恐怖、それ故に(仮)────シュッ…
────ポタタ…
鋭利な白刃で柔肌を擦れば落ちる鮮血。
流れる紅を、無感動に眺める自分。
傷は左手首に一筋。
瞬きを、ひとつ、ふたつ、みっつ…
ああ、ホラ。直ぐに…
────傷は消えて、無くなった。
────ガチャ
施錠の落ちる音。
──ハッ、と。
そこで漸く正気を取り戻した。
急いでカッターの血を拭う。
────キィ…
と、扉の開く音。
洗面台の水を勢いよく流して落ちた血を洗い、ティッシュで拭った血痕が、見えないように折りたたんでは、洗面台横に設置してあるゴミ箱に捨てる。
────バタン
「ただいま」
閉まる音に続いて、響いた低音。
耳に馴染んだ、彼の声。
L.L.が、帰ってきた。
カッターを有るべき所に戻し、早歩きで玄関へ向かう。
「──?。C.C.?居ないのか?」
その問いかけと同時に…
「──おかえり、L.L.」
笑顔で彼を迎えた。
────ワタシハイマ、チャントワラエテル?
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冒頭
本編