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    おもち

    気が向いた時に書いたり書かなかったり。更新少なめです。かぷごとにまとめてるだけのぷらいべったー→https://privatter.net/u/mckpog

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    おもち

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    mafiyami。学パロ。夏。

    #mafiyami

    部活のない日は授業が終わった瞬間に隣のクラスに突撃する。窓際の席の後ろから二番目、まだ教科書を片付けているその背中に足音を忍ばせて近づいた。
    「しゅーう!」
    「わあ!? ……ああ、びっくりした、ルカか……」
    「一緒にかーえろ」
    「あ、今日部活ない日なんだ?」
    「そう!」
    「オーケー。すぐ準備するから待ってて」
    シュウはそう言うと筆箱を鞄に放り入れ、教科書とノートを机の中に突っ込んだ。綺麗になった机の上を見てよしと頷く。「行こう」と笑うシュウの、真面目そうに見えてわりと不真面目なところも好き。
    授業中の先生の笑える話とか共通の友達の話をしながら廊下を歩き、下駄箱で靴を履き替えて校舎を出る。普段の通学手段はシュウはバスで、俺は自転車だけど、二人で一緒に帰る時はシュウはバスに乗らない。俺の自転車の後ろに乗って二人乗りで帰ったり、のんびり隣を歩いてひたすら話しながら帰ったり。クラスが違うし、俺の部活があると放課後も一緒にいるわけにもいかないから、二人だけで話をする時間はいつもあっという間に過ぎてしまってバイバイの時には物足りなさを感じる。
    今日は太陽が元気でゆっくり歩いて帰るには暑すぎる。自転車置き場に着いた俺はシュウからカバンをもらって二人分のカバンをカゴに入れた。中身の全然入ってない二つのカバンはカゴの中でぐちゃっとくっつく。
    自転車を引いて歩き、校門を出てから少し離れたところで俺はシュウにニッと笑みを向けた。
    「乗って!」
    俺が先に自転車に跨り、早く早くとシュウを急かす。後ろから歩いて来ていたクラスメイトが「俺も乗っけてー!」とふざけて叫んだから、俺は笑いながら「シュウ専用!」と返した。目を丸くしたシュウはすぐに荷台に乗って「早く行って!」と俺の背中を叩いた。
    スピードを上げるためにぐいぐいとペダルを漕ぐ。日差しは強いけど風が気持ちよかった。風に流されて聞こえなくなってしまわないようにいつもより大きな声で話をするとシュウの声も釣られて大きくなる。自転車を漕いでいる俺よりシュウの方が疲れてはぁはぁしてるのが面白かった。シュウが俺の背中に寄りかかって笑い声を上げるたび振動が伝わってきて、暑さも疲れも吹っ飛んじゃうんだよ。
    「あ、ルカルカルカ、ちょっとコンビニ寄りたい」
    「ん? いいよ。なんか買いたいものでもあるの?」
    「SNSで見たお菓子の発売日が今日だったはずだから探してみたい」
    「おいしそうなお菓子? それとも変なお菓子?」
    「変なほう」
    「ふはっ、了解」
    通りがかったコンビニの前で自転車を止めて、クーラーがガンガンで天国みたいな店内に二人で入る。シュウはすぐにお菓子売り場に向かい、俺はドリンクコーナーに行って飲み物を取った後アイスケースの中を吟味した。
    「なんか買う?」
    「んー、半分こする?」
    「いいね。どれにしよっか」
    「これかこれ」
    「じゃあこっち」
    「オーケー。あ、シュウは欲しいのあった?」
    「なかったぁ! ルカに見せたかったのに……」
    「気になるから買えたらちゃんと俺に見せにきてね」
    「ん、そうする。アイスは僕が買うよ」
    「いいよ、まとめて買っちゃう。次の時はシュウが買って」
    「明日は部活?」
    「だね」
    「んー……おっけ。じゃあ次は僕ね」
    「うん」
    毎日一緒に帰りたいな。でも部活も好きだから、簡単にやめられない。それにシュウは、俺がシュウといたいから部活やめたなんて言っても喜ばなそうだ。
    会計を済ませて気温の高い外に出る。二人同時に「あっつ!」と言って、俺たちは顔を見合わせて笑った。ペットボトルの蓋を開けたかったからアイスはシュウに渡すと、シュウは何も言わなくてもアイスの袋を開けてくれる。俺が冷たいジュースで喉を潤す間にアイスを一口かじったシュウは気持ちよさそうに目を細めた。
    「シュウシュウ、ひとくち」
    「ん、どーぞ」
    差し出されたそれにかじりつき、おいしー!と大袈裟に喜ぶとシュウが楽しそうに笑った。ちょうど日陰になっててドアが開くたびに冷たい冷房の風が流れてくるから、俺たちはアイスを食べ終わるまでそこでちょっとだけ休憩させてもらうことにした。
    涼しくて甘くて気持ちよくて楽しい時間はやっぱりあっという間に終わってしまう。アイスの最後の一口をどっちが食べるかジャンケンで決めて、勝った俺がパクリと食べてしまったら休憩終了。俺は再び自転車に乗りシュウに「行こう」と促した。
    「ね、ちょっとだけ歩いてもいい?」
    「うん? いいけど、暑くない?」
    「さっきより気温下がってるし、もうちょっとのんびり帰りたい」
    「……じゃあ、遠回りして帰ろ。他のコンビニ見たらシュウの欲しいお菓子あるかもだし」
    「いいの?」
    「いいよ!」
    ありがとうって笑ったシュウは「それなら乗せてもらっちゃお。歩くの疲れるし」なんて言って自転車の後ろに乗った。
    「よし、じゃあしゅっぱーつ!」
    「安全運転でね」
    「もちろん! 大好きな人乗せてんだから当たり前ー!」
    「っ!? 大きい声でそういうこと言わないでくれる!?」
    「えー? 聞こえなぁい! なんてー?」
    バシバシ背中を叩かれて俺は笑い声を弾けさせた。バカだなシュウ、そんなことするから余計に調子に乗るんだよ。俺は空に向かって「好きだよー!」と大声で叫んだ。「ルカ!」って怒る声も、俺だけに向けられるものなら大好きなんだから!
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