疑問符 噛み付く様な激しいキスも、優しく啄むキスも、爪先立ちしたくなるような、蕩けるキスも、大好きだ。
唇も、人それぞれでサ、肉厚のぽってりしたヤツも、小さく薄い唇を割る時の感触とか…?…あれ?
「なぁーんでそんな爆弾、僕にブン投げて来んの?!止めてよミスタ?」
「え?なんでそんな厄介者扱いすンの?」
最近、キスして無いとDiscordで軽く話題を出したら、シュウが激しく拒否反応を返して来た。清楚キャラだって、へー。そうなんだー(棒)くらい返してくれると思うジャン。
「そーゆーのは、ヴォックスに言いなよ!」
「えー。ヤダよ」
だって
「上の空か?まだ余裕があるな」
だって、最近のキスはコイツとしかして無い。唇の感触とか、どっちがリードしてるとか、関係なく目の前がチカチカして、身体の芯が熱くなる。
遊びと言えないこんなキスを、俺は持て余している。
「ヴォックス、俺さ」
「うん?」
「キス、すっげぇ好きなの」
「それは重用」
「だからさ、他の人ともして良い?」
「馬鹿なの?」
黒髪を掻き上げながら心底理解出来ないと金色の瞳が突き刺さる。俺は、自分の感情を説明出来なくて唸る。
「…こう、なんていうか」
「あぁ」
「比べてみたくて」
「キスをか?」
「ちがくて、かんじょう?」
あれ?どうしてだったかな?
「おい」
伸びて来た両手が耳を塞いで、深いキスで脳髄まで侵される。溺れるこの感覚に名前を付けたくて、チラッと過ぎった疑問は強引に押し流された。
「悪いが、他の者にティスティングを許せる程、人間が出来て居ないものでね」
「んー。まぁ、別に」
平静を装うヴォックスの瞳の奥に、ゆらゆらと見え隠れする執着の色を観たら、スルッと何かが解決した気がした。
本当に確かめたかったのは?