無防備な彼女 休日出かけた先で事件に遭遇するなんてのはよくあることだけれど、そこに宿敵の妹がいるのもよくあることにはなって欲しくない。
偶然同じトラブルに巻き込まれ、警察を呼ぶほどの大事にはならずに収束した。そこまでは良かった。
それではまた会うことがあればなんて言って解散し、いつもの日常に戻れば、日々の記憶に紛れて今日のできごとも薄れていくだろう。
しかし、外はとっくに日が暮れている時間。そのことに建物を出てから気付き、まだ近くに彼女がいればなにも言わないわけにもいかない。
「もう遅いですし、送っていきましょうか」
社交辞令。または、純粋な厚意。どちらにしても、下心はなかった。
今年だか来年だかに成人を迎えるらしい彼女に対して邪な感情を向けるなんて、あってはならないのだから。
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