未来の約束「以上で本日の撮影はすべて終了です〜! ありがとうございました!」
スタジオに響いたスタッフの声を合図に体の緊張をとく。俺に向けられていた無数のカメラが散り散りに移動していくのを見送ると、少し離れた位置で撮影を見守っていた七ツ森――Nanaが軽く手を挙げて「オツカレ」と声をかけた。
「終わりか?」
「そ。サンキューカザマ、マジ助かった」
「モデルが急に来られなくなったからって、本当に俺でよかったのかよ」
「はばたき市の若様がナニ言ってんの。代役にしてはゼータクすぎるくらいでしょ」
……なんて言いながら、眩いほどに白く光るフォーマルスーツに身を包んだ人気モデルが笑みを浮かべる。まぁ、今は俺もほぼおなじ姿ではあるんだけど。
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