鶏鳴と周波数.
──やあ、親愛なるピーター1、ピーター2。聴こえるかい?
あれからしばらく経ったけれど、元気?きっと今頃は、いつも通り街を飛び回っているんだろうね。もちろん僕も……ええっと、そうだね。その、実は、僕の方は──
「え、本当に持ってきたの?」
「だってアンタが言ったんだろ。『デートには花だ』って」
「僕、デートで花を貰うのは初めてなんだけど」
「わお。嬉しいこと言ってくれるね」
「その……よく考えた事なかったんだけどさ。花束って、この後はどうするのがベターなの?持って歩こうにもポケットも鞄もないし、この後もパトロールだし。それにここ、」
地上一〇二階だし。
そう言った瞬間、強いビル風が嵐のように吹き上げた。ラッピングの紙とリボンがばさばさと荒々しく羽ばたきし、百ドルくらいしそうな大きな花束の何割かが、散り散りになって夜空を飛んでいく。
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