(アストレア衣装) 広義の墓心

    ※荘園設定の捏造等

    恩寵を受け取るためのレッスン(墓守と心眼) 「最後の試合」が終わるまでの間、試合の再現を繰り返しながら、荘園の屋敷に留まることを強いられている招待客(サバイバー)の一人である墓守ことアンドルー・クレスは付き合いが悪い。正確に言うと、悪くなった。協力を義務付けられている試合の場では必要な受け答えをするものの、試合を終えると速やかに目を逸らしながら、足早に歩き去っていく。
     以前のアンドルーは、そこまで付き合いが悪くなかった――元々人目を避けたがる傾向はあったが、少なくとも、サバイバーから声をかけられることがあれば、怯えるような素振りを見せながらも、素っ気ないあまりふてぶてしいほどの態度で応答し、人手あるいは賑やかしの要員が必要だと呼ばれれば、相変わらず怯える子供のように首を竦めたまま小声で憎まれ口を叩きながら、程々に顔を出す程度には人付き合いをした。
     その程度のところから、急に社交を拒むようになったアンドルーの変化を、彼と同じ屋敷に滞在するサバイバーの多くは気付かなかったし、気付いたとしても、それを敢えて問題とは捉えなかった。そもそも、彼らは馴れ合うために荘園からの招待を受けた訳ではない。
     強いて言えば、医師は彼の変化を気にかけ、その姿を見かけるたびに「何かあれば相談して欲しい」と声をかけるよう気を付けてはいたものの、彼女の試みが何らかの実を結ぶこともなく、次第に医師も(彼なりの理由があるのでしょう)と納得をすることにした。
     閉鎖空間であるこの荘園において唯一の医療従事者である彼女は、自分に出来得る範囲で、同席するサバイバー皆の健康状態にも気を配るべきだという使命感を持っていたが、実のところ、その「医師である」という重責から降りるために、彼女が過去に「医師として」犯した過ちを償い、我が身可愛さに見捨てた子どもとの約束を果たすためだけにここにいる彼女が、荘園で同席しているだけの彼らに対して、そこまでの献身を傾ける理由はなかった。リソースは限られているのだ。
     それに、試合外での接触を拒むサバイバーは、アンドルー以外にも数人いた。例えば、特質として社交恐怖を持ち、己の確たる生活スタイルに沿って生活している様子の納棺師や、何らかの事情により口を縫い付けられており、自らも口を固く閉ざして、愛嬌らしいものはその仕草から読み取れるものの、手紙の受け渡しのほかでは、基本的に応対することができないポストマン。つまり、珍しいことでもない。
     さらに、アンドルーは誰彼構わず社交を拒んでいるわけではないことが、(そもそも大体のサバイバーは他人のことを気にかけるような性分ではないが、)多くのサバイバーが彼の様子を敢えて、全くと言っていいほど気にかけようとしない様に拍車をかけていた。彼は「選択」を行ったのだろうと理解されていたのだ。
     選択とは何か? 彼はサバイバー全員に対して付き合いが悪くなったわけではなく、ヘレナ・アダムスにだけは心を開いている様子で、試合外で他のサバイバーからの呼びかけに答えなくなった後も、彼女と行動をともにしている姿を見かけることはあったし、時折荘園主が姿も見せずに開催するイベントでは、彼女に伴われたのならば顔を出すことはあった。社交を他者に振りまくのではなく、気に入ったものとだけ付き合うことにしたということだろう。
     しかし、ヘレナはそれを良しとはしていなかった。例え戸を閉められたとしても、神の手によって常に窓は開かれているのだから、その窓を自ら閉ざすような振る舞いを良しとするべきではない、というのが彼女の心情である。

     ノックの音に応じてヘレナが返事をすると、扉を開けて彼女の部屋に入ってきたアンドルー・クレス――そもそも他人との行き来が著しく少なかったらしい彼はそのためか、本来であれば同性の友人に見せるような態度でヘレナに接してくる。ヘレナはそれに正直辟易しているところがあるが、幼気なものが、自分も当然共に行くものだと信じて服の袖を掴んでいるのを振りほどくのは、少し心が痛む――は、先の試合の再現から負傷状態で戻ってきたらしい。泥に混ざって血の臭いがする。
    「クレスさん……怪我をされていますね。」
    「ああ、うん、でも、勝ったんだ! はは! 治療を頼む、いや、頼みたい……頼めるか?」
     良い試合の運びだったのだろう。勝利に気が高揚しているらしく普段よりも随分はきはきと喋りだしたものが、段々遠慮がちに尻すぼみになっていくのを聞きながら、ヘレナは救急キットが置かれている場所に手を伸ばし、持ち運びに無理のない持ち手のついた小型の箱を手に取る。先日荘園主から贈られた衣装は、丁寧に編み上げられたカーディガンに胸元の可愛らしい花、まるで部屋着のようにゆったりとした作りのワンピースで、それは本当に着心地が良く、ヘレナがそうやって体を動かすたびに、布地がするすると滑らかについてくる。
    「……私には応急手当しかできませんから、後でちゃんと、ダイアー先生のところに行ったほうが良いですよ。」
     ヘレナがそう付言したところで、アンドルーは気にした様子もない。曰く、「信じられない」からだそうだ。アンドルーは常に、嘆くようにそれを口にする。目が見えるやつが、僕を見て陰口を言わないなんてのは嘘だ。信じられない。僕のいないところで目茶苦茶言ってるに決まっている。あの女医は、庭師の女とつるんでいるだろう。あいつらはよくこそこそと話をしている。口元を隠しながら、気持ちが悪いぐらいにくっついて、聞こえないと思って嘲り笑っているに違いない。
     アンドルーが確信を持って憤るように、というよりかは、ひどく嘆くように続けるそれらの言葉に、ヘレナが「彼女達は、そんなことを言ったりしませんよ」と窘めたところで、アンドルーは、体質の問題から夜に閉じこもるような暮らしを長く続けたことによってか、不健康に落ちくぼんだ目を俯かせながら「信じられない」と繰り返した。
    「私が言うことも、信じられませんか?」
     椅子に座らせた彼の前に跪き(作業がやりやすいからであって、特段意味はない)、差し出させた男の骨筋張った腕に包帯を巻きながら、ヘレナが少し困ったように眉尻を下げて微笑んでみると、それには「ちがう!」と、間髪入れずに強い音が返ってくる。
    「あんたのことだけだ! あんたのことだけは、信じられる……あんたが信じるやつのことは、あんただって、あいつらに騙されてるんじゃないかと、思うが……」
    「そんなことはありませんよ。」
     嘆く調子で続けられる猜疑心に、ヘレナが堂々と返してみせると、その芯の通った声を聞くにつけ、居心地の悪そうに椅子の上で縮こまったアンドルーは、「……ど、どうやって、信じるんだ?」と弱々しく零した。
    「あいつらは、僕と母さんに石を投げてきたやつと同じように見える。そいつらと同じじゃないって、どうやって信じることができるんだ? アダムス、お前には、その面を見ることはできないのに。」
     そのように続いた寄る辺のなさ気な問いかけに、ヘレナは少し考えてから、「場数でしょうか」と呟く。
    「ばかず?」
    「はい。人と交流した経験と言いますか……私も決して、多いわけではありませんが。」
     ヘレナはアンドルーの生い立ちを彼から話を聞く程度にしか知らないが、母親とラズの墓地、そして「外敵」によって構成される話を聞く限り、彼のこれまでの交友関係は随分と少なかったようだ。「そうではない人間」のことを知らないし会ったこともない。だから、信じることなんてできるわけがない。一方ヘレナは、温かな両親と理解ある恩師に恵まれ、彼らの導きで様々な人と出会い、人間が素晴らしいものだと知っているからこそ、信じられる。そういうことだろう。

    「クレスさん、私と一緒に、ダイアー先生のところへ行きましょう。」
    「はっ!? い、嫌だと言っただろう……」
    「私もついていきますから、大丈夫ですよ。まずは、傷が膿まないようにしなくては」
     「ね、」と彼の手を取ったままヘレナが念押しをすると、アンドルーは黙り込んだ。「目が見えるやつなんか信用できない!」と振り払いたいのは山々であるが、ただでさえ自分よりも力が弱く、目が見えない分相手の予備動作を察することも難しいのだろう彼女の手を無下に振り払っては、また彼女を傷つけることになるのではないかという不安があった(過去に一度アンドルーは同じような状況でそうしたことがあり、その時に結果として突き飛ばされよろめいたヘレナは机の角に頭をぶつけた。眼鏡があったから怪我こそしなかったが、なければ瞼を切っていたに違いない。彼はそれを――自分が意図せず振るいかねない暴力によって、自分が信頼できる唯一の友人関係が断絶することを恐れていた。)。
    「信頼できるかどうかは、まず、一度知り合いになってから考えても、遅くはないでしょう?」
     不安感に強張っているアンドルーの手を引くようにその手に手を添えたまま、ヘレナは、かつて彼女の世界を広げてくれたサリバン先生のように、落ち着いた声でそう続けた。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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