Dom/subユニバースなモクチェズ***
「私たちもそろそろ、パートナーになることを考えませんか」
二人が生活するセーフハウスの一室でなされたチェズレイの提案に、モクマは思考も動作も停止した。
夕食を終え、二人は並んでソファに座っている。時折晩酌に付き合ってくれる相棒に、今日は酒は無し、と言われていたので、何か大事が話があるのだろうと思ってはいたのだが。
パートナー? 俺たちは、すでに唯一無二の相棒だと思っていたのだが、違ったのだろうか。落胆しかけてすぐに、いや、違う意味なのだとわかった。
「……おじさん、これでもDomなんだけど」
「それが何か問題でも?」
「へっ? ってことは――お前さん、subだったの!?」
「ええ」
男や女という身体的あるいは精神的な性別の他に、人間は第二の性別をもつ。それが、DomとSubだ。一般的に、Domは支配したい性、subは支配されたい性、と理解されている。欲求が満たされない状態が長く続くと、Domもsubも抑うつ症状などの体調不良を起こすため、特定のパートナーがいない場合は、一時的なパートナーとの行為に及ぶか、抑制剤を服用する場合が多い。
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