Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    にゃんもっく

    @nyanmock_tsjml

    時折思いついた時に何かをお出しする中高年。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 11

    にゃんもっく

    ☆quiet follow

    #夏休みヒーローホラー創作企画   淡水魚様(@awaisakana)の発案企画に便乗させていただきました。第7弾です。やっぱりリトテツしか出てこない。二次創作、色々捏造しております。

    踏切カン・カン・カン・カン・カン
    踏切の音は、ずっと聞いていると気を病むと何処かの本に書いてあった気がする
    地震のアラームも似たような音に聞こえる
    あれはどちらも、警戒心を煽るように出来ているのだと思う
    遮断機の向こうにもうすぐ来るはずの電車を待ちながら、そんなことを考えていた
    カン・カン・カン・カン・カン
    片手にはスマホ
    もう片方の手には、さっきコンビニで買った麦茶とおにぎり
    見慣れた自宅近くの光景
    この時間帯には珍しく踏切の向こうにもこちらにも一時停止の車が居ない
    カン・カン・カン・カン・カン
    おかしいな
    電車がまだ来ない
    ここは別に開かずの踏切とか言われるほど、電車の通過を待つポイントじゃないはずなのに
    ずいぶん待たされているような気がする
    カン・カン・カン・カン・カン
    電車が来る気配がしない
    不具合だろうか
    なんだかこれ以上待っているのが
    ばかばかしく思えて



    「―リトくん!」

    急に身体が後ろに引っ張られて
    耳元で聞き慣れた声がした


    「…は?テツ?」

    顔を上げると、普段と違う高さに仲間の顔が有った
    俺はいつの間にか尻もちをついていて
    目の前の遮断機の前を、電車が通り過ぎていく
    イッテツは物凄く焦っているような、必死そうな顔をしていて
    全力で俺の身体を思い切り引っ張って、踏切の中から引きずり出したのだと、そこで理解した
    遮断機を乗り越えた覚えは一切無く
    足元近くに、尻もちをついたひょうしに取り落とした麦茶のペットボトルが転がっている

    《あーあ》

    通り過ぎていく電車の向こう
    何処かで見たような、見た事も無いような姿のなにかが、残念そうに笑っているのが見えた







    【佐伯イッテツの証言】

    リトくんの自宅近くに有る踏切には、少し変な噂が有った
    近くの小学校で噂になっているらしい
    あの踏切にじっと立っていると「呼ばれる」んだって
    何に呼ばれるのかはわからない
    だって呼ばれた事の有る奴はクラスにいないから
    そう話していた小学生は実に無邪気だった
    呼ばれたことの有るやつは居ないけど噂になる
    それはどういうことか
    作り話の可能性が一つ
    呼ばれた奴は生きてない可能性が一つ
    まあ、どうせ小学生にありがちな集団心理が作り出した噂だろうと思いつつ、念のためと思って見回りに来たら、だ
    リトくんが偶然踏切の手前で立ち止まって電車の通過を待っていた
    手にコンビニの袋を持っていたから、買い物の帰りなのかもしれない
    そっと近付いて驚かせてやろうかな、と思っていたその時
    遮断機が下りた踏切の中に、リトくんがふらふらと入って行ったのが見えた
    なにをしてるんだ!?
    慌ててリトくんの背中にしがみついて、遮断機の外に引っ張り出す
    普段の力比べならびくともしないのに、この時は何故だか簡単に彼の大きな身体を抱える事が出来た
    踏切の外に引っ張り出されてからようやく俺の存在に気付いたらしいリトくんは、遮断機を乗り越えた記憶は無いようだった
    この場所は、少し危険かもしれない
    よく見ると、通過する電車の向こう側、歩道の端に
    小さなガラス瓶に花が飾られているのが見える
    その横に、子供だろうか
    血まみれの細い足がこちらを向いて立っているのが見えて
    電車が通過する頃には居なくなっていた




    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works