【甘いキスの日】ヒュンポプ「なー、ヒュンケル」
「なんだ?」
振り返ったヒュンケルの傍に近づき、そっと唇を押し当てる。
すると、ポカン、とした表情でこちらを見ているヒュンケルに、ぶは!と笑って、ぱ、と離れた。
「ポップからしてくれるなんて珍しいな」
「今日だけ、だかんな?」
首を傾げて見上げると、不満そうな顔のヒュンケルが、腰を抱き寄せてきて膝に座らされる。
近い距離に恥ずかしくてぐいぐいと押し返すけど、力は強くて離れられない。
「もっとしてくれ」
「やーだね」
気づいてないのか、未だに不満そうな顔をしている。
それが、なんだか可愛くて、仕方ない。
ぎゅ、思わず抱きつくと、回された腕に抱きしめられて、ぐい、と顔を手で覆われて、唇に温もり。
「ん…」
ちゅ、ちゅ、と何度か啄むかのように唇を食まれて、それにふにゃ、と力が抜けてしまう。
きゅ、としがみついて、とろりとした瞳で見上げれば、ぎらりとした瞳とかち合い、離れようとした瞬間に、噛み付くような口付けに変わった。
「ふ、ん…っん…ぁっ」
「は…」
唇を舌でこじ開けられて、口内に熱い舌が侵入してくる。その熱さに、びくり、と身体が震えてしまうが、舌はそのまま舐めるように歯列をなぞって行き、綺麗に舐めていく。伸ばされた舌は、縮こまっていた、舌を引きずり出されてしまい、絡め取られてしまった。
「ふ、ぁ…っ、やぁ…っ」
「ん、まだ…」
舌で上顎を舐められて、ゾワゾワと快感が走り抜けていき、離してもらおうと強請って、手でバンバンと腕を叩いても、抱かれた腰の強さは弱まらない。
むしろ、もっと力は強くなって、絡め取られてた舌も、更に口内を蹂躙して行く。
「は、ゃ、あ…っ、も、やらっ」
ちゅく、と水音が響いて、恥ずかしくて堪らないのも、身体を駆け抜ける快感にも、どうしたらいいのか分からなくて、しがみつくだけ。
息が苦しくなって、思考も霞んできて、身体も熱く火照ってくる。じわりじわりと熱が身体を蝕んでいく。
そうして、身体の力が抜ける頃に、ようやく唇が離された。
「んっふ…ぁ…、は…っ」
とろり、と熱を孕んだ瞳で見上げれば、ヒュンケルはふ、と笑って、最後とばかりに、ちゅ、と口付けられた。
「…ばか…!」
「先にしてきたのポップだが?」
「そうだけど…」
むう、とむくれた顔で見つめたら、ぽんぽんと頭を撫でられて、優しく髪を梳かれて、ぽかんとしていたら、顔を近づけられる。
「今日は、キスの日、なんだろう?」
そう囁いたヒュンケルの顔は、イタズラっぽくて、小さく「意地悪ぃな」と呟いた。