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    「誰のものにもならないで」
    のセリフを使ったお題


    私、もしかして切ない系大好きなんか?って位らおず時代の話は筆が進む進む。次こそは、ほんわかいちゃらぶ書きたいね!恐らくAU書くだろうけどね!

    思いは満月と共にその日は月の綺麗な日だった。
    黄金色に爛々と光る満月はまるで藍忘機の瞳のようで、この場に魏無羨が居れば、その事を揶揄わずにはいられなかったであろう。「お前の瞳は、夜の闇に俺たちを照らしてくれるお月様より綺麗だ」と。だが、そう言ってくれる彼の姿が藍忘機の隣にあることは無かった。それもそのはず、今の魏無羨は人々から「夷陵老祖」と恐れられ、危惧されている人物である。そんな彼がここ雲深不知処にいれば、それはもう大混乱を招き、藍啓仁は血反吐を吐くだろう。だがそんな彼が隣にいればと、藍忘機は何度願ったことだろうか。その願いは一度も叶った事はなく、これからも叶うことは無いだろう。
    藍忘機は静室の戸を開き、縁側へと足を進めた。彼が座学時代旨いと言って、よく隠れて飲んでいた天子笑を片手にそこへと腰を下ろす。何故、禁酒のはずの雲深不知所に酒があるのか。それは彼にも分からない。否、それを買った者が藍忘機であることは、紛れもない事実であった。
    以前、邪祟退治の為に街へ繰り出した際に、たまたま目に入った天子笑。それを見かけた途端、藍忘機は肩に江氏の家紋である蓮の花をあしらった純白の衣を見に纏っている魏無羨を思い出した。彼がよく飲んでいた酒だ、と思い、気付けば購入していたのである。何故購入してしまったのだろうか。藍忘機は己に問うが、その答えは帰ってくるはずもなく虚空へと消えていった。もちろん、その後天子笑を持った藍忘機を見た門弟達は、とても驚いていたようであった。
    そんな事もあったと過去に想いを馳せながら、天子笑の蓋を開ける。一口くらいならいいだろうか。いや、やはり家規に背く行為は辞めるべきだ。その筈であるのに、盃に注ぐ手を止めることが出来ない。いや、止めようとしていないと言っても正しいが。
    盃を手に持ったまま、藍忘機は己の頭上で輝く月を眺める。乱葬崗でも、これほど美しい月を臨む事は出来るのだろうか。彼は私と同じ月を眺めているだろうか。そうであればいいと、藍忘機は無意識のうちに願っていた。彼が共に月見をするとなれば、温情や温寧、阿苑や温おばさん、他にも多くの温氏の者たちとだろう。彼が多くの人々に囲まれ酒を浴びるように呑む姿を想像した藍忘機は、何故か無性に腹が立った。
    「魏嬰…誰のものにもならないで」
    ぽつりと無意識に呟いた言葉に、藍忘機は動揺する。私は今、何を口走った?何故私は彼を縛り付けるようなことを願ってしまうのだろうか。誰のものにもなって欲しくない。私のものにしたい。彼を姑蘇へと連れ帰り、誰にも見られぬよう隠したい。そんな邪な思いが藍忘機の脳を支配する。だが、彼はそんなことを望んでいない。縛られる事が大嫌いな彼だから、こんな思いを言える筈など無いのだ。
    藍忘機は思いを振り払うように、盃に入っている酒を一気に煽った。喉から胃にかける道全てが燃えるように熱くなる感覚に、思わず咳込む。だが、味はそれほど悪くない。これが君が愛した味か、そう思えばこの熱も苦に思わなくなった。
    飲んで数十秒も経たないうちに、己の瞼が少しずつ下がってきた。相変わらずこの身体は酒に弱い。自分の弱さに苦笑しながらも、眠気に身を任せる。こんなものを彼は浴びるように飲んでいたなんで、どれほど笊なのだろうか。最早尊敬に値する。
    この時期なら縁側で寝ても風邪は引かないだろう。床に背中をつけると、視線いっぱいに満月が広がる。
    「次は、君と共に」
    満月を臨みたい、と続くはずの言葉は藍忘機の意識と共に暗闇に吸い込まれ、消えていった。
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    DONE「誰のものにもならないで」
    のセリフを使ったお題


    私、もしかして切ない系大好きなんか?って位らおず時代の話は筆が進む進む。次こそは、ほんわかいちゃらぶ書きたいね!恐らくAU書くだろうけどね!
    思いは満月と共にその日は月の綺麗な日だった。
    黄金色に爛々と光る満月はまるで藍忘機の瞳のようで、この場に魏無羨が居れば、その事を揶揄わずにはいられなかったであろう。「お前の瞳は、夜の闇に俺たちを照らしてくれるお月様より綺麗だ」と。だが、そう言ってくれる彼の姿が藍忘機の隣にあることは無かった。それもそのはず、今の魏無羨は人々から「夷陵老祖」と恐れられ、危惧されている人物である。そんな彼がここ雲深不知処にいれば、それはもう大混乱を招き、藍啓仁は血反吐を吐くだろう。だがそんな彼が隣にいればと、藍忘機は何度願ったことだろうか。その願いは一度も叶った事はなく、これからも叶うことは無いだろう。
    藍忘機は静室の戸を開き、縁側へと足を進めた。彼が座学時代旨いと言って、よく隠れて飲んでいた天子笑を片手にそこへと腰を下ろす。何故、禁酒のはずの雲深不知所に酒があるのか。それは彼にも分からない。否、それを買った者が藍忘機であることは、紛れもない事実であった。
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