4.嘘も本当も、果ては恋俺は嘘つきだ。自覚している方が罪悪感を覚えずにいられる事も含めて、そう理解している。
「ネロ! もう動いて大丈夫なんですか」
ある日の夕方、様子を見に来た賢者さんは扉を開けこちらを見るなりそう言った。
先日の厄災戦で死にかけたとはいえ、いつまでも寝ている訳にはいかない。壊れた街や村の様子を見に行ったり修復を手伝ったり、また異変が起きた所があれば任務に赴く事も出てくるだろう。
「少しずつでも動かしていかねえと身体が固まっちまいそうでさ」
「……無理はしないでくださいね」
「分かってるよ、誰かさんの為にもな」
「そうですよ、本当に心配したんですから」
「はは、面目ねえ」
魔法舎のキッチンには当分立たせて貰えないだろうし、まずは自室のキッチンでリハビリをと思ったのだが。
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