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    さよりこ

    GS4腐向けで書いてます。

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    さよりこ

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    アールさんの七風で書かせていただきました!卒業後の二人です。こんなイベントあったらな〜と思いながら書きました。
    お幸せに〜〜!!

    #GS腐向けフリライ

    未来の約束「以上で本日の撮影はすべて終了です〜! ありがとうございました!」
     スタジオに響いたスタッフの声を合図に体の緊張をとく。俺に向けられていた無数のカメラが散り散りに移動していくのを見送ると、少し離れた位置で撮影を見守っていた七ツ森――Nanaが軽く手を挙げて「オツカレ」と声をかけた。
    「終わりか?」
    「そ。サンキューカザマ、マジ助かった」
    「モデルが急に来られなくなったからって、本当に俺でよかったのかよ」
    「はばたき市の若様がナニ言ってんの。代役にしてはゼータクすぎるくらいでしょ」
     ……なんて言いながら、眩いほどに白く光るフォーマルスーツに身を包んだ人気モデルが笑みを浮かべる。まぁ、今は俺もほぼおなじ姿ではあるんだけど。

     休日の昼間、おじいちゃんのお使いでアルカードに買い物に来た俺は、なにやら慌てた様子の撮影スタッフと出くわした。トラブルがあったらしい。そういえばこの辺に、あいつがよく使う撮影スタジオがあるらしいと思い出した瞬間、Nanaが目の前に現れて、その瞬間目が合って、それで。

    「――――お前、大声で人の名前呼びやがって」
     数時間前の出来事を思い出し、ため息を着く。指摘された七ツ森はモデルスマイルを剥がしてバツの悪そうに視線を逸らした。
    「あー……それはマジでゴメン。適任いた、って思ったら、つい」
    「あのな、俺は素人なんだぞ。そこまで過大評価されても困るんだよ」
    「イヤイヤ、バッチリでしたって。さすがカザマ」
    「現金なやつ」
     テキトーな返しに呆れつつ笑いかける。とりあえず撮影は終わった。肩の荷が降りて怒る気にはならない。
    「……この衣装、結婚式みたいだな」
    「そ、そう。来月ウェディング特集だから」
    「そっか。お前のもそうだもんな」
     スタッフが撤収していく中で、メイクさんらしき人がNanaに声をかけてくる。「あ、あとで寄ります」などと短いやり取りをして見送った。
    「いいのか?」
    「助っ人にお礼したいから残るって言ってある」
     よく分からないが、そういうものらしい。
    「カザマ、こっち」
    「……?」
    「折角だから、着替える前にもう少し焼き付けておきたいし。スマホで撮ろ」
    「大丈夫なのか、それ」
    「個人的に記念撮影したいって言ったら、外部に出さなきゃオッケーだって」
     抜かりはないらしい。楽しそうな七ツ森に水を差すのも気が引けるので、言われた通りにする。
    「背景がホンモノの教会だったらよかったんだけど……ま、それはあとでどうにかするとして」
     どうにかできるのか。
     専門に通ってるだけあって映像に関しては七ツ森の方が詳しい。なにかやりたいことがあるようで、小さな声で思考を展開している。
     モデルをしながら撮影する側のことも知っている七ツ森は、魅せ方もよりレベルアップとファンの間で評判になっている。それは仕事仲間やスタッフも同様で、今日は撮影の間中、そのことを肌で感じることになった。
    「カザマ、ここ座って」
     何かの機材にスマホをセットした七ツ森が指示を出す。今日は仕事モードの七ツ森を散々目の当たりにしたからか、なんだかドキッとしてしまう。
    「あ、ああ……。こうか?」
    「バッチリ」
     かと思えば、いつも通りの笑みを浮かべて七ツ森もその場に寝転んだ。家で甘えるみたいに、俺の足に頭を乗せて。
    「おい」
    「キッチリしたのは散々撮ったし。つーか俺、カザマとほとんど絡みなかったし。ほら、カメラ見て」
    「ったく……」
     言われるがままスマホに目を向ける。呆れたようなことを言いながら顔が緩んでしまっているのも、カメラに写ってしまったかもしれない。



     あの撮影から数日経ったある日、七ツ森が「できた」と言って見せてきたパソコンの画面には、教会で寛ぎながら幸せそうに微笑む俺たちの姿があった。
     柔らかな陽の光が差し込む協会で、七ツ森の好きな赤い薔薇が、まるで俺たちを祝福するように散りばめられている。重ねられた二人の手にはシルバーリングが光っていた。
     キラキラとした幸福がそこにはあった。あまりにも鮮明なビジョンに、本当にその場所にいるかのような感覚になる。
     やわらかな風の音、あたたかな祝福の声が聞こえてくるようで……。
    (あの時、こんな顔してたんだな、俺)
     画面を見つめたまま何も言えないでいると、七ツ森は俺の手にその手を重ねた。まだ二人の指にはリングはない。
    「いつかホンモノの指輪して、教会で撮影しよ」
    「……っ、プロポーズみたいだな?」
    「そう思ってくれてイイよ」
     俺の反応に気を良くした七ツ森がふっと目を細めて微笑む。俺は未来の約束をするかのように、絡められた七ツ森の薬指をそっと撫でた。
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