ウォセss/早起きのお話し「ウォロ、起きろ。朝だぜ」
その言葉と、部屋のカーテンが全開にされたのは同時だった。
「まぶしい……」
「早起きはいいよな」
恋人は全くこちらの反応を気にする様子がない。ウォロは目に沁みる朝日から逃げるように枕に顔を埋めた。
「……今何時なんですか」
「六時五十分」
「寝直すのでカーテン閉めてもらえます?」
「何だよ、起こしてくれって言ったのあんただろ」
「言いましたけど、休みなのにこんな時間に起こすんじゃない」
生活リズムだけでなく休みもなかなか合わないため、二人揃ってのオフを満喫すべく遅くまで寝る気はなかった。とはいえ昨日も仕事で遅かったし、ただでさえ日頃から寝不足気味なのでもう少し寝かせてほしい。
「もうすぐ朝飯できるぜ」
「…………」
「ホットケーキ」
「……まさか火をつけっぱなしにしてないでしょうね」
酒は飲むくせに子供舌なセキは、意外にも甘く焼いたトーストやホットケーキなどが好きだ。それは一緒に暮らし始めて知ったことだった。
「もう焼けるからさっさと顔洗っちまえよ」
「……アナタねぇ、たったの数分もフライパンの前で待てないんですか」
ウォロは仕方なく体を起こした。朝から黒焦げの料理を食べるのは御免こうむりたい。
「待ってる間くらい別なことした方が時間の無駄がなくていいだろ」
何度も作っているのに一向に上達しないのは、この短気すぎる性格のせいだ。
早く焼きたいからといつでも火加減が強すぎるし、じっとしていられなくてすぐ目を離してしまう。そのせいで、表面は焦げて中は生焼けなんてことも度々あった。少し待ってでも弱火でじっくり焼き上げたほうが絶対に美味しいのに、この男はそれが出来ないらしい。
「あとはジブンがやるので、さっさと火を止めて来てください」
ああ、こうやってまた甘やかしてしまうのだ。